第1話 計画殺人

文字数 1,354文字

2024年の初夢でみた怖いおはなし。

気付くと私はいとこの家にいた。実際に行ったことはないのだけれど、いとこの所作がその家の主だということを示していたので、あたり前のようにここは落ち着く場所だと思って過ごしていた。

親戚が集まり、和気藹々とした雰囲気が流れていた。それに加え私は彼氏も連れてきていたので、家族に紹介できたという安堵感から気がとても緩んでいた。


ピンポーン

インターフォンが部屋に響いた。

響いたと同時に私は胸騒ぎがした。こんな時間に一体誰だろう。なんだか怖いなと直感した。時刻はもう22時をまわっていた。

いとこに目を遣ると「あぁ、あの患者さんかもなぁ」と溜息をついた。そのまま、ちょっと嫌そうな顔をして玄関に消えていった。
事情を知らなかった私は、「大丈夫かなぁ」「医者に恨みを持っている患者さんっているんだね」「こんな時間にやめてほしい」みんながそれぞれ口を揃える中で、医者であるいとこの診断に納得できない患者さんが恨みをもって訪問してきたんだという理解に追いついた。
いとこが心配だが、私はさらに何かあれば私たちにも身の危険が及ぶのではないかと感じた。

そしてそれが夢の中での現実となった。いとこがナイフで刺された。

犯人の女は、いとこと関係のある者はみんな殺すという意志があった。
早くここから逃げなくちゃと思い、私はみんなに声を掛けた。だけど、みんなはそこまで乗り気でない様子であった。父や姉は、こういう時はじっとしているのが一番だと私に言ってきた。家にいれば必ず殺されるのはわかっていた。家族が死ぬのは辛い、でも殺されたくない。

恐怖でいっぱいの私の心が逃げることを選択した。無我夢中でベランダから家を出た。
気付けば、私の携帯に
「☑(いとこの旦那)、☑(いとこ)、☐(姉)、☐(父)、…」というメッセージが送られてきた。
すぐに犯人からだとわかった。
父や姉の名前をみて、いとこの家に残っている人の名前だと思った。まだチェックが付いていないから2人が殺されるのは時間の問題だと悔みながらも、まだ死んでいないならなんとか逃げてほしいと心から願った。私は必死に走っていた。
また、メッセージが届いた。
「☐(親戚)☐(親戚)☐(親戚)☐(私の名前)・・・・・」
次は、家を出た人の名前。この順番で殺すのかと言いようのない不安が私を押しつぶした。

彼氏が図書館にいた。私も後を追うように図書館に逃げた。広い図書館なので、少しここで時間稼ぎができると思ったがその束の間、大きな窓から外に目を配ると黒い服を着た若い女が鉄砲をもって図書館に向ってきた。
「一人残らず殺してやる」

私は警察に通報できなかった。地名がわからないからというただそれだけの理由で何もしなかった。しかし、希望が見えていた。犯人はどうしてか私の名前を知ってメッセージを送ってきたけれど、私の顔まではわからない。どうにかすれば逃げ切れる。それに彼氏の名前が入っていない。彼氏が死ぬことはないという安堵感が私の中で広がった。

図書館の中でかくれんぼが始まった。

犯人は一般利用者に交じって図書館内を歩いていた。私も利用客として椅子に座って本を読んでいた。犯人は利用客一人ひとりに話しかけていた。私の番が来た。

「あなたの名前は?」

犯人と目が合った瞬間、私は夢から醒めた。
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