第1話

文字数 751文字

忙しいなか、あのひとからのメール。
今喧嘩みたいになっちゃってて、長文の酷い内容が多いけど、それでも音沙汰無しよりは良い。
なんにしても、あのひとがわたしの事考えてあれこれ書いて送ってくる。
それでわたしも、自分の事、あのひとの事考えて返す。
そんなやりとりすらなくなったら、わたしはただ忙しいだけのオバサンだ。
あとで、時間ある時ゆっくり読んでから返信しよう。
仕事はまだ慣れないし、職場の人とも馴染めてない。
帰ってきたら、子供たち。
4人それぞれ、わーわー勝手ばかりでうるさい。
それでも、あと5年、いや、10年頑張ったら、あのひととふたり、ずっと一緒。
そう決めたんだ。
だから、頑張るのだ。
合間に少しずつ読んで、返信。
あのひと、最近またおかしくなっちゃってるから、また酷い事書いてあるに違いない。
あら?
最近には珍しく、わたしほめられてる。
「きみは男にモテる」だって。
「顔も体もきれいだ」って。
「そんなふうには思えないし、自信ないから、あなた以外の男性は考えられない」
と返信。
「ママー」
末娘がうるさい。
でも、こんな時間は過ぎたら帰って来ない。
それを教えてくれたのは、あのひと。
子供たちがもっとちいさい頃、育児に手を焼くわたしにあのひとそう言ってた。
それを、今実感してる。
だから、あのひとにはも少し待ってもらうんだ。
あ、間違えたかな?
「あなた以外の男性は考えられないから、そんなふうに思えない」
そう書くべきだった?
あのひと、独りよがりだから、変に解釈されちゃう事が多々あるんだ。
また子供たちが呼んでる。
みんな寝てから落ち着いて読んでちゃんと返そう。
でも、少しでもマメに返した方がキモチ伝わるでしょ?
わたしがどんなに忙しいかは、知ってる筈だから。
そんななかで、わたしはあのひとの事もちゃんと考えてる。
実際良くやってるよ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み