お金の詩

文字数 367文字

月末になる度に
同棲している彼女とケンカをする
末日の支払い

かね
KANE


不思議だ
いくら働いても
いくら節約しても
決して増えずに
減っていく
心の余裕もすり減って
そんな馬鹿なと思いながら
それでも身のない財布を眺めていると
夜中の尿意で目が覚めるような
情けない涙があふれてくる
「もうお金でケンカをするのは辞めよ
 う」
ああ 本当に
もっとあればいいのに
国の偉い人たちが
もっとたくさん印刷してくれないかな
こんなに頑張っているんだもん
ぼくは徹夜して原稿をこしらえて
彼女は朝早くからお弁当を作って
二人とも必死で生きているんだから
紙代ぐらいもちろん払うさ
その専用の機械で刷った紙切れを
月に百枚ぐらいくれやしないだろうか
いやほんとに
そうすれば少なくとも
月末のケンカはなくなるし
心の余裕は生まれるし
少子化だって
犯罪だって
戦争だって

すべてはその紙切れ次第なのに
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