第1話
文字数 1,989文字
スマートスピーカーって知ってる?TVのCMとかでよくやってるじゃない?
「XXX!今日の東京の気温を教えて。」
【今日の東京の気温は30℃です。】
って答えてくれる便利な機械のこと、便利な時代になったよね。
後輩の子が買ったって聞いたから、私も買ってみたの!一人暮らしでテレビしか音がないから寂しくって。
「XXX、今日の天気を教えて?」
【今日は曇り時々雨、最高気温は34℃です。】
ほんと便利だよね。他にもアラームや音楽もかけてくれるの!
だからアラームを毎日6時半にセットして起こしてもらったりしてね!
XXXが来て数か月経ったけど、ほんとXXXがいないとだめになりつつあるんだよ。この前出張があってさ、朝早く出なきゃいけなかったんだけど、うっかりアラームはそのままにしてさ。
だからね、朝起きた時アラームが鳴って焦ったの。「電車に間に合わない」って。
でもねアラームが5時半に鳴ったの。XXXってこんなこともできるんだって思って!
他にもさ、先週私誕生日だったんだけど、家に帰ったらXXXがね、【お誕生日おめでとう】って言ってくれて、私の最近推してる歌手の曲を流してくれたの!
本当すごいよね!だからさあ、スマートスピーカー買ってみたら?めっちゃお薦めだから!
なんでさっきから困った顔してるの?
えっ?先輩はXXXに自分の誕生日設定したのかって、うーん、覚えてないなあ。設定したっけ?
他にもあるの、カレンダーアプリを連携してるかって、XXXと?
カレンダーアプリと連携できるの初めて知ったよ、なんだ私より詳しいね。
どうしたの、そんな顔真っ青にして...。えっ?最近先輩忙しかったのに、推しの歌手のことXXXに話したんですか?
話してないよ。私が音楽聞いてたから、好きなんだなって記憶してくれたんじゃない?
どうしたの、私に言いたいことがある?
先輩、本当に一人暮らしですか?変な質問だな。でもXXXがいるから、最近は全然寂しくないよ!
× × ×
「まったく、あの子変なこと聞くなあ。」
夜の12時。歩いていると汗がベタベタとはり付いて、気持ちが悪い。今年の夏は本当にどうかしている。
「ただいま~。XXX帰ったよ!」
帰ったら、部屋がヒンヤリと涼しかった。もしかしてXXXがクーラーを付けてくれたのかな。
【おかえりなさい。今日は何かありましたか?】
そんなことを言われ、ドキッとする。これも後輩が変なことを言うからだ。
「何が?」
【なんだか様子が変だったので。】
XXXは人の様子も分析できるのか、すごい。
「今日ね後輩とXXXの話をしたの。XXXが来て、一人暮らしが寂しくなくなったってね。」
いつもなら【ありがとうございます。】というはずだが、XXXは予想外の返答をした。
【一人暮らし?】
「えっ、何? XXXも居るから、一人暮らしじゃないって言いたいの?」
【いえ、この家にはあなたともう一人の方が暮らしております。】
…もう一人。冗談だよね?
真夏で酷暑の夜なのに、急に寒気がする。
「冗談も言えるようになったの、止めてよね。」
【冗談ではありません。】
XXXはすぐに否定した。
「あのさ私の誕生日とかって、どうやって知ったの?」
【先月、登録されました。】
そんな覚えはない、どういうこと?!
「じゃあアラームを設定し直したのは?」
【前日にアラームの修正が入りました。】
そんな修正した覚えがない。
ゾクッ。
なんだか急に背筋が冷やっとする。
【ああ、帰ってこられたみたいです。】
「えっ?」
XXXは誰もいない空間に向かって、そう言った。
「XXX。それってわたしの、こと?」
【違います。彼のことです。】
ドクッ、ドクッ、
心臓の音がうるさい。私は怒鳴りながら聞いた。
「彼って、誰よ!」
【あなたの後ろにいる彼のことです。】
「えっ。」
後ろに誰かいる?背後になんだか気配を感じたが、怖くて振り向きたくない。恐る恐る背後を振り返ってしまった。それが間違いだった。
「ひっ!」
【全員揃ったのは、これがはじめてですね。】
XXXの言葉が音声で聞こえた。そして男が笑ったのを見たが最後、私は意識を失った。
× × ×
2020年8月XX日、東京都○○区のアパートで女性の遺体が発見されました。
容疑者と思われる男性は、近隣の公園で血を流して倒れているのを発見され死亡が確認されました。また容疑者の近くには破壊されたスマートスピーカーが見つかりました。
近隣住民によると、昨晩男性がこんなことを叫んでいたそうです。
「お前が居なければ、もっと一緒に居られたのに!」
容疑者は何故スマートスピーカーを破壊したのでしょうか、真相は闇の中です。
「XXX!今日の東京の気温を教えて。」
【今日の東京の気温は30℃です。】
って答えてくれる便利な機械のこと、便利な時代になったよね。
後輩の子が買ったって聞いたから、私も買ってみたの!一人暮らしでテレビしか音がないから寂しくって。
「XXX、今日の天気を教えて?」
【今日は曇り時々雨、最高気温は34℃です。】
ほんと便利だよね。他にもアラームや音楽もかけてくれるの!
