父と息子

文字数 506文字

「ひさしぶりだな、キャッチボールなんて。小学生以来か」
「・・・・・」
「最近どう?学校の方は」
「ふつう・・・」
「そっか」
「・・・・・」
「お母さんに聞いたんだけど野球部やめるんだって?」
「うん、やめる」
「そっか・・・合わなかった?今の高校の顧問が」
「いや、そんなことはない・・・いい人だし」
「そっか・・・」
「・・・・・」
「辞めてなにするつもり?」
「なにも・・・」
「大学受験に向けて本腰入れる?」
「・・・・・」
「これもお母さんに聞いたけど、なんかお笑い芸人の養成所に行きたいんだって?」
「そこまでお母さんに聞いてるんだったら最初から言えばいいじゃん、探り入れるようなことしないでよ」
「いや、そんなつもりはないけど、本気かなと思って」
「本気だよ」
「・・・・ならいいけど、できるのか?」
「やってみないとわからないよ」
「どんなにつらい状況にあっても舞台に立ったら人を笑わせなきゃなんないんだぞ?できるか、おまえに?」
「お母さんから昨日、『お父さんが芸人目指すことを反対しそうになったら、お父さんも昔、芸人目指してたこと家族に隠してたこと言ってやりな』って言われた」
「・・・・」
「お母さん、『カエルの子はカエル』って言ってた」
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