私にも彼氏が欲しい

文字数 3,881文字

 彼氏が出来た

 あーあ、折角の日曜日なのに雨、まだ少し手が痛い、打撲の様だ。お医者さんに行くほどでも無いので家にあった湿布薬を貼っておいた。もう梅雨なのかな、これでは遊びにも行けないのでガッカリだ。
 昨日の朝電話があり私のお母さんが受けた。一昨日の金曜日にぶつかった男子の母親からだった。うちの子が転倒させてしまい申し訳無いとの事だ。彼の名前は長谷川潤、隣町に住んでいる。
 事は学校廊下の曲り角で男子と鉢合わせしてしまった。私は先生の用事で階段を上がり職員室に行く途中四階の階段角だった。曲がった時に誰かにぶつかった。「あっ」お互いがびっくりして声を出してしまった。私は転んでしまい一瞬何があったのか分からなかった。直ぐに、彼は気遣いしてくれて優しく声を掛けてくれた。その時は何事もなく先生の用事を済ませて教室に戻った。教室に戻って暫くたったら手が少し痛かった。隣の陽子さんが何が合ったのか聞いてきたので、職員室の廊下の角で男子とぶつかって転んだ事を話した。彼は初めて見る、他クラスの一年生のようで同じ様に先生の用事があったみたいだ。
 ぶつかった時の彼の優しさや昨日のお詫びの電話といい、彼は良い家庭に生まれた様だ。ルックスも私好みだし、優しさも溢れているし一目で好きになってしまった様だ。私だって彼氏が欲しいし来週アタックしてみようと考えていた。
 月曜日、私は彼の教室に行き、放課後話があるから中庭で待っていると伝えた。事前に陽子さんには相談してどうしたら良いかを聞いていた。話しなら校舎裏では無く中庭の方が良いみたいだ。後で聞いたんだが陽子さんにはめられた。陽子さんは放課後教室に残り中庭を見ていた様だ。
 授業が終わり私は急いで中庭に行き待っていたら彼がきた。私は土曜日にお母さんからお詫びの電話についてお礼を言ってから、話しを続けた。

「私貴方に一目で好きになった様です、付き合って下さい」

 突然言ったものだから彼はビックリした様だったけど、直ぐに笑顔になり。

「僕こそ、お願いします」

 私は嬉しくなり、週末のデートの約束をして家に帰った。彼はバス通学なので直ぐに別れた。デートは郊外にある菖蒲園にした。


 菖蒲園

 私はウキウキ気分で家に帰り、お母さんに悟られない様に急いで部屋に入った。お母さんには直ぐにバレてしまうからね。部屋で彼にメールをして菖蒲園には何日が良いかを尋ねた。勿論デートの誘いだけど、いつ迄経っても返事が来ない。二時間位経ったら返事がきた。内容は「ごめん、遅くなってしまった。さっきまでバイトしてた」だった。それならそうと放課後話してくれたら良かったのに、もう、と言った感じで少し怒ってしまった。

 何故バイトしていたのか聞いてみたら、彼の家庭はシングルマザーで中学生の妹がひとりいて家計手助けと社会経験の為との事だった。だから、なかなか遊びには行けれないんだ。そうなんだ、私ときたらお兄ちゃんにせびってばかりだ。だけど、ここで引いては前に進まないから、なんとか行こうと話しを進めた。

 私  「菖蒲園、行こうよう。いつなら良い」
 潤  「今度の日曜日のお昼食べてからなら」
 私  「OK」

 私は夕飯の支度の時、お母さんにシングルマザーって大変なのかを聞いてみた。お母さんが言うには、父親がまだ生きていて養育費を充分に貰っていれば良いけど、病気などでひとり親になったとしたら児童手当や遺族年金などが如何かしらね。いずれにしても大変なことには変わらないと思うよ。との事だった。お母さんは、何でどうしたの、と聞いてきたので、別にと言って、夕飯の手伝いをして誤魔化した。いまバレると不味いしね。

 天気の良い日曜日。今日は初デート、雨が降らなくて良かった。私はランラン気分で待合せの駅前に行った。すると潤くんは既に待っていた。格好はまあ別に置いておこう。私は淡い黄色のフレアスカートにブラウス、チョット透けるかなあ。電車に乗って三十分、歩いて十分位で念願の菖蒲園だ。菖蒲園は庭園に菖蒲が一面咲いていて青系のものが多い。私の淡い黄色のスカートと青が合ってコントラストがバッチリだ。古民家風の中は色んな花がありとても綺麗だ。花エキス入のアイスクリームを売っていたので買い椅子に座り食べながら家庭の事を聞いてみた。

 私  「お父さんってさ、如何したの」
 潤  「病気でね、もういない」

 私はそれ以上は聞かなかった。もう五時近くになったので帰る事にした。潤は二駅遠くなので私が先に降り、また明日ねと言い別れた。

 皆でデート

 その夜に私は潤にメールをした。今日はありがとう、楽しかったよ、とお礼を伝えた。彼も菖蒲は綺麗で大好きだそうだ。潤は家では何をやってるのか聞いてみたら、自分の勉強は勿論の事だけど、妹の勉強も見てあげている。潤は経営を学び将来自分の店を持ちたい様だ。凄いな、私なんて勉強も疎かにしているし部屋でゲームばかりの生活だよ。ふとお母さんがいるキッチンにいき、私将来どうしようかなて呟いたら、貴女でも考えることがあるの、と言われてしまった。お母さん何よ私だって考えているんだよ。