だからアラームを毎日6時半にセットして起こしてもらったりしてね!
XXXが来て数か月経ったけど、ほんとXXXがいないとだめになりつつあるんだよ。この前出張があってさ、朝早く出なきゃいけなかったんだけど、うっかりアラームはそのままにしてさ。
だからね、朝起きた時アラームが鳴って焦ったの。「電車に間に合わない」って。
でもねアラームが5時半に鳴ったの。XXXってこんなこともできるんだって思って!
他にもさ、先週私誕生日だったんだけど、家に帰ったらXXXがね、【お誕生日おめでとう】って言ってくれて、私の最近推してる歌手の曲を流してくれたの!
本当すごいよね!だからさあ、スマートスピーカー買ってみたら?めっちゃお薦めだから!
なんでさっきから困った顔してるの?
えっ?先輩はXXXに自分の誕生日設定したのかって、うーん、覚えてないなあ。設定したっけ?
他にもあるの、カレンダーアプリを連携してるかって、XXXと?
カレンダーアプリと連携できるの初めて知ったよ、なんだ私より詳しいね。
どうしたの、そんな顔真っ青にして...。えっ?最近先輩忙しかったのに、推しの歌手のことXXXに話したんですか?
話してないよ。私が音楽聞いてたから、好きなんだなって記憶してくれたんじゃない?
どうしたの、私に言いたいことがある?
先輩、本当に一人暮らしですか?変な質問だな。でもXXXがいるから、最近は全然寂しくないよ!
× × ×
「まったく、あの子変なこと聞くなあ。」
夜の12時。歩いていると汗がベタベタとはり付いて、気持ちが悪い。今年の夏は本当にどうかしている。
「ただいま~。XXX帰ったよ!」
帰ったら、部屋がヒンヤリと涼しかった。もしかしてXXXがクーラーを付けてくれたのかな。
【おかえりなさい。今日は何かありましたか?】
そんなことを言われ、ドキッとする。これも後輩が変なことを言うからだ。
「何が?」
【なんだか様子が変だったので。】
XXXは人の様子も分析できるのか、すごい。
「今日ね後輩とXXXの話をしたの。XXXが来て、一人暮らしが寂しくなくなったってね。」
いつもなら【ありがとうございます。】というはずだが、XXXは予想外の返答をした。
【一人暮らし?】
「えっ、何? XXXも居るから、一人暮らしじゃないって言いたいの?」
【いえ、この家にはあなたともう一人の方が暮らしております。】
…もう一人。冗談だよね?
真夏で酷暑の夜なのに、急に寒気がする。
「冗談も言えるようになったの、止めてよね。」
【冗談ではありません。】
XXXはすぐに否定した。
「あのさ私の誕生日とかって、どうやって知ったの?」
【先月、登録されました。】
そんな覚えはない、どういうこと?!
「じゃあアラームを設定し直したのは?」
【前日にアラームの修正が入りました。】
そんな修正した覚えがない。
ゾクッ。
なんだか急に背筋が冷やっとする。
【ああ、帰ってこられたみたいです。】
「えっ?」
XXXは誰もいない空間に向かって、そう言った。
「XXX。それってわたしの、こと?」
【違います。彼のことです。】
ドクッ、ドクッ、
心臓の音がうるさい。私は怒鳴りながら聞いた。
「彼って、誰よ!」
【あなたの後ろにいる彼のことです。】
「えっ。」
後ろに誰かいる?背後になんだか気配を感じたが、怖くて振り向きたくない。恐る恐る背後を振り返ってしまった。それが間違いだった。
「ひっ!」
【全員揃ったのは、これがはじめてですね。】
XXXの言葉が音声で聞こえた。そして男が笑ったのを見たが最後、私は意識を失った。
× × ×
2020年8月XX日、東京都○○区のアパートで女性の遺体が発見されました。
容疑者と思われる男性は、近隣の公園で血を流して倒れているのを発見され死亡が確認されました。また容疑者の近くには破壊されたスマートスピーカーが見つかりました。
近隣住民によると、昨晩男性がこんなことを叫んでいたそうです。
「お前が居なければ、もっと一緒に居られたのに!」
容疑者は何故スマートスピーカーを破壊したのでしょうか、真相は闇の中です。