1   探偵部開始

文字数 2,047文字

「行ってきます。」
いつものように家族のいない家を出る。家に居るのはメイドと執事だけだ。親は海外に出張に行っている。
今日は入学式の次の日。昨日は入学式で新しいクラスになり学校が始まった。
この学校の理事長は私の親だ。でも、学校のことはほっといているようだ。それでも私は学校の人に知られたくない。
そんなことを考えるうちに学校についた。
教室で自分の席に座って本を読んでいると、廊下から
「一ノ葉汐梨さんいますか。」
という声が聞こえた。なんで今来るかなぁと思いながら返事をして廊下に出た。
「はい、一ノ葉汐梨ですがご用件は何ですか。早くしないとチャイムなりますよ。」
早く帰ってほしいから強気で言おう。
「私、小日向凜香。一つ上の中学二年生。探偵部を作ろうとしてるんだ。それで今は、」
そんなことか。ならどうでもいいや。
「すみませんが、私は部活に入るつもりはありませんのでお引き取り願います。」
「えっ。あの一回だけでも部室に来てもらえない?あなたが入ってくれたら部活が成立するのに、、、、、、。」
 私は勉強に専念したいんだけどな。どうか引いてくれないかな。
「もうチャイムなりますので、帰った方がいいかと思いますが。」
「ああ、本当だ!一ノ葉さん部室来てね。いつでもいるから。」
 最初から面倒なものに巻き込まれたな。まあ気にせず今日は帰ろ。
 チャイムが鳴り先生が入ってきた。優しそうでおっとりしている男の先生だった。でもその見た目からは思えないような自己紹介をした。
「俺は斎藤康太だ。一年間よろしくな。趣味はランニングで好きな食べ物は肉だ。一年生の体育を教える。以上。」
すごくさっぱりしている自己紹介だな。
 そのあとは順番に自己紹介をしていき私は自己紹介でこう言った。
「一ノ葉汐梨です。一年間よろしくお願いします。よくしていることは勉強です。」
その時はクラスメートに、
「がり勉!」
と笑われたでも私はそんなの気にしない。ほんとのこと言っただけだから。
 今日はそのまま帰る予定だったが小日向先輩が毎回休み時間来て言うもんだから、五分だけというのを条件に渋々行くことにした。
 その日の放課後私は探偵部の部室(予定地)に行った。そこはもともと工作部が使っていた部室らしい。
「失礼します。一ノ葉汐梨です。五分間だけ見学に来ました。先輩方の名前と活動内容と顧問の先生の名前を教えてください。五分でお願いします。習い事に間に合わないので。」
 ふう。一気に言い切った。なんかみんなぽかんとしてるななんでだろう。
「自己紹介ありがとう。みんなこの子が私がスカウトしてきた子だよ。運動も勉強もすごくできて天才なんんだって。」
 なんでそんなこと知ってるんだ?
「ふ~ん。この子はいるんだ。まっいいや。私石川結衣。凜香の幼馴染だよ。よろしく!」
 なんで入ることになってるんだ?
「先輩、もしかしてほかの先輩方に私が入ると説明しましたか。私は何をしているのかを聞きに来ただけです。」
 それだったら超めんどくさそう。説明すると長くなりそう。
「あっそうだったの⁉凜香ちゃんと人の話聞かないとだめだよ。」
石川先輩の言う通りですね。こんなのが部長で大丈夫か。
「そうだったのか。私早く探偵部つくりた過ぎて幻聴聞こえたかもしれん。ごめん、一ノ葉さん。」
まあいいけどさあ、部長しっかりしてくれ。
「あと、三分です。早く話してください。今日中に全て知りたいので。」
はやくしてくれ。時間が、時間が。
「あっそうだね。じゃあ次坂田君自己紹介してもらえる?」
「はいはい。俺は坂田悠太。もともとは陸上部に入るつもりだったが、探偵部を作りたいと宣伝してる面白そうなやつがいたから入ることにしたんだ。でこいつは。」
 へえ、足早いんだ。競争してみたいな。
 あっこの子、どっかで見たことあるような、、、、、、。
「星野晴です、よろしく。」 
あっ。そうだ、バイオリンのコンクールで銀賞をとった子だ⁉星野先輩も気づいたみたいでびっくりしてる。
「あっお前あの時の。」
「ん、二人知り合い?」
小日向先輩が聞く。
「ちげぇよ。小さい頃受けたバイオリンのコンクールで金賞とった子に似てただけだよ。」
「あっ。晴が八歳の時に受けて銀賞だった。」
 その子ですよ。まあ今は隠しとこ。
「そんなに星野君、バイオリン上手なんだ。今度聞かせて。」
「それは無理っすよ、石川。もう晴はコンクールで負けてからバイオリンやってないから。」
え、、、、、、。そうなんだ。まあ上には上がいるってわかるとプライドが傷つくからね。まあ仕方ないか。星野先輩、バイオリンのコンクールもう一回出てほしいな。また競いたい。
 よし決めた。もう一回出てもらうためにこの部に入ろう。
 習い事をすべてやめよう。もう勉強は高校までのは完璧だし。
「先輩私、探偵部入ります。これからよろしくお願いします。」
「え。本当に入ってくれるの。マジで。ありがとう!よし。これで探偵部始動だ。」
 そして、新しい毎日が始まる。
 

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