文字数 499文字

 僕は、刃を持っているよ。
 でも、ちっともあぶなくないよ。
 だって、君には刃を向けないから。
 だって、君は弱いから。
 弱い君に刃を向けたら、君が傷ついちゃうから。
 それに、君は鎧を身につけているから。
 鎧に刃を向けても、意味がないから。
 弱い君は、自分を守るために鎧を身につけている。
 僕以外の、他の刃を持った連中に傷つけられないように、鎧を身につけている。
 でも、あんまり鎧が堅いと、仲良くできないよ。
 まるで、僕が君に拒絶されているようじゃないか。
 僕は刃を持っているけれど、君には決して刃を向けないよ。
 君は僕を信用していないのかい?
 僕が刃を持っているからといって、僕の前では決して鎧を外さないつもりかい?
 それじゃあ、僕がまるで犯罪者のようじゃないか。
 君はその鎧で、僕を傷つけているという自覚がないのかい?
 お互いに理解ができないのなら、僕たちはやっぱり仲良くできないね。
 そんな調子で鎧を身につけたままだと、誰にも相手にされないよ。
 それは寂しく、悲しいことだよ。
 ほら、見てごらん。
 あそこに鎧を脱いだ人がいるよ。
 君のように、弱くて小さい人が、鎧を脱いでいるよ。
 傷だらけだけど。
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