第1話

文字数 823文字

起)小学6年生の(しゅう)(さび)れた商店街にある文房具屋の店主で年齢不詳(ねんれいふしょう)の美女・毬緖(まりお)の秘密を知ってしまう。毬緖は魔法使い(ウィザード)で、商店街とこの街の守護者(ガーディアン)でもあった。ひょんなことから毬緖が魔法使い(ウィザード)だと知った修は無理やり弟子にされてしまった。

承)守護者(ガーディアン)の毬緖が居る為か、商店街や街の治安は()すぎるくらい()い。弟子にされてしまったとは言え毬緖から教わる魔法(マジック)を覚えて行くのは楽しかった。一年かけて修が(おも)に覚えたのは、守護(バリア)補助(サポート)魔法(マジック)。何かを攻撃(アタック)するような魔法(マジック)もあるが毬緖は教えてくれない。  

転)月日は流れ修が小学校を卒業する日。卒業式には商店街の代表として毬緖が来賓席(らいひんせき)に居た。次に修は保護者席に目を向ける……と、保護者席の真ん中辺りの上空に真っ黒な(かたまり)があった。思わず毬緖の方を見ると、毬緖は何やらぶつぶつと口の中で(つぶや)いている。と、突然、秀の頭に毬緖の声が聞こえた。『あの(かたまり)は卒業式を妨害(ぼうがい)しようとしてる。あたしは今からあれを消すから、秀は生徒達を守ってくれ』」秀は(あわ)てて守護(バリア)呪文(じゅもん)(とな)える。「えーと……聖なる――」『……使う(じゅつ)微妙(びみょう)間違(まちが)えてるけど、まあいい。守護(バリア)展開(てんかい)されてる』毬緖の声と共に、保護者席の真上でバヂバヂッ! と何かが(はじけ)ける音が聞こえた。秀の守護(バリア)は見えなくとも、保護者席上空で何かが(はじ)けた音は多くの人に聞こえたようで会場は一時(いちじ)騒然(そうぜん)となる。

結)どうやら保護者席に居た誰かがあの(かたまり)を連れて来てしまったらしい。『あれは人の()の感情の(かたまり)だ。理由は(わか)らないがこの学校に悪い感情を(いだ)いていて、卒業式をぶち(こわ)し学校の評判(ひょうばん)を落としたかったみたいだね』保護者席では数人の保護者が気を失って(たお)れており、ほどなくして、救急車に運ばれて行った。多少のアクシデントはあったものの、卒業式は無事終わり、秀は小学校を卒業した。が、中学生になっても秀が毬緖の弟子であることは変わらない。毬緖は秀をこの街の守護者(ガーディアン)にするつもりなのだが、そんな事情(じじょう)など今の秀には知るよしもないのであった……。
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