(プロット)転

文字数 2,390文字




■転
アサ男を家に置き、マコトは職場に出勤する。
・開店準備を始めると、スタッフがカフェ入り口にいる不審な男について言ってくる。
・コスプレ鎧装備の怪しい男が……! マコトは慌てて、アサ男を店の奥まで入れた。
・「留守番してろと言い聞かせた筈だ」怒るがいう事を聞かないアサ男。

鎧を脱がされ、店の奥で黙って座っているように言い聞かせる。
・スタッフには頭のおかしい甥だと説明しておく。
・アサ男には「この世界に魔王はいない」と説明する。
・黙って座っているアサ男は退屈そうにしている。が、カウンターで働くマコトの姿に見入る。「暇じゃないのか?」「大丈夫だ。マコトを見ているから暇じゃない」やり取りにマコトは頭が痛くなった。

仕事が終わるまでアサ男はずっと店の隅っこに座っている。
・「何度も先に帰れと言ったのにしつこいな」マコトは呆れている。「お姫様をお守りするのが俺の役目だから」キラキラしている。「で、マコトが元に戻る方法を一緒に探そうな」アサ男の一言にイラッとする。

帰宅する。
・注文の品は明日メール便で届くようだ。イラつく相手を押し戻せる事ができるし清々する。
・アサ男は風呂に入っている。風呂上り、彼は自分の服が無い事に気が付く。
・全裸水浸しのアサ男が慌てていると、「着替えは脱衣所にある筈だ」とマコト。服は窓辺に干している。(着替え→マコトのパジャマと新しい下着→下着はバレンタインに洒落で貰ったネタっぽいトランクス)
・マコトの服は筋肉質のアサ男には少々小さいようだ。何かイラッとする。「もう寝ろ」・床に寝るアサ男はマコトの優しさに触れてニコニコ(その前にいきなりマコトに抱きつく→キスしようとすると阻止された)しながら眠った。

深夜、妻の事を思い出して眠れなくなるマコト。
・無防備に眠るアサ男の寝顔を覗く。さらさらの前髪を撫でる。
・確かに、アサ男位の年の子供がいてもおかしくない年齢だとふと思う。
・妻と出会ったのは高校時代で、一度付き合い、大学進学を機に別れ、お互い成人して暫くたって再会して結婚していた。もし、あの時別れずに付き合っていたら、アサ男みたいな年頃の子供がいただろう。
・妻の遺影がある棚に暫く向かっていた。(遺骨は妻の実家が回収済み)

翌日、マコトはいつものように出勤する。アサ男は今度こそお留守番。
・アサ男は家の中で一人、暇なので物色する。聡美の部屋(クローゼット)には女物の服が散乱して、ゴミ袋からあふれている。
・マコトを元の女性に戻したいと勝手に思い続けている(思い込みが激しい)。しかし、どうやったら良いのか? 絵本を見つける。
・白雪姫を読破。キスで死から生還する白雪姫でヒントを得て、マコトを元の姿(写真の女の姿)に戻そうと考える。
※マコトは写真写りが悪い為、聡美の写真しか部屋に飾っていない。

アマゾンの小包を持って上機嫌に帰宅するマコト。
・玄関で待ち構えていたアサ男がいきなり濃厚なキスをぶちかます。バッターン!
・別に何も起こらない。「いきなりなにしやがんだ気色悪い!」アサ男にパンチ。
・「あ、あれー?」殴られたアサ男は放心状態に陥る。

新しいゲーム(恋愛漫遊記)を起動する。
・元に戻す方法を模索中……。乙女ゲームを黙々と始める中年男性の背中は悶々としている。
・マコトが何をやっているか覗き込むアサ男が驚く。「これ、俺?」「わかったか、お前はゲームの国の人間なんだよ」
・大人しくアサ男が隣でマコトのプレイを見ている。「おい、異世界の扉とやらはどこにある?」スルメ銜えながらアサ男に質問。「そんなの知らないぞ。俺はここの世界で、最後にマコトと別れる前に強く、マコトと一緒に居たいと願っただけだ」
・結局、真相はラストまでアーサー編をプレイしなければいけないのか。


7時間後……。
・新聞屋のスクーターの音。夜が明ける。
・「終わったぞこの野郎……」徹夜してエンドロールを見守るマコト。その隣でアサ男はチューハイの缶を持ちながら寝息を立てている。「何も起こらない……?」
・虚しくスタート画面に戻った瞬間、マコトが不安になり始める。「聡美ー!? 一体どういう事なんだぁぁぁぁぁぁぁっ?」遺影に向かっても何も起きない。
・3時間後、やつれた表情のマコトは再度プレイしていた。
・目覚ましが鳴る。「うおああああああああ! こんな時間か?」ひとしきり雄たけびを上げて朝の身支度を始める。「……マコト?」「お前のせいで貴重な睡眠時間が奪われたじゃねえか」ユンケル片手のオッサンが大人気なく当り散らす。
・朝飯は無しで、イライラしながらマコトが仕事に飛び出していく。





昼下がりのカフェに、再度コスプレ男が出現!
・「マコトー、腹減った飯~」アサ男がヘラヘラと店に入ってくる。「何でまたお前はそんな格好なんだよ?」「服が乾いていたみたいだからな」
・マコトが作ったクラブサンドを美味しそうに頬張るアサ男は幸せそう。コーヒーと一緒にほっこりしている彼の存在に苛立ちを隠せないが、不思議と憎めない。
・「ちょっと店抜けて良いかな?」マコトは従業員に店を任せ、「ちょっと来い」とアサ男を外に連れ出す。

近場のセレクトショップに立ち寄る。
アサ男用の服を適当に見繕う。店員の見立てでやっと他人にジロジロ見られない格好に。「今から、外出る時はこれを着るようにな」「えー? 魔物が襲い掛かってきたらどうするんだよ」「そんなの出ねえよ」
普通の男になったアサ男に、マンションへ帰れと言う。
・「今日は早く帰ってくる?」寂しそうにするアサ男に、亡き妻の姿が被った。「ああ、なるべく……な」
・アサ男は素直にマンションに帰る。その後姿は本気で寂しそうだった。妻を思い出す。「あいつもそうだったのかな」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み