第1話
文字数 2,132文字
堀之内シュンイチは、もう、40代後半になっていた。
堀之内シュンイチは、40代半ばに短歌を入選させていたが、彼は、短歌の才能とは別に恵まれない状況にあった。
今は、2024年3月になっている。
そして、2020年に流行した新型肺炎コロナウイルス感染症が、収束し、そして、マスク着用がなくなった。
堀之内シュンイチは、こんな短歌を詠んでいる。
ーメロディーがお江戸日本橋浅草線時代と変わるプラットフォーム
(意味)
駅のメロディーが民謡『お江戸日本橋』だ地下鉄浅草線日本橋駅時代と変わるプラットフォーム
とか
ーいにしえは連絡船なりこの海峡今となっては海底トンネル
(意味)
昔は青函連絡船だったこの海峡も今は海底トンネルで電車が通っている
ー寂しさでまた打っているLINEなり報われぬ身と嘆きながらも
(意味)
寂しくてまた打っているLINEだ思いが報われないと言いながらも
なんて詠んでいる。
しかし、シュンイチは、周りには、理解をされていなかった。
そして、自分は、マイナーな趣味しかないと思って、職場をやめて、両親と3人で、横浜市内の実家で暮らしている。
シュンイチは、毎日、退屈だった。
しかし、シュンイチは、そのままでは、いけないと思って、ある時から、塾講師をバイトでしている。
シュンイチは、大学院で国文学の修士号はあったから、中学生や高校生に、国語を教えていた。
ところが、と思った。
シュンイチは、京急横浜駅から、時々、品川まで行くのだが、その時、カップルを観ては、ため息をついていた。
「オレにも、恋人が欲しい」
なんて悶々としていた。
ただ、と思う。
シュンイチは、時々、地元の公民館の自習室を使う。
その時、受付で、自習室の席の予約をするのだが、ある時、20代後半の公民館の係の女性が
「いつもありがとうございます」
と言った。
シュンイチは、この受付の公民館の係の女性が気になっている。
シュンイチは、身長は173㎝だが、彼女も、かなり大きい。168㎝は、あるだろうか。よく見たら、グラビアアイドルみたいな感じもするが、どうだろうか、と思った。
顔を観たら、女優の有村架純さんに少し似ている。
いつもって、何だ?
とシュンイチは、思った。
しかし、シュンイチは、前にここの公民館で、本を返そうとしたら、彼女が、急にカウンターから飛び出してきて
「本を返すのですか?」
と言った。
シュンイチは、彼女のことが気になっていた。
いや、本当は、彼女と付き合いたいと、もう、頭の中は、一杯一杯になっていた。本当は。こんなに思いがあるのに、それこそ、坂本九の『明日があるさ」ではないが、「たった一言、お茶に行きませんか」と言えないばかりに悶々としている。
シュンイチは、短歌の才能はあるのだが、好きな女性の前だとからきし駄目だった。それは、何度も振られていたからだろうと思う。
そして、本当は、人一倍、思いがあったのに、言えない苦しさがあったと思う。
シュンイチは、悶々としていた。
しかし、彼女に「食事でも行きませんか?」と誘えず、苦しんでいる。本当は、そうありたいと思っているのに、と思った。
そんなある時、堀之内シュンイチは、2週間に一回、小説教室へ通うことにした。
それは、東京都心だが、新宿の小説教室に通い始めた。
JR山手線の新宿駅から、徒歩10分だった。
そこに、堀之内シュンイチは、通い始めた。
教室は、ビルの3階にあった。
そこに、シュンイチは、世間は狭いと思った。
「あの」
と彼女は、言った。
「はい」とシュンイチは、静かに言った。
「いつも横浜市立金沢八景公民館へ来ているかたですね」
「ええ」
「受講生だったのですか?」
「はい」
と言った。
「お名前は、何て言いますか?」
「私、ヒカミモモカと言います」
「僕は、堀之内シュンイチです」
「何か書かれいるのですか?」
「僕は、小説家になりたくて」
「へぇ」
と言った。
「隣、座って良いですか?」
「はい」
と言った。
「私」
「はい」
「ずっと、小説を書いているのですが、なかなか、入選しなくて」
「へぇ」
と言った。
「僕、短歌は、一度だけ、入選しているんです」
「え、どこで?」
「東相模市の<二階堂法師の世界>で」
東相模市には。鎌倉時代、二階堂法師が、短歌を詠んでいたことで知られている。
「私、観てみたいです」
「ええ、こちらなんですが」
ーメロディーがブルーライトヨコハマ横浜駅時代と変わるプラットフォーム
横浜市 堀之内シュンイチ
「へぇ、すごいです」
「まあ」
と言った。
「京急快特が、好きでね」
「ええ」
「それで、毎日、乗っていたら、こんな短歌を思いついて」
「素晴らしい」
「あの」
「はい」
「一度、短歌の詠み方について教えてくれませんか?」
と彼女は、言った。
「今日さ、授業が、終わったら、品川駅前で、食事しながら、短歌の話を聞かない?」
「はい」
「オレ、もんじゃ焼きの美味しいお店を知っていて、そこ、安くておいしいんだ」
「はい」
「オレが、短歌を教えるよ」
と言った。
授業が、終わった後、品川駅のもんじゃ焼きのお店に、シュンイチとモモカは、二人で通ったらしい。そこから、シュンイチとモモカは、付き合いが始まったらしい。<完>