 さあ、今週も一週間が始まる。朝学校に行き陽子さんとの話しをした。勿論デートの事ばかりで、駅で待合せして菖蒲園に行った、半日だったけど楽しかった。服はね聞いて聞いてブラウスに淡い黄色のフレアスカートでフンワリ格好、写メに撮ったから見て。陽子さんは可愛いって言ってくれた。授業は滞り無く内容が分からないまま速やかに進んでいった。潤はどうしているんだろう、彼の事だからしっかり授業は受けているんだろうな。私ってこのままで良いんだろうか。不安だけが頭の中でグルグルと回っている。然し、昼休みになるとまた潤の事になり話が盛り上がった。
 
 陽子さんも行きたいと言う話しになり昨日の菖蒲園のパンフレットを取り出して、ここをこう入ってここから見る菖蒲はとても綺麗で、建物の中は花がいっぱいでアイスクリームが美味しかったよ。陽子さんが突然にダブルデートをしようと画策してきた。頭の良さ的には私だけが何か浮きそうな気がしたけど学校じゃないからね。喜んで受けたけど潤や陽子さんの彼氏、拓哉に話さないとね。放課後前の中庭に皆で集まって決めようとなった。早速私は潤に陽子さんは拓哉さんに伝えに行った。私も陽子さんも戻って来てピースサイン。
 
 放課後、中庭に皆が集まったところ、あれっ、潤、拓哉の男どもが言い合っている。何なのか聴くと中学の時の知り合いなのだと。えー、うそーって感じで皆びっくり。それは置いといて、私達女性陣からはダブルデートをしたいと話をしたら二人とも快く引き受けてくれた。いつ、何処が良いか皆で聞き合ったら流石に菖蒲園は無いよねとなり、別の場所にしようとスマホで調べてみた。今の時期ならバラが良いみたいで、少し遠いけどバラ園なんてどうかとなった。電車で三十分ならいいんじゃない。今度の日曜日の九時に駅前に集合で決まり。お弁当は私があまり得意では無いので、向こうのお店で食べようとなった。そうして私達は解散した。陽子さん達は一緒にかえり私と潤は方向が別なので、そこで別れた。
 
 バラ園
 
 前日になり、私は隆太お兄ちゃんにお小遣いを頼んだ。何に使うのか聞いてきたのでデートでバラ園に行く事を話した。絶対お母さんには内緒、お兄ちゃんだけに話したんだからと念を押したけど、お兄ちゃんも私と同じく軽い口だしね。お兄ちゃんは私の彼氏に興味を持ってしまい。色々と聞いてきた。私はお兄ちゃんの彼女を見ちゃったしね、むふふ。私はスマホの写真を見せて、最近お付き合いし始めた同級生でクラスは違う、学校では話はしない。夜にメールで話しをしている。間違いはない様に楽しんでこいと言い、一万円をくれた。嬉しい、流石お兄ちゃん。
 
 日曜日の朝、デートだ。もう七時だ準備して駅に行かなきゃ。今日のお洋服はワンピースにしようっと、レース入りの白だ。これなら良いかな、鏡の前で確認して駅に向かう。もう直ぐ時間になる、私は少し焦って早足で行くと皆集まっていた。ごめん、私は謝り皆で電車にのる。陽子さんはブラウスにチェック柄のスカート、凄く似合っている。バラ園前の駅で降りて園に行く、駅から直ぐ近くだから便利だね。
 
 バラ園は丘の傾斜地を利用して段々になっていて温室になっている。私達は話しながらぐるっと回り見た。私は赤いバラが良かったと言ったら、陽子さんは意外にピンクも淡く良いねと言った。華やかな陽子さんなら赤いバラと思ったらと意外な面を見たよ。潤はと言えば彩りどりで沢山あるのが良いそうだ。園内にはお店がありバラ関係の物があり、皆さんバラの苗を購入していました。私達は園外道路沿いにあるグッズのお店が良いです。Tシャツ、マグカップとかキーホルダーがお店にあり選り取り見取りだよ。私はお兄ちゃんのお土産に彼女と一個づつマグカップにしました。熱烈になる様に赤いバラの絵がある物にしました。お昼はファーストフード店があったので、そこで買い午後は紅楓橋ショッピングモールに行き楽しもうとなりました。
 
 ショッピングモールは五月以来になります。前の時は晴美君と一緒に女の子友達として買い物に来たんだけど、今回はデートです、デート。ここでも皆で色んな話しをしたりスイーツ食べたりして楽しんだ。今日は楽しかったね、と言い駅で開催、また明日ねと言い帰宅しました。お兄ちゃんにはこっそりとマグカップを渡しました。喜んでいました。
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