第1話
文字数 520文字
と、タイトルをつけたが、おもしろくもないだろうけどmakeは日本語入力では「まけ(負け)」である。
また、「気づく・意識する」という意味のawareは、日本語入力としては「あわれ」である。「哀れ」「憐れ」「もののあわれ」……
ぼくは買ったばかりのクルマを放火で失ったことがある。
地方から、東京での仕事につくため面接にきて、いずれともに移住することになる妻とホテルに宿泊していた晩に携帯電話が鳴り、知らない番号なので放置した。
留守電が入っていたので聞くと自分の住所の警察署からだった。警察は折り返しを求めていた。
折り返すと、おだやかに明るい声音の警察官だったが、地元にもどってみると、そのやりとりからは想定しなかった無慚な状況だった。そのときになって、
「フロントグラスとボンネットの間に燃えたマッチ一本おくだけでクルマはもうだめです」と、現場で対応した警察官は知識を開陳して誇らしげにぼくと妻にいった。「開陳」も死語だろうが、さらに死語をつけくわえれば、ぼくのクルマは「オシャカ」だった。
電話での説明で「たいしたことではないのですが」といったのはつまり、マッチ一本おかれた程度のことだというわけで、結果としての被害は甚大だったのだ。
また、「気づく・意識する」という意味のawareは、日本語入力としては「あわれ」である。「哀れ」「憐れ」「もののあわれ」……
ぼくは買ったばかりのクルマを放火で失ったことがある。
地方から、東京での仕事につくため面接にきて、いずれともに移住することになる妻とホテルに宿泊していた晩に携帯電話が鳴り、知らない番号なので放置した。
留守電が入っていたので聞くと自分の住所の警察署からだった。警察は折り返しを求めていた。
折り返すと、おだやかに明るい声音の警察官だったが、地元にもどってみると、そのやりとりからは想定しなかった無慚な状況だった。そのときになって、
「フロントグラスとボンネットの間に燃えたマッチ一本おくだけでクルマはもうだめです」と、現場で対応した警察官は知識を開陳して誇らしげにぼくと妻にいった。「開陳」も死語だろうが、さらに死語をつけくわえれば、ぼくのクルマは「オシャカ」だった。
電話での説明で「たいしたことではないのですが」といったのはつまり、マッチ一本おかれた程度のことだというわけで、結果としての被害は甚大だったのだ。
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