水曜日の喫茶店
文字数 1,169文字
私の水曜日は、喫茶店に始まり喫茶店で終わる。
水曜日はアルバイトが休みで、行きつけの喫茶店でクリームソーダを飲みながらコラムを書きためる。それが水曜日の私のルーティーン。
喫茶店のマスターはとても寛大な人で、普通なら毎週水曜日にやって来て、一日中その場に居られては商売上がったりと言っても過言じゃないだろうけれど。
マスターは毎週、「いらっしゃい」と私を温かく迎え入れてくれる。そして、私がお気に入りの席に着くと「この前散歩していたら、道端でかわいい花を見つけてね」と話しかけてくれる。
小さいけれど可憐でかわいいお花が私を迎えてくれた。
マスターはいつもお客さんのことを第一に考えていて、お店の内装は、お客さんに気持ちよく過ごしてもらえるようにと、至るところにマスターの心遣いを感じとることが出来る。そんなマスターの喫茶店は、私みたいな常連客が多い。
毎週来ていると、常連客同士も顔見知りになる。
しげさんもその1人だ。
近くの印刷工場を営むしげさんはお昼休みをここで過ごす。だから平日は、ほぼ毎日通っている超常連だ。
しげさんは町の印刷工場を営む傍ら、狩猟者としての顔も持っている。喫茶店がある商店街を抜けると、田んぼや畑があり、近くの山から動物たちが食べ物を探しにやって来るのだ。田畑を荒らされた農家たちは頭を抱えていた。
そこでしげさんは、地元の人たちの力になればと、狩猟の資格をとり、主にイノシシの狩猟を行っているという。
ある日、しげさんがマスターに言った。
「イノシシたち動物も、生きるために山を下りてくる。人間を困らせようとかそんなつもりはないんだよ。ただ生きるために食べ物を求めて山からやって来る。ただそれだけなんだ。何の罪もないイノシシの命を奪わないかんのも心苦しい話だよ」
その通りだと私は思った。
誰かイノシシ想いの頭の良い人が、人間とイノシシたちが共に暮らせる世の中を作ってはくれないだろうか。優しいしげさんが、その手で命を奪わなくていいように、悲しまなくていいように、そういう世の中であってほしい。私は切に願った。
しげさんはお昼の休憩が終わると、「マスターご馳走さま、また明日」そう言って仕事へと戻って行った。
15時近くになるとティータイムにやってくる常連さんもいるが、間違いなく1日の滞在時間は私が最長だろう。しかし、私が長居することで、お店の売り上げが落ちるなんて事があってはいけない。この喫茶店がなくなっては困る。だから私を含め常連さんたちは、お店の経営者なみに、自分のその日の客単価を考え、飲み物や食べ物を注文してここに滞在するのだ。
マスターがお客さんのことを考えているように、お客さんもマスターやこの店のことを自分のことのように考えている。
まさに愛なんだな。
ここはそれぞれの愛が素敵に循環している。
だからきっと居心地が良いのだ。
水曜日はアルバイトが休みで、行きつけの喫茶店でクリームソーダを飲みながらコラムを書きためる。それが水曜日の私のルーティーン。
喫茶店のマスターはとても寛大な人で、普通なら毎週水曜日にやって来て、一日中その場に居られては商売上がったりと言っても過言じゃないだろうけれど。
マスターは毎週、「いらっしゃい」と私を温かく迎え入れてくれる。そして、私がお気に入りの席に着くと「この前散歩していたら、道端でかわいい花を見つけてね」と話しかけてくれる。
小さいけれど可憐でかわいいお花が私を迎えてくれた。
マスターはいつもお客さんのことを第一に考えていて、お店の内装は、お客さんに気持ちよく過ごしてもらえるようにと、至るところにマスターの心遣いを感じとることが出来る。そんなマスターの喫茶店は、私みたいな常連客が多い。
毎週来ていると、常連客同士も顔見知りになる。
しげさんもその1人だ。
近くの印刷工場を営むしげさんはお昼休みをここで過ごす。だから平日は、ほぼ毎日通っている超常連だ。
しげさんは町の印刷工場を営む傍ら、狩猟者としての顔も持っている。喫茶店がある商店街を抜けると、田んぼや畑があり、近くの山から動物たちが食べ物を探しにやって来るのだ。田畑を荒らされた農家たちは頭を抱えていた。
そこでしげさんは、地元の人たちの力になればと、狩猟の資格をとり、主にイノシシの狩猟を行っているという。
ある日、しげさんがマスターに言った。
「イノシシたち動物も、生きるために山を下りてくる。人間を困らせようとかそんなつもりはないんだよ。ただ生きるために食べ物を求めて山からやって来る。ただそれだけなんだ。何の罪もないイノシシの命を奪わないかんのも心苦しい話だよ」
その通りだと私は思った。
誰かイノシシ想いの頭の良い人が、人間とイノシシたちが共に暮らせる世の中を作ってはくれないだろうか。優しいしげさんが、その手で命を奪わなくていいように、悲しまなくていいように、そういう世の中であってほしい。私は切に願った。
しげさんはお昼の休憩が終わると、「マスターご馳走さま、また明日」そう言って仕事へと戻って行った。
15時近くになるとティータイムにやってくる常連さんもいるが、間違いなく1日の滞在時間は私が最長だろう。しかし、私が長居することで、お店の売り上げが落ちるなんて事があってはいけない。この喫茶店がなくなっては困る。だから私を含め常連さんたちは、お店の経営者なみに、自分のその日の客単価を考え、飲み物や食べ物を注文してここに滞在するのだ。
マスターがお客さんのことを考えているように、お客さんもマスターやこの店のことを自分のことのように考えている。
まさに愛なんだな。
ここはそれぞれの愛が素敵に循環している。
だからきっと居心地が良いのだ。