ラブレター

文字数 1,272文字

 まさか・・・、こんなものを書く羽目になるとは。 

 俺は高校生。
 思春期の男は恋愛に興味がある。
だが俺はモテない。だが人を好きになる。
何とも自分で自分がコントロール出来ない。
だから俺は、クラス1のモテ男に相談した。
 嫌な奴だが仕方がない。すると、

「ラブレターだな。効果的だ、俺達の年なら
それが1番効果がある」

としたり顔で言いやがった。
 今時?とも思ったが。

「ば、馬鹿な!そんな物渡せば噂になる。
もしふられてみろ、良い晒し者だ。駄目だ」

「アホ!誰が直接渡せと言った。
良いか、よく聞け。こういうものは、密かに
貰うと嬉しいのだ。直接渡されて、フッたりしてみろ。なんて薄情な女だと思われるだろう。
だから向こうも困るんだよ。だから密かに渡せば問題ない」

「それって、経験?」

「まあ、そうだな」

クソッ自慢かい!とも思ったが。
 どうやって密かに、と聞いてみれば。

「下駄箱に入れるんだよ。下駄箱のフタには、何故か横に隙間がある。通気性の為なのか、何なのかは知らないがな。
俺はそれを、レタースリットと呼んでいる」

勝手に呼べ!と言いたかったが、飲み込んだ。
 そこで俺は家に帰ると、こっそりラブレターを書いた。
まったく〜、便箋や封筒なんか持ってないぜ。
と思えば、同級生の一人が持っていた。
何でやねん!はやっぱり飲み込んだ。
 それを貰うと、俺は何とか、ラブレターらしきものを完成させた。
だが、彼女の下駄箱の番号を知らない。
困ったなと思えば、便箋をくれた同級生が教えてくれた。何故知っている!お前もか?
 と何だか、代表選手的な気分になった。
クラスの男共の秘密イベント化してきた。
 
 そして俺は、授業中に腹が痛いと、トイレに行くフリをして。彼女の下駄箱にラブレターを入れた。
 確かにフタの横に、手紙が入るほどの隙間があった。昔の人はロマンチストなんだなと、
何だか訳の分からない感想を持った。 

 そして翌日。イケメンモテ男と便箋男と、
ワクワクしながら結果を待っていた。
 無駄なのだが・・・。
すると、他の有象無象がやって来て、便箋男と話をして。
 しました!間違った!と言った。

「何が?」

と聞けば。昔からある下駄箱なので、四と言う数字が無いのだ。1列は10下駄箱があるのだが。端は番号がふってなく、ローマ字がふってあるとの事だ。
 つまり俺は、意中の人の隣に入れてしまったのだ!その人は誰だ?と聞けば。
 クラス員の秀才。男嫌いの、クールアンドドライ女子と判明した。するとイケメン。

「やっちまったな、付き合っちゃえば」

と無責任な事を言った。
 だが、俺はちょっと安心してしまった。
何故なら、

「大丈夫。言わなきゃ分からん。
何故なら、名前を書かなかった」

『えっ?!』

と同級生共。

「何でだ?」

とイケメン。

「うん?演出」

と答えれば。

「アハハハハ」

と大笑い。
 それ以来、クールアンドドライ女子がとても綺麗に見えて仕方無かった。
 彼女も誰だろうと探っている様だった。
最近は男子への風当たりも弱くなった様な。
 本当に付き合っちゃおうかなぁ〜、と思う、
今日この頃だった。

 アホな男だ俺は・・・。

終わり。





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