第１話

【起】
　舞台は江戸時代。
　主人公の千代は、田舎から江戸の呉服屋に奉公人として働きに出ていた。そして、いつも腹をすかせていた。
　ある日、偶然助けた天丼屋の店主から、お礼として天丼を好きなだけ食べていいと言われた千代。黙々と食べ始め、ついには観衆ができるほど天丼を食べてしまう。そこで、店主から〈江戸大食い大会〉が開催されることを聞く。優勝者は願いを何でも叶えてもらえるという。
　出場したい千代だったが、出場料金を払えない。呉服屋の主人に許可を求めても、参加料は給料から天引きされると言われる。そこに助けてくれたのは、若旦那の宗介。宗介は父である主人を説得し、千代は大会に出場する。

【承】
　会場入りする千代。会場の外から羨ましそうに千代を見つめる貧しい少女と目が合う。
　会場には全国から大食漢が集っていた。千代は、麦茶、もち、そばなど、さまざまな試練を順当に勝ち上がる。
　千代は、試合後に捨てられる多くの食材を見て、胸が苦しくなる。

【転】
　寿司対決を前に、千代は、何かとやっかんでくる侍、源のいかさまを疑う。そして、優勝候補にして相撲取りの白龍丸も病気を訴え、千代も腹痛に見舞われる。
　宗介が聞いた噂によれば、大会の主催者と源は裏でつながっていて、この大会は出来レースだったのだ。大会前、会場の外にいた少女が作った薬で回復した千代は、大食いで源を負かすことを誓う。

【結】
　最終決戦はうな重。源はいかさまを使って優位に試合を進める。苦戦する千代。しかし、最後は千代が振り切り、見事勝利を収める。
　主催者と源の悪事も暴かれ、無事大会は幕を閉じる。千代は優勝者として、次回は街や村のみんなもご飯が食べられるような大会にすると誓う。