プロット

文字数 1,816文字

【起】
 中学1年生の大和(やまと)の家は神社。父親が宮司をしている。
 ある日の朝、毎朝の日課である本殿の清掃をしようと中に入ると……1人の女の子が倒れていた! ……よく見ると、寝ているだけだった。
 女の子は目を覚ますと、「私はイヨ。私は邪馬台国(やまたいこく)の女王」と意味不明なことを言い出した。しかし、それ以外のことは何も覚えていないようだった。
 大和の両親は「この子は神様の子に違いない」と勝手に思い込んで、元の世界に帰れるまでイヨを家で預かることにした。
 イヨがいつ戻れるかもどうやったら戻れるかもわからなかったので、大和の母親の提案で、イヨは親戚の子ということにして、伊代(いよ)の名前で大和と同じ学校に通うことになった。

【承】
 大和と同じ中学校に通うことになった伊代。初めての学校生活は新鮮だったが、多くの生徒と過ごす学校の雰囲気にはすぐに慣れることはできず、疲れた表情をしていた。
 それを見た大和はなんとかしたいと思ったが、自分ではどうしたらいいかわからない。そこで、クラスメートの真知(まち)に相談した。おっとりした性格の真知は、伊代にやさしく接してくれた。おかげで伊代も少しずつ元気になってきた。真知は伊代にとって初めての友だちになった。
 大和と真知は自分たちが入っている部活「歴史クラブ」に伊代を連れていく。そこで、伊代は、部長でリーダーシップのある3年生のトオル、副部長で面倒見のいい2年生の美紀(みき)、生徒思いで歴史に詳しい顧問の教師の藤原(ふじわら)に出会う。クラブの雰囲気が気に入った伊代は、歴史クラブに入部することにした。
 歴史クラブの活動は、教室で歴史を勉強したり各地の史跡を巡ることなど。伊代は古代の遺跡を見るとなぜか心が落ち着くのを不思議に思っていた。クラブのメンバーとも仲良くなり、伊代は歴史クラブの活動をとても楽しんでいた。

【転】
 夏休み、歴史クラブで恒例の夏合宿を行うことになった。目的地は邪馬台国の時代の建物などを再現した「邪馬台国パーク」というテーマパーク。そこにはキャンプ場も併設されていて、メンバーはそこで合宿をすることにした。
 当日、邪馬台国パークを訪れたメンバーは、昼間はパーク内の遺跡を見て古代の歴史について学び、夜はキャンプでみんなで食事を作ったり花火をしたりして楽しんだ。
 しかし、その日の深夜、事件が起きた。
 ふと真知が目を覚ますと、隣りに寝ていた伊代がいなくなっていた……。
 メンバー全員で伊代を探していると、邪馬台国パークで一番大きくて立派な建物の前に伊代が立っているのを発見した。だが、伊代の様子がどこかおかしい。
 そのとき、伊代が突然意味不明な言葉を唱えだす。すると、周囲が急に明るくなって、伊代のまわりに古代人の格好をした大勢の人が現れる。伊代はその人たちを前に「邪馬台国は復活した!」と高らかに宣言する。それを聞いた人たちは「イヨ様! 女王・イヨ様!」と連呼しながら歓声を上げる。パークは異様な熱気に包まれていた。
 伊代と古代人の格好をした人たちは、歓声を上げたままパークの外に向かって歩き出す。しかし、歩いていく先には切り立った高い崖があった。そこから落ちたら命はない。だが伊代は前方にある崖に気づいていない。メンバーは必死に伊代を止めようとしたが、止めることはできず、伊代はそのまま崖に向かって歩いていく。
 そのとき、大和が伊代をやさしく抱きしめ、大和の家に代々伝わるという呪文を唱える。すると、伊代の動きが止まり、その場に倒れてそのまま眠ってしまう。それと同時に、まわりにいた人たちも消えていなくなった。

【結】
 次の日の朝、目を覚ました伊代は、前日の夜のことは何も覚えていなかった。
 伊代が「そういえば夢を見た」と話を始める。「不思議な夢を見た。とても懐かしい感じの夢だった。とても楽しかった。でも、途中で道に迷ってどこに行ったらいいのかわからなくなった。怖かった。そしたら、大和が……歴史クラブのみんなが迎えに来てくれた」
 夏合宿から帰った後、メンバーは合宿についてレポートを作成した。そのレポートはこう締めくくられていた。
「邪馬台国は間違いなく存在していた。邪馬台国には偉大な女王が2人いた。1人は卑弥呼(ひみこ)。そしてもう1人は卑弥呼の後に女王になった壱与(いよ)……」

 伊代は本当に邪馬台国の女王なのか? 本当は何者なのか? どこから来たのか?
 それはまだ誰にもわからないが、伊代と歴史クラブのメンバーの学生生活は続く。
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