第1話

文字数 1,479文字

 あるくにに、ふたりのまほうつかいがいました。
こおりのまほうをつかう、すこしなきむしなみかは、なんびゃくねんたってもとけないこおりをつくれます。
ほのおののまほうをつかう、げんきいっぱいなのあは、ぜったいにきえないほのおをつけることができます。
みんなのためにまほうをつかい、こまっているひとをたすけてあげたり、ないているこをえがおにしてあげました。

 ちいさいころからふたりはずっとともだちで、いつもいっしょにいました。
でも、けんかをしてしまったのです。のあは、みかがおかあさんからもらったかがみをわってしまいました。
「のあがかがみをわったんでしょ。おかあさんからもらった、すごくたいせつなかがみだったのに……」
みかは、かなしくてなきだしてしまいました。けれどのあは、
「わざとじゃないんだから、しょうがないじゃん。このくらいのことで、なかなくてもいいのに」
と、あやまらないまま、どこかにいってしまいました。
「もう、のあなんてしらない。だいっきらい!」
ふたりがはなすことはなくなってしまいました。

 ふたりがなかなおりできないままなんにちかたったとき、たいへんなことがおこってしまいました。
ちがうくにのへいたいがやってきて、こういったのです。
「このくには、もうおまえたちのものではない。すぐにでていけ!」
くにのひとたちがわけもわからずあわてていると、へいたいがこうげきをしようとぶきのよういをしました。
 みんながあぶないめにあってしまうとおもったみかは、へいたいのまえにとびだしていきました。
「みんなにひどいことをするなんて、ゆるさない。いますぐにかえって」
おおきなこえでそういっても、へいたいはわらってみかのことをばかにしました。
「こどもなのに、よくそんなことがいえたな。でていかないならこうげきしておいだしてやる」
そういってへいたいは、ぽけっとからてっぽうをとりだして、みかにむけました。
みかはまほうをつかおうとしましたが、なかなかうまくちからがでません。
だいじなときにまほうをつかえないのがくるしくて、なみだがでそうになりました。
「どうしよう、このままだとみんなが……」
つぶやいたしゅんかん、だれかがみかのかたをたたいて、こういいました。
「なくなよ、みか。いっしょにたたかおう」
ふりかえるとのあがいました。みかをたすけにきてくれたのです。
「まほうをつかうんだ。ふたりがいっしょだったら、きっとできるよ」
「うん!」
 ふたりは、いっしょにまほうをつかいました。みかは、あいてのぶきをすべてこおらせて、のあは、へいたいがのってきたふねをもやしました。
くにのひともきょうりょくしてくれて、へいたいをおいはらうことができました。

 くにがおちついたあと、みかはすぐにのあのところへいって、おれいをいいました。
「のあ、ありがとう。それとごめんなさい。かなしくておこっちゃったの」
「おれもわるかった。ごめん。それと……」
のあがぽけっとからなにかをとりだしました。
「みかのおかあさんと、かがみをかってきたんだ。あのかがみにかわりにはならないかもしれないけど、もらってよ」
「ありがとう。たいせつにする」
かがみをもらったみかのめは、きらきらかがやいていました。
 このあとふたりは、くにのえらいひとにがんばりをみとめられ、みかはおひめさま、のあはおうじさまになりました。
いまでもみかのつくえには、のあがくれたかがみがおいてあります。
 くにのひとをたすけたことは、えほんになってかたりつがれました。
そんなふたりがけっこんして、けっこんしきがひらかれるのは、もうすこしさきのおはなしです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み