第1話 愛につかれた女がひとり

文字数 1,000文字

ほんと、わたしの今までのこととか、書いたりして‥‥


あいつがいろいろ断っても、一言も返さない自分も問題だけど


わたしは本当のところ、どうしたいんだろ、どうなりたいのかな

ええっ、自分がいるから、彼女が頑張れている ?


それがほんとなら嬉しいけど━━

SNSの動画は、女が男に愛されているという実感に元気を得て、毎日の生活を頑張れていると告げていた


だが、もうかれこれ2年近くも、なんのメッセージを返さない女に男は絶望と不信感を募らせていた


男には女がなにか行動してくるとはとても感じられず、どうしようもなく、どう動くことも出来ずに途方に暮れていた

心の底から純粋に‥‥


なぜかは本当にわからないけど


あんなバカがつくほど純粋な人間に会ったのが初めてだから ?

彼女は今までにとても傷ついてきた

その経験も自分が忘れさせてあげたい

でも、今のところ、自分もお金が稼げているわけではない

それがとても悲しい


男は心底、自分が情けなく、凄く悲しく感じていた

「いとかなし」という言葉がとても適切な表現に想える

眼から雫が溢れて来そう、いや、既に零れていた様にも


「愛ってよくわからないけど傷つく感じがいいね」

あんなに本心から、自分の絵をすごく褒めてくれた人はいなかった

美術館を作ってあげたいと言ってくれた人も

わたしが好きな画家の話とかもほんと楽しそうに付き合って話してた

これから一緒に‥‥

まだ、大丈夫かな

女は男との会話を反芻していた

パンの絵を見せると「本物よりいい」と言ってくれた

いろんな自分の作品を見せてくれとも

男の好きな絵のタッチと自分のが一致していることにも驚きを感じていた

自分の不可思議な能力にも否定することもなく、当然のように容認したのには特に驚いた

愛を学ぶために孤独があるなら、意味のないことなど起こりはしない


相見てののちの心を比ぶれば昔はものを想はざりけり


これやこの行くも帰るも別れて逢ふも逢はぬも逢坂の関


ながらへばまたこの頃や偲ばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき


玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りぞもする


「愛ってよくわからないけど、傷つく感じが素敵」

幸せってなんだろう


今まで、ずっと、独りで生きてきた

これからもずっと独りなんだろうか

これからも、結局は男性に不信感を抱いて生きてくのかな


信じられないまま、不遇な気持ちを払拭出来ずに生きてくのかな

ひょっとしたら、もしかしたら、きっと‥‥

2つの道がひとつになるのは果たして


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