第1話

文字数 1,017文字

 イツキは、部屋のノートパソコンに向かって、小説を書いていたが、手が動かなくなった。
 そして、主人公のコウイチの恋人の気持ちが分からず、困っていた。
 「ああ、どうしよう」と手をこまねていた。恋人のクルミの行動がイメージできなかった。
 イツキは、電車が好きだから、品川まで出た。
 京急快特が、好きだ。
 だから、京急快特で、品川から横浜まで行こうと考えた。
 それで、イツキは、そのまま京急快特三崎口行きで、横浜まで出て歩いたが、どうにもならない。
 「みなとみらいへ行こうか」とスマホのアプリを観ながら考えたが、何となく違う。
 横浜駅の近くのゲームセンターへ行こうとした多、ゲームをする元気もない。
 イツキは、アイデアが思い浮かばない。
 そして、イツキは、そのまま、横浜駅から品川駅まで帰った。
 イツキは、これでも、小説家だ。
 そして、売れないと言いながら、入選もしている。
 そして、原稿を持って出版社へ向かった。
 「すみません、担当の永原さんは、いますか?」
 「いえ、もう、永原は、先週やめまして」と言った。そして、そこへ一人の編集者の女性が来た。
 彼女は、怒ったような顔をしていた。
 目の前の女性編集者は、女優の長澤まさみに似ていた。
「あの」
「はい」
「あの小説」
「はい」
「何、書いているか分からないのですけど」とショートカットの編集者は、言った。
 偉そうな女。
 イツキは、もう40代後半の男だが、自分より、18歳近くも年下の娘に言われてカッとなっていた。
 目の前の女性編集者は、シズカと言った。
「これ、またやり直してください」と言った。
 素っ気ない態度だった。そして、カッとなって「いい加減にしろ」ともう、キレそうになったが、「ここで怒ると、もう駄目だ」と思った。
 イツキは、もう終わったと感じた。
 イツキは、家に帰って、ノートパソコンで原稿を書いていた。そして、暫くすると、メールが届いているのに気がついた。
 以外だった。シズカからだった。シズカだった。
「頑張っていますか?ボチボチ書いてください」「締め切りは、伸ばします。来週の水曜日まで伸ばします」とあった。
 イツキは、シズカの茶番劇に、『東海道純愛組』というクルミの行動パターンが、参考になった。
 シズカのお芝居が、良かったのだ。
 その後、イツキは、長澤まさみに似ているショートカットのシズカと付き合いが始まったらしい。そして、『東海道純愛組』は、書籍化になった。<完>

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