プロット ギフテッドストーン

文字数 1,465文字

起)
この世界では生まれてきたとき、その人の心を現す宝石を持って生まれてくる。宝石はひとつだけ、その人に魔法の力を与える。その魔法を道しるべに生きていく。
私立宝城学園に通う中学一年生の月海澪は自分が嫌いだ。特に、生まれたときから持っているスモーククォーツが嫌いだった。宝石の色で性格はわからない、迷信だと先生は言うけれど、学校も家族も友達も、同じ宝石の色同士に分かれている。
スモーククォーツは土を操る力を澪に与えている。道路を作るのにぴったりな魔法だ、と言われるなか、内心、「どこにでも道を作る魔法」「勝手な魔法よ」と澪は考えていた。真夜中、家族が寝た後に、魔法で道を作ってコンビニに行くことが澪の日課だった。

承)
ある日、顔見知りの同級生、イケメンの双子、朔宮風と朔宮景が校舎の裏で泣きながら「あっちに行きたい」と言うのを聞く。三者面談帰りで進路のことに苛ついていた澪は彼らにつっかかると、彼らも進路に悩んでいることを知る。彼らの魔法と宝石はそれぞれ、エメラルドを持つ風の「幻覚をみる」エメラルドの魔法を使ううちに辛くなり、その世界に行きたいと泣いていたのだ。
自分の魔法では将来どうして良いかわからないと泣く風と景に、澪は自分の魔法を見せて励まそうとする。
すると、澪のスモーククォーツの「どこにでも道を作る魔法」によって、風の幻想の世界と現実世界の境目があいまいになってしまう。

転)
翌日、澪が目を覚ますと、世界は異形が闊歩する魔法の世界に変わっていた。両親は慣れたように自身の魔法を使って対処し、通勤してしまう。仕方なく澪が学園に登校すると、風は校長先生、景は教頭先生となって、学園を半分ずつ牛耳っていた。
風は自由に永遠に遊ぶ遊園地へと世界を変えようとして、景は反対に自由を奪い将来に備える訓練ばかりさせようとしていた。澪はどちらも極端だと諭すため、レジスタンスを結成し、風校長と景教頭にそれぞれ挑戦をする。
味方は様々な宝石と魔法、個性を持った人間たち。一人だけ異形の姿のニャルラが混じっていた。
「旧校舎大迷宮」「校庭上空ドッチボール」など、数々の挑戦を経る。途中、澪が重傷を負い、命が危うくなることすらあったが、無事に挑戦を終え、景教頭は自らの意思で元の世界に戻ることを説得され、風校長が潜む校長室に向かうこととなる。

結)
校長室までの道のりは暗号と迷路となっていた。澪の魔法で無視して進むことも出来るが、風校長はそうなったら絶対に説得できない。澪たちレジスタンス陣営と景教頭たち陣営はそれぞれの魔法と頭を駆使して、突破する。
風校長は唯一校長室にたどり着いた澪に、最後の質問をする。
「私たちにはどちらが大切か。思い出か、将来か」
見事に答えた澪と、それまでの様子に免じて、風は幻影魔法を解除する。
翌日澪が目を覚ますと時間は進んでおらず、皆が魔法を使う、区分された世界は変わっていなかった。
しかし、思い出は消えていなかった。
澪たちは休み時間の度に教室を飛び出して、レジスタンスの基地である屋上までの踊り場でおしゃべりを始めるのだった。
「けれど、あんなに危ない罠を作るのはどうかと思うよ」
「怪我なんてするもの作るわけないだろ。俺はピーターパンだぜ?」
そう言っては澪と風たちは笑いあう。
レジスタンスのうち、現実に戻ってもニャルラは名乗り出ない。校舎上空、異形頭のニャルラはほくそ笑んだ。「この魔法だらけの世界、どう壊せばいいかわかったぜ」
世界のことなんて知らず、澪たちは自分たちの思い出と将来について、熱心に、そして楽しそうに、話していた。
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