第1話 怪しいサイト

文字数 730文字


 学校が嫌いなわけではなかった。

 ただ、勉強も運動もできなくて

 運動会も私のせいでビリになって

 家でもお姉ちゃん達のサンドバックで

 もしも自分がいなかったら?
 もっとなんでもできて、クラスのあのこみたいにかわいかったら?って
 ずっと思っていた。


 そんなとき、クラスの男の子に言われた。

 「姉ちゃんは綺麗なのに、お前ってキモいよな。」

そんなこと、わたしがいちばんわかっていた。
世界から色が消えた。ご飯も美味しくなくなって、布団からでられなかった。

鏡をみても、自分の写真をみても。窓に反射した自分をみても、
男の子の言った言葉が頭の中で響いた。

毎晩、明日が来ないように願っても日は昇った。眠れなかった。

やがて私は不登校になり、ご近所さんや親戚、同級生に噂されるようになった。
両親も私に優しい言葉をかけ、裏で私を嫌っていた。
人に好かれないことは自覚済みだったし、しょうがないと思っていた。



そんなときに、とあるサイトを見つけた。

「異世界....」


 抽選に当たれば異世界に行けるというものだった。

 どうせ嘘だろうと思ったが、今の地獄のような日々におさらばできるなら
 こんなものにすがるのも悪くはないな、と思い

 『応募する』という画面をクリックした。



                       のが最後の記憶。
 「.......嘘でしょ.......」

 ひろがる青空、鳥の声、花の香り、周りで知らない人が3人眠っている

 「いや、マジだ。」

 私の呟きに返事をしたのは、近くで眠っていたうちの一人。
 背の高い、サングラスをかけたオールバックのお兄さんだった。

「おはようございます.......あの、ここってもしかして、」

「ああ。ここは[異世界]だ」

.......マジか。
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