第1話

文字数 1,590文字

ピンどめ、リボン、ぬいぐるみ、ハンカチ、えんぴつ……
くるみちゃんは かわいいものが 
だいすき。
なかでも おきにいりは 
おはなのワンピース。
くるんと まわると 
ふわっとひろがります。
なんだか このワンピースをきると
いつもより じぶんが かわいいようなきが するのです。
くるみちゃんは アイドルのまねをして
くるんと まわってみます。

ビリッ。
いやなおと。
かがみをみると うしろのところが
べりっとやぶれてしまいました。
「おかあさん。」
くるみちゃんは なきながら おかあさんを よびました。

おかあさんは、やさしくいいました。
「くるみちゃん、しょうがないのよ。
くるみちゃんが おおきくなったから、
ワンピースが ちいさくなっちゃったの。
ワンピースさんに ありがとうしようね。」
「もう このワンピースを 
きられないなんて いやだよー。
だったら、くるみ おおきくならなくて 
いいもん。
ちっちゃいままで いいもん。」
くるみちゃんは、ますますこえをあげて 
なきます。
「だいじょうぶよ。
おかあさんに ちょっと かんがえがあるからね。」

つぎのひ くるみちゃんが 
あさ めをさますと……
くるりんぱ。
あのワンピースは スカートに へんしん!
「うわー。」
くるみちゃんは ベッドからとびおきて、
スカートを はいてみました。
そして いつもみたいに 
くるんと まわってみました。
そこに おかあさんが かおをだして 
いいました。
「きにいった?」
「うん。とっても。
おかあさん、ありがとう。」
その はながらのスカートは 
くるみちゃんの おきにいりに 
なりました。

その おきにいりのスカートで
こうえんの すべりだいを 
すべろうとしたとき……

ビリッ。
あのいやなおと。
おともだちに みてもらうと
やっぱり スカートは やぶれていました。
くるみちゃんは おかあさんに 
やぶれたスカートを みせました。
「あらあら、たぶん どっかに ひっかけちゃったのね。
しょうがないね。」
「すてるなんていやだよー。
だって このスカート 
だいすきなんだもん。」
やはり、くるみちゃんは なきだしました。
「だいじょうぶよ、くるみちゃん。
おかあさんに ちょっと 
かんがえがあるからね。」

つぎのひの あさには……
くるりんぱ。
スカートは くまの ぬいぐるみに 
へんしん!
「わー、かわいいー。」
くるみちゃんのこえに
おかあさんが とんできました。
「きにいった?」
「とっーーーても。ありがとう。」
くるみちゃんは、ぬいぐるみに 
『はな』と なまえをつけて
とっても かわいがりました。
はなは、くるみちゃんの おきにいりに 
なりました。

くるみちゃんが ようちえんから 
かえってきたときのことです。
ベッドのところにいるはずの はなが 
いません。
びっくりして はなを さがしていると、
にゃあが はなを ふりまわしていました。
それをみつけたくるみちゃんのひめいで
おかあさんが かけつけました。
「にゃあが あそんでいて、
こわしちゃったのね。」

くるみちゃんは、かなしくて 
たまりません。
おかあさんが どんなになぐさめても
くるみちゃんは なきやみません。

はなは、ちっちゃな ぬのきれに 
へんしん……

そのとき、おかあさんが いいました。
「くるみちゃん、おかあさんといっしょに
 くるみボタンを つくろうよ。」

「くるみのボタン?」

「くるみボタンってなまえの ボタンよ。
だから『くるみのくるみボタン』を 
つくろう。」

くるみちゃんは、おかあさんに
つくりかたを おしえてもらいました。
そして、ちょっぴり おてつだいを
してもらって、
くるりんぱ
ちっちゃな ぬのきれは
おはなのがらの くるみボタンに 
へんしん!

くるみちゃんの くるみボタンは、
くるりんぱで へあゴムに!
くるりんぱで
ようちえんのかばんの かざりへと 
だいへんしん!

『くるみのくるみボタン』は、
くるみちゃんの 
だいの おきにいりに なりました。


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