第1話

文字数 1,738文字

思い返すと、この頃ってみんなそうなんですが、悩み深い少年だったなあ、と思います。
悩んでいたし、初めて経験する辛さだったので、もう何度目かの辛さを味わって経験が出来た今から戻りたくないような刺すような痛みでしたが、もうこの頃のナイーブさは取り戻せません(笑)。それには、あまりにも多く色んなことがありすぎたなあ、と思います。

この頃の僕は、中学三年生から、ワキガを気にしだし、受験勉強にも身が入らず、好きな女の子は成績がよかったので、地元の公立高校に受かったのですが、僕はすべって、勉強はそこそこのスポーツ名門校に行きました。
で、その女の子をどうこう、とも、ワキガ臭い(この頃は、みんな大なり小なりデオドラントなんてしていることも知りませんでした。しかも、ワキガを気にしだしたのも、友達に臭いと言っていたら、自分が臭かったという間抜けな話です。)自分にはどうにも出来ない。まあ、そのままどうもなりませんでした。
そこで、恥ずかしがる母に頼んで、大学病院に電話してもらい、ワキガの手術をしてもらえる形成外科を聞き、高校1年の春に手術をしてもらいました。そこへ、また思春期のコンプレックスで、ホクロを取りに来ていた女の子と居合わせ、美容整形疑惑が浮かんでいたようです(笑)。そこまで形成外科ではしないんですが(笑)。
先生も術中、コンプレックスがあろうと、世間へ立ち向かっていくのかな?なんて励ましてくださっていましたが、当時は、もう視野が(世界の見え方です)狭まっており、友人とこういう悩みを共有することも出来ませんでした。ちょっと自分が恥をかいてくればいいだけなんですが、そこまで開き直りの出来る高校生もなかなかいないようで、大学を出るまで隠していました。
けれど、この、隠すのが、恥をかきたくない、という16歳の気持ちからきているんですが、気にしていることを友人にまで隠すことは、やはり精神衛生上よくありませんでした。進学した大学でも、高校でもしっかりバラされていましたから、隠し事は、恥ずかしくても、しないほうがいいです。

そこで、ワキガが我が子に遺伝し、恨まれるのを恐れ(これを保身という(笑))、もうそういうことはすまい、と思い(とはいっても、二十歳と二十八歳の時、長引く大失恋をしました(笑)。この時も、友達に内緒でした。フラれたあ!って泣いてヤケ酒飲めば深手にならずに済んだのに(笑)。)、エレキギターを買って、ラグビー部に入り、趣味のあるおじさん(これは高校の友人が後に同じことを考えていたことを教えてくれました。)になろうと、ラグビー部は、コンプレックスから、暗く沈んで、なよなよしていたので、いじめられて冬にはやめ、ギターの方向へ進むことになりました。この頃に考えていたギターをやるイメージは、壮大な曲を書いて、スタジアムで演奏している自分でした。けれど、なれたのは、小さなところで、いくらかお客さんが来てくださって(もちろん他の人を見に来ている(笑))、アコースティックギターで弾き語り、のスタイルでした。とはいえ、始めた当初は、三十年続く趣味になるとは思わなかったし、アコースティックギター弾き語り、も予想だにしていませんでした。わからないものですね。

とまあ、16歳前後のことを長々と述懐してみましたが、もう当時のかわいらしい感性の僕には戻れませんし、戻ったらまた辛いことも二回目になるので、今度は死ぬる、と戻りたくありません。16歳の僕にかけてあげる適切な言葉も持ちません。何かかける言葉があるとするなら、内緒ごとが友達にまであるんじゃ辛かろう?話してみなっせ、きっとみんなおんなじで大きな悩みがあるよ、のようになるのかなあ。けど、おっさんの感性で声をかけるんですから、16の僕は、けっ、おっさんに何がわかる、と思うかもしれません。

今も、決して、経済的に恵まれていたり、家庭があったりというのではありません。ただただ、もうやり直しはきかないし、懐かしいなあ、と思います。    (終わり)


(後記)もうちょっと、高校生の感性に戻って、青春小説を書いてみる、とかのほうがよかったのでしょうか?(笑)どうしても、みんなが何かしら抱える頃だから、述懐になってしまいました。
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