【その1】4月5日

文字数 479文字

出社するなり、隣の席のAさんの様子が気になった。

まだ仕事は始まったばかりだというのに、彼女は少し疲れ気味のようだ。

Aさん、おはようございます!


おはようございます
昨日は遅くまで残業なさったそうですね。お疲れ様でした
いえいえ
Aさんが残業してくださったおかげで、朝イチの会議に書類が間に合いましたけど……、課長が思い付きで新規顧客のデータを追加しよう、なんて言い出さなければ、そもそも直す必要なんてなかった書類ですもんね!
そうね。もう帰ろうとしていたから、急に変更を頼まれた時は、正直困惑したわね
まったく課長ったら、勝手ですよね!

……Aさん、ストレス溜まったんじゃないですか?

私なら大丈夫よ、家に帰ればこの子が待っていてくれるから
そう言ってAさんは、スマホのホーム画面を見せてくれた。

そこにはクリッとしたあどけない瞳が可愛いらしい、茶トラの仔猫が写っていた。

わぁ、可愛い〜!

Aさんが飼っているんですか?

ええ、ミーちゃんっていうの。寂しがりやだから、いつも私の足元にまとわりついて来るのよ
いいですね、ミーちゃん!

こんなコがいてくれるなら、仕事がキツくても頑張れますね

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登場人物紹介

私子:語り手

証券会社の新人OL、卒なく仕事をこなすAさんに憧れている。

Aさん

私子の会社の先輩。猫を飼っている。

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