堀之内シュンイチは、40代半ばに短歌を入選させていたが、彼は、短歌の才能とは別に恵まれない状況にあった。
今は、2024年3月になっている。
そして、2020年に流行した新型肺炎コロナウイルス感染症が、収束し、そして、マスク着用がなくなった。
堀之内シュンイチは、こんな短歌を詠んでいる。
ーメロディーがお江戸日本橋浅草線時代と変わるプラットフォーム
(意味)
駅のメロディーが民謡『お江戸日本橋』だ地下鉄浅草線日本橋駅時代と変わるプラットフォーム
とか
ーいにしえは連絡船なりこの海峡今となっては海底トンネル
(意味)
昔は青函連絡船だったこの海峡も今は海底トンネルで電車が通っている
ー寂しさでまた打っているLINEなり報われぬ身と嘆きながらも
(意味)
寂しくてまた打っているLINEだ思いが報われないと言いながらも
なんて詠んでいる。
しかし、シュンイチは、周りには、理解をされていなかった。
そして、自分は、マイナーな趣味しかないと思って、職場をやめて、両親と3人で、横浜市内の実家で暮らしている。
シュンイチは、毎日、退屈だった。
しかし、シュンイチは、そのままでは、いけないと思って、ある時から、塾講師をバイトでしている。
シュンイチは、大学院で国文学の修士号はあったから、中学生や高校生に、国語を教えていた。
ところが、と思った。
シュンイチは、京急横浜駅から、時々、品川まで行くのだが、その時、カップルを観ては、ため息をついていた。
「オレにも、恋人が欲しい」
なんて悶々としていた。
ただ、と思う。
シュンイチは、時々、地元の公民館の自習室を使う。
その時、受付で、自習室の席の予約をするのだが、ある時、20代後半の公民館の係の女性が
「いつもありがとうございます」
と言った。
シュンイチは、この受付の公民館の係の女性が気になっている。
シュンイチは、身長は173㎝だが、彼女も、かなり大きい。168㎝は、あるだろうか。よく見たら、グラビアアイドルみたいな感じもするが、どうだろうか、と思った。
顔を観たら、女優の有村架純さんに少し似ている。
いつもって、何だ?
とシュンイチは、思った。
しかし、シュンイチは、前にここの公民館で、本を返そうとしたら、彼女が、急にカウンターから飛び出してきて
「本を返すのですか?」
と言った。
シュンイチは、彼女のことが気になっていた。
いや、本当は、彼女と付き合いたいと、もう、頭の中は、一杯一杯になっていた。本当は。こんなに思いがあるのに、それこそ、坂本九の『明日があるさ」ではないが、「たった一言、お茶に行きませんか」と言えないばかりに悶々としている。
シュンイチは、短歌の才能はあるのだが、好きな女性の前だとからきし駄目だった。それは、何度も振られていたからだろうと思う。
そして、本当は、人一倍、思いがあったのに、言えない苦しさがあったと思う。
シュンイチは、悶々としていた。
しかし、彼女に「食事でも行きませんか?」と誘えず、苦しんでいる。本当は、そうありたいと思っているのに、と思った。
そんなある時、堀之内シュンイチは、2週間に一回、小説教室へ通うことにした。
それは、東京都心だが、新宿の小説教室に通い始めた。
JR山手線の新宿駅から、徒歩10分だった。
そこに、堀之内シュンイチは、通い始めた。
教室は、ビルの3階にあった。
そこに、シュンイチは、世間は狭いと思った。
「あの」
と彼女は、言った。
「はい」とシュンイチは、静かに言った。
「いつも横浜市立金沢八景公民館へ来ているかたですね」
「ええ」
「受講生だったのですか?」
「はい」
と言った。
「お名前は、何て言いますか?」
「私、ヒカミモモカと言います」
「僕は、堀之内シュンイチです」
「何か書かれいるのですか?」
「僕は、小説家になりたくて」
「へぇ」
と言った。
「隣、座って良いですか?」
「はい」
と言った。
「私」
「はい」
「ずっと、小説を書いているのですが、なかなか、入選しなくて」
「へぇ」
と言った。
「僕、短歌は、一度だけ、入選しているんです」
「え、どこで?」
「東相模市の<二階堂法師の世界>で」
東相模市には。鎌倉時代、二階堂法師が、短歌を詠んでいたことで知られている。
「私、観てみたいです」
「ええ、こちらなんですが」
ーメロディーがブルーライトヨコハマ横浜駅時代と変わるプラットフォーム
横浜市 堀之内シュンイチ
「へぇ、すごいです」
「まあ」
と言った。
「京急快特が、好きでね」
「ええ」
「それで、毎日、乗っていたら、こんな短歌を思いついて」
「素晴らしい」
「あの」
「はい」
「一度、短歌の詠み方について教えてくれませんか?」
と彼女は、言った。
「今日さ、授業が、終わったら、品川駅前で、食事しながら、短歌の話を聞かない?」
「はい」
「オレ、もんじゃ焼きの美味しいお店を知っていて、そこ、安くておいしいんだ」
「はい」
「オレが、短歌を教えるよ」
と言った。
授業が、終わった後、品川駅のもんじゃ焼きのお店に、シュンイチとモモカは、二人で通ったらしい。そこから、シュンイチとモモカは、付き合いが始まったらしい。<完>