第1話
文字数 1,984文字
鈴木君はモテなかった。
外見は普通、運動能力も普通、学業は普通より少し上。
しかし、何故かモテなかった。
ただ、彼には忍耐と集中力、研究心があった。
恋愛小説を彼は読み始めた。
「う~ん、これは難しいぞ」
科学系の本ならスイスイと読めるのだが、恋愛小説は難しい。
「いや、負けるもんか!」
数十冊を読了した彼は、少し自信がついた。
「実験に移ろう!」
近くのコンビニで働く女性が前から気になっていた。
恋愛小説で学んだように、声をかけ、デートに誘ってみた。
NGだった。
図書館で時折すれ違う女性に声をかけてみた。
また、NGだった。
ファミレスの店員さんに、オーダーの時、さりげなくアタックしてみた。
またまた、NGだった。
「これは、研究不足だ!」
彼は自分の未熟さを恥じた。
親が残してくれた少なからぬ遺産があった彼は、家の地下にシェルターを作った。
そして、数千冊の恋愛小説を買い込み、食料と水と共にそのシェルターに入った。外の世界から自分を遮断し、研究に専念するためだ。
もちろん、スマホやネットも遮断。
こうして、鈴木君はシェルターにこもった。
**********
五年の月日が経った。
恋愛小説の研究を100%終えたと確信した鈴木君は、シェルターから外に出た。
おかしい。
人の声も、車の音も、何も聞こえない。
大通りに出て、ひたすら歩き続けた。
「誰かいませんか~?」と叫びながら。
パニックで気が狂いそうになった時、女性の悲鳴が聞こえた。
「きゃあああっ!」
悲鳴の方向を見ると、数人の女性がこちらを向き、驚きの表情を浮かべていた。
「あなた本物の男性?」
女性の一人が聞いた。
「何が起きたんですか?五年間シェルターにこもっていたので事情が分からないんです」
女性が説明する所によると、男性だけに感染する新型のウイルスが蔓延。世界中の男性が死に絶えたという事だった。
「とりあえず、私たちのグループが集まる場所に移動しましょう」
道中にまた教えて貰ったのは、男性が死に絶えることで流通やインフラも壊滅的になり、希望を失った女性も次々と自殺し、全世界の人口が以前の十分の一ほどになってしまったということだった。
女性たちは元小学校だった場所にコミュニティを作り暮らしていた。現在、百名ぐらいがいるということだった。
「何故、僕は大丈夫なんだろう?」
「ウイルスがもう消えてしまったのか、あなたに免疫があるのか…」
ここで研究成果を発揮しよう、頑張るぞ!と鈴木君は期待に胸踊らせた。
しかし…。
小学校の校庭に、旋風を上げながらヘリコプターが舞い降りた。
機内から数名の女性兵士が降り、鈴木君の前で敬礼をした。
「男性発見との無線連絡がありました。申し訳ございません、ご同行願います!」
ヘリコプターが基地に着くと、彼は上官の女性の前に連れて行かれた。
「あなたは人類の未来を救う鍵です。どうか私たちにご協力ください」
否応もなく、彼はラボに隔離され、注射を打たれ、血液を採られ、女性兵士たちとHしながら精液を採取される日々を送る羽目になった。
「これじゃ、僕自身が研究のためのモルモットじゃないか!」
数週間後、基地に爆音と射撃音が響いた。
厚いラボの扉が開いた。
白人の女性兵士たちは鈴木君を見つけると、両手をしばり、袋に入れ拉致して行った。
また同じ事の繰り返しだった。
あれから、どれくらいの年月が過ぎたのだろう。
鈴木君は朦朧とした頭で考えた。
ある日、ラボの扉が開き、彼は別な研究施設へと移動させられた。
そこで、彼は片言の日本語を話す女性研究員から説明を受けた。
「アナタ、冷凍睡眠百年。起キル。Hスル精子取ル。子供マタ生マレル」
逆らう事も出来ず、鈴木君は長い眠りについた。
**********
冷凍睡眠から目が覚めた。
だが、そこでも鈴木君は研究対象になるだけだった。
数か月後、また人類の未来のため彼は冷凍睡眠に入らされた。
それの繰り返しだった。
数百年後。
鈴木君が目を覚ますと、そこには誰もいなかった。
ラボの中にも、基地の中にも、そこから異国の町に出ても。
誰もいなかった。
「よし、今だ!」
彼は叫ぶと、『それら』を探して町中を駆け巡った。アンティックショップで探し物は見つかった。
適当な家に入り込み、『それら』を居間に置いた。
太陽発電なのか、原子力発電なのか分からないが電力は供給されていた。
テレビのスイッチをオンにし、DVDプレイヤーにディスクを入れると、彼はソファに座った。
「準備万端」
鈴木君はアダルト動画を観ながら、数百年ぶりの自家発電をした。
