第1話

文字数 1,662文字

 むかし、むかし。
 ひとびとはみんななかよく、くらしていましたが、
 やまから、おにがあらわれて、はたけやたんぼ、おうちをあらしていました。

 むらのひとたちは、たたかっておにをたおそうとしますが、
 おにのからだはおおきくて、おににはまったくかないません。

「ねえ、なんでおにさんはあばれるの?」
 みゆちゃんは、おかあさんにたずねます。

「おには、ひとがきらいだから、いやがらせしてくるんだよ」
「へー」

 そのよる、みゆちゃんは、ひとりでやまへいきました。
 くらいよみちはこわいけど、いっしょうけんめいがんばりました。

 すると、ひかりがみえてきます。
 こっそりのぞいてみてみると、
 そこには、たきびがありました。
 
 たきびのまわりで、おにたちは、つかみあいながら、けんかしています。
「ああ、あばれたい、あばれたい」
「ああ、むかむかする、なんでかわからないけれど、むかむかする」

「いいえ、わたしのほうがむかむかしているわ」
「なにをいっているのわたしよ、わたし。むかむかがとまらないわ」

 みんな、みんなおにたちは、つらそうなかおをして、つかんで、たたいて、けっている。
 みゆちゃんは、こっそりのぞいていましたが、がまんできなくなりました。

「もーやめて!!なんで、みんなけんかするの?なんで、みんなおともだちをきずつけるの?」
 みゆちゃんがさけぶと、おにのみんなは、とまります。

「おうおう。おれたちはむかむかしてるんだ」
「そうよ、そうよ。わたしたちはあばれたくてしかたないの」
「そうだそうだ。おれたちをとめるんじゃねえ」

「じゃあ、みんなからだをうごかして、むかむかがなくなればいいんだよね?」
 みゆちゃんのことばに、おにたちはかおをみあわせます。

「そりゃ、そうだな。うんうん」
「おうよ、そうだよ、そうなんだよ」
 おにたちはうなづきます。

「でも・・・、あばれることでしか、むかむかはなくならないんだよな」
 ちいさなおにがいうと、おにたちはだまってしまいます。

「じゃあ、わたしにいいかんがえがあるの。てつだって」
 えがおでいうみゆちゃん。
 おにたちはかおをみあわせて、かんがえます。

 けれど、みゆちゃんのじしんがあるかおをみて、
「てつだってやるけど、むかむかがなおらなかったら、ゆるさないからな」
「ふふん、まかせなさい。きっとみんなたのしくなるから」

 みゆちゃんのいうことをきいて、おにたちはきをきって、きをはこんで、きをくみたてます。
「はい、あかおにさん、それはこっち。はい、あおおにさん、それはあっち。こおにさん、えだをまんなかにもってきて」

 みるみるうちにきはつみあがっていき、おによりおおきくなりました。。
「じゃあ、ひをつけて、みどりおにさん」
 みどりおにがひをつけると、おおきなひができあがりました。

「うおおおお」
「すごいぞー」
 おにたちはくちぐちにこえをだします。
「でも、これだけじゃむかむかはきえないし、おれたちはあばれたいんだぞ?」
 おにたちはみゆちゃんをみます。

「さあ、みんな。うたっておどろう!!」
 みゆちゃんがおどりだします。
 すると、おにたちもみゆちゃんをまねしておどりだしました。

 よーい、よいよい、おまつりだ。
 みゆちゃん、ならって、おどるぞ、そら。
 そーれ、それそれ、おまつりだ。

 うたっておどろう、えいさっさ。
 みんなでなかよく、えいさっさ。
 みんなであわせて、えいさっさ。

 おにのたのしそうなおんがくと、おおきなたきびのひかりにつれられて、
 むらのひとびとも、やってきました。

「あっ、おかあさん、おとうさん。むらのみんなも。はやく、きてきて、おどろうよ」
 むらのひとたちもかおをみあわせて、どうしようかかんがえます。

「おいら、おにといっしょにおどる」
「あたいも、おどりたい」
 おとこのことおんなこがおにのおどりのわにはいっていきます。
 するとむらのひとびともおどりのわにくわわっていきます。

 こうして、むらびともおにたちも、みゆちゃんが、つくったおどりとうたで、みんななかよくなれたとさ。
 めでたし、めでたし。
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