2 食事

文字数 290文字

天使は昔六本木ヒルズと呼ばれた廃墟の屋上に立ち信之と少年を見下ろした。
空から雨が降ってきた。眩しく輝く一粒一粒の雨粒に目がやられそうだ。
信之と少年は目を覆い叫んだ。
「目が見えない。目が見えない」
二人はその場にうずくまり震えた。
空を飛んでいた天使の群れは二人のもとに降り立つと少年を生きたまま食べ始めた。
少年は笑っていた。
天使たちは信之には目もくれず少年を食べ終えると飛び立ってどこかへ行ってしまった。
「お腹が減ったなあ」
六本木ヒルズの屋上で仲間の食事の様子を見ていた天使が呟いた。
その天使は信之のもとに降り立った。
「お腹が減った」
信之は唇を震わせて首を横に振った。
天使は微笑んだ。




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