冬の猫

文字数 421文字

電気カーペットと
猫柄のラグの間に挟まって
そのネコははじめての冬を迎えようとしている

昨晩
娘は部活の遠征に向けて準備をしていた
途中に息抜きでゲームをやりながら

遊んでやれる時間は
実はそう多くはないということを
時間を捨ててきた親だから分かることなのだろうか

暁の狭間
霧が不都合を覆い隠す
冷たい空気が認知を歪ませる

紙吹雪
永遠の螺旋だ
閉じ込められた

腐っていく白菜
箱庭はマリンブルー
握りしめた新しい自転車

古臭い説教を前に
濁声は部屋は一つの部分と部分に過ぎず


だらしのない
粘り気のない
笑いたい日曜日

猫柄のハンカチ
湯気の出口
その学説的な方向性について

逆だ
死は
死だ

後悔をしてようやく気がつくという表現は
だから虐待と紙一重なのだろう
人間は所詮ネコにはなれない

夢の途中でも
行動
理性的な順番だ

手元に残るガラスかまたは鏡に破片に
金属の名残りを見つけようと必死に作り笑いは生まれて
 くる冷たい時代と

見送るのは
順番か
それは義務か

権利は
放棄できるのに
この冬からは誰も逃れられない
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