第1話

文字数 513文字

視界が霞むほどの大粒の雨が降りしきる夜。
視界が霞むほどの大粒の雨が降りしきる夜。
多少の躊躇いはあったが空腹には勝てず、コンビニへ向かうため、隆史は傘を差して外に出た。

時刻は十一時過ぎ。
コンビニまでは徒歩で二十分。
辺りは闇と雨音に包まれ、隆史の足音だけがやけに場に響いた。

そうしてしばらく歩くと、眼前の空に浮かび上がる“ボゥっ”とした薄明かり。
田舎の土地に唯一ある二十四時間営業のファミレスの看板である。
そこの広大な駐車場の敷地を横切れば、多少の近道になるので隆史はいつもよく通って利用していた。

その日もスマホの液晶画面の明るさを支えに、薄暗い中を突き進む。
そんな隆史の元に聞こえてきた、いつもとは違う何かの音。

ゴゥン――、ゴゥン――……

大雨の音の隙間を縫うように、耳よりも体に響きそうな鈍くて重い音が木霊する。
その異質さに思わず、隆史は歩みを止めて、音の出所を探す。
音はどうやら駐車場奥からのようだった。

どうせ、通る道だ――。

数度大きな水溜りを飛び越えてから、隆史は興味本位でそっと駐車場奥を覗き込んでみた。

すると、そこには駐車している車の窓に向かって水晶玉ほどの大きな石を投げ続けている青いレインコートを来た女が立っていた。
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