外見は普通、運動能力も普通、学業は普通より少し上。
しかし、何故かモテなかった。
ただ、彼には忍耐と集中力、研究心があった。
恋愛小説を彼は読み始めた。
「う~ん、これは難しいぞ」
科学系の本ならスイスイと読めるのだが、恋愛小説は難しい。
「いや、負けるもんか!」
数十冊を読了した彼は、少し自信がついた。
「実験に移ろう!」
近くのコンビニで働く女性が前から気になっていた。
恋愛小説で学んだように、声をかけ、デートに誘ってみた。
NGだった。
図書館で時折すれ違う女性に声をかけてみた。
また、NGだった。
ファミレスの店員さんに、オーダーの時、さりげなくアタックしてみた。
またまた、NGだった。
「これは、研究不足だ!」
彼は自分の未熟さを恥じた。
親が残してくれた少なからぬ遺産があった彼は、家の地下にシェルターを作った。
そして、数千冊の恋愛小説を買い込み、食料と水と共にそのシェルターに入った。外の世界から自分を遮断し、研究に専念するためだ。
もちろん、スマホやネットも遮断。
こうして、鈴木君はシェルターにこもった。
**********
五年の月日が経った。
恋愛小説の研究を100%終えたと確信した鈴木君は、シェルターから外に出た。
おかしい。
人の声も、車の音も、何も聞こえない。
大通りに出て、ひたすら歩き続けた。
「誰かいませんか~?」と叫びながら。
パニックで気が狂いそうになった時、女性の悲鳴が聞こえた。
「きゃあああっ!」
悲鳴の方向を見ると、数人の女性がこちらを向き、驚きの表情を浮かべていた。
「あなた本物の男性?」
女性の一人が聞いた。
「何が起きたんですか?五年間シェルターにこもっていたので事情が分からないんです」
女性が説明する所によると、男性だけに感染する新型のウイルスが蔓延。世界中の男性が死に絶えたという事だった。
「とりあえず、私たちのグループが集まる場所に移動しましょう」
道中にまた教えて貰ったのは、男性が死に絶えることで流通やインフラも壊滅的になり、希望を失った女性も次々と自殺し、全世界の人口が以前の十分の一ほどになってしまったということだった。
女性たちは元小学校だった場所にコミュニティを作り暮らしていた。現在、百名ぐらいがいるということだった。
「何故、僕は大丈夫なんだろう?」
「ウイルスがもう消えてしまったのか、あなたに免疫があるのか…」
ここで研究成果を発揮しよう、頑張るぞ!と鈴木君は期待に胸踊らせた。
しかし…。
小学校の校庭に、旋風を上げながらヘリコプターが舞い降りた。
機内から数名の女性兵士が降り、鈴木君の前で敬礼をした。
「男性発見との無線連絡がありました。申し訳ございません、ご同行願います!」
ヘリコプターが基地に着くと、彼は上官の女性の前に連れて行かれた。
「あなたは人類の未来を救う鍵です。どうか私たちにご協力ください」
否応もなく、彼はラボに隔離され、注射を打たれ、血液を採られ、女性兵士たちとHしながら精液を採取される日々を送る羽目になった。
「これじゃ、僕自身が研究のためのモルモットじゃないか!」
数週間後、基地に爆音と射撃音が響いた。
厚いラボの扉が開いた。
白人の女性兵士たちは鈴木君を見つけると、両手をしばり、袋に入れ拉致して行った。
また同じ事の繰り返しだった。
あれから、どれくらいの年月が過ぎたのだろう。
鈴木君は朦朧とした頭で考えた。
ある日、ラボの扉が開き、彼は別な研究施設へと移動させられた。
そこで、彼は片言の日本語を話す女性研究員から説明を受けた。
「アナタ、冷凍睡眠百年。起キル。Hスル精子取ル。子供マタ生マレル」
逆らう事も出来ず、鈴木君は長い眠りについた。
**********
冷凍睡眠から目が覚めた。
だが、そこでも鈴木君は研究対象になるだけだった。
数か月後、また人類の未来のため彼は冷凍睡眠に入らされた。
それの繰り返しだった。
数百年後。
鈴木君が目を覚ますと、そこには誰もいなかった。
ラボの中にも、基地の中にも、そこから異国の町に出ても。
誰もいなかった。
「よし、今だ!」
彼は叫ぶと、『それら』を探して町中を駆け巡った。アンティックショップで探し物は見つかった。
適当な家に入り込み、『それら』を居間に置いた。
太陽発電なのか、原子力発電なのか分からないが電力は供給されていた。
テレビのスイッチをオンにし、DVDプレイヤーにディスクを入れると、彼はソファに座った。
「準備万端」
鈴木君はアダルト動画を観ながら、数百年ぶりの自家発電をした。