第1話

文字数 625文字

しあわせってなんだろう。

日々生活しているとすぐに見失ってしまう。
そもそも、その意味が分かっていないのか。うーん、意味とかあるのかな。

好きな仕事をしている。
他人に認められた。
愛するひとたちと時間を過ごしている。
沢山のお金を手に入れた。
美しいものに触れた。
美味しいものを食べている。

思いつくものを並べてみても、
たしかにしあわせだと思う気もするし、違う気もする。
わたしが知ってるしあわせってなんだっけな。この中にあったっけかな。

今まで生きてきて、しあわせだと感じたことはあるのに、どうして見失うのだろう。わたしの中に溜まることなく、その実感はすぐに消えてしまうのだろう。そしてある時ふと、あれ、どんなのだったけかな、なんて思ったりするんだろう。

わたしはしあわせなのかな。
しあわせってなんだろう。

今日、とても天気がよくて、日用品を買いに自転車で出掛けた。音楽をかけながら自転車を漕いだ。自転車を漕ぐのは久しぶりで、音楽を聴くのも久しぶりで、ただただ心地よくて、目に映る景色がまぶしくて、あーこういうことかな、と思った。

普段とちがう速度。
普段とちがう音。
普段とちがう目線。

よかった。
今日この一瞬があってよかった。

無理に見つけようとしてもなかなか見つからないし、運良く気がついても、またすぐに忘れてしまうかもしれない。

だけど、
いつ気づくんだよーって、ニヤニヤしながら隠れているあの子は、みつけるたびにうれしくなる。

またつかまえられるかな。

つかまえられるといいな。
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