第1話

文字数 9,195文字

 2019年のプロ野球は、パ・リーグを埼玉西武ライオンズ、セ・リーグを読売ジャイアンツがリーグ優勝、CS(クライマックスシリーズ)を経て、日本シリーズはジャイアンツと福岡ソフトバンクホークスとの対戦となり、ソフトバンクの4連勝フィニッシュで日本一へと輝いて幕を閉じた。
143試合のレギュラーシーズンに加えて、CSと日本シリーズのポストシーズンの戦いに、僕たちファンはその勝敗に一喜一憂するものだ。
だがその勝敗の果てに得られる結果に、果たしてプロ野球ファンはどのような思いを抱いているのだろう?
かくいう昨年12月、レギュラーシーズンは2位ながらCSを突破して日本一になったソフトバンクのメンバーが、V旅行を満喫している姿や報道には、何か得体の知れない引っ掛かりのようなものを僕は感じた。
違和感の正体は何なのか?
悶々とした思いのまま年末年始を過ごし突き詰めた結果、いくつかの提言に思い至ったので、この場を借りて語らせていただこうと思う。

 まず初めに、ライバル球団のファンとして思うところは色々あるが、日本一の栄冠を掴んだソフトバンクの選手たちがV旅行を楽しむことは、ルールに則った結果からくるご褒美なので、批判的なことを言うつもりはないことをご容赦いただきたい。
では何が引っ掛かり問題なのか、それは現行の日本プロ野球界におけるCS制度の運営方法や仕組みに対しての方にだろう。
 2004年のシーズンからパ・リーグが先行する形で始まったCS、当時はプレーオフという名称制度だったが、そこから3年後の2007年のシーズンからセ・リーグでも開催されるようになって、対決方式やルールの変更があり、現在のCSへと続く流れへと相成った。
なお前後期制で両期の優勝チーム同士で戦って日本シリーズへの出場権をかけた、1980年代のパ・リーグのプレーオフ制度もあったが、今回は2004年以降のポストシーズンに限って話を進めたいと思う。

 ルールの改正はあったが、日本のプロ野球におけるプレーオフ・CSなどのポストシーズンは、レギュラーシーズンで3位までに入れば、日本一をかけて戦う日本シリーズへの出場権が得られるかもしれないものであり、言い換えれば各リーグ6球団中上位3チームのAクラスにさえ入ってしまえば、無条件で進出できるという基本は変更されないまま今日に至っている。
つまり3位であれば、勝率が5割に満たない借金を抱えたチームでも、突破できれば日本一になることができる。
この点こそが僕にとって最も引っ掛かり、ひいてはCS制度そのものの是非にまで問いかけてきて頭を悩ませる。
せっかくレギュラーシーズンで1位(優勝)通過したのに、日本シリーズに出場できない、ましてや借金がある下位チームにその権利をさらわれるのは何ともやり切れない、解せない結末のまま1年間の頑張りに何だかケチが付いた気分になるのではないか。
実際に両リーグで、レギュラーシーズンで1位のチームがCSで敗退して日本シリーズに出場できなかったことは何度かある。
セ・リーグでは、2007年の中日(2位)、2014年の阪神(2位)、2017年のDeNA(3位)と13年間で3度ある。
パ・リーグはと言うとCS前のプレーオフ(2004年~2006年)の3年間も合わせると、2005年のロッテ(2位)、2010年のロッテ(3位)、2018年のソフトバンク(2位)、2019年のソフトバンク(2位)と、16年間で4度ある。
〇()内の順位はレギュラーシーズンの順位
現行のCSは両リーグ共に、まずレギュラーシーズン2位のチームと3位のチームが、2位のチームの本拠地で3試合ファーストステージを戦い先に2勝したチームがステージ突破となり、最終ステージへと駒を進める。
最終ステージは、レギュラーシーズンの1位(優勝)チームと、ファーストステージを勝ち上がってきたチームとが対戦し、先に4勝したチームが突破となり、そのリーグの代表として日本シリーズへ進出となる。
一応1位チームの救済措置として、最終ステージでは1位チームに1勝分のアドバンテージが与えられ、実質3勝すれば日本シリーズに進むことはできるのだが。

 そもそもプレーオフやCSが導入されることになったのは、各リーグの優勝チームが決まってからの残り試合でのいわゆる消化試合を防ぎ、3位までに入れれば日本シリーズに出られるチャンスが生まれることで、シーズンの最後の最後まで勝つことにこだわった白熱する試合を増やし、結果的に観客の増加やプロ野球人気を高めるために始まったことに起因する。
あくまでざっくりとした解説になるが、この試みは大成功だったと言える。
仮に早々と優勝チームが決まってしまっても、2位3位の座をその他の5チームがシーズンの終了まで、消化試合特有のどこか緊張感に欠けた若手の育成メインの戦いばかりではなくなり、あくまでチームの勝敗にこだわった熱戦が繰り広げられることとなり、CS圏内にかかわっているチームのファンもCS出場を願って応援のために球場に足を運んで、観客動員数も飛躍的に伸びた。
断っておきたいのが、僕はCSという制度の導入そのものには大賛成だし、最後まで熱い戦いが見られることも、1プロ野球ファンとしてとても喜ばしいことだ。
ただ、現行のCS制度がベストかと問われると、まだまだ改善の余地があると思えてならないのだ。
 CSを含めたポストシーズンは日本独自の制度ではない。
海の向こうアメリカの、本場メジャーリーグでは日本よりもずっと昔からポストシーズンは開催されているし、むしろ当たり前の制度ともいえるほどに日常的に定着している。
ただ、広い国土にア・リーグ、ナ・リーグ合わせて全30球団からなるメジャーリーグのポストシーズンを、全12球団で頂点を決める日本プロ野球でも導入・運営するには、アメリカ以上に慎重かつこまめに制度の検証や頻繁なる改正が必要であると言える。
メジャーリーグの場合、各15球団ずつ分かれたア・リーグとナ・リーグの中でも、5球団ずつ3つの地区に分けて、日本よりも多い試合数をこなすレギュラーシーズンをまず戦う。
そうして両リーグの各地区の勝率1位チーム3チームずつと、それぞれのリーグの3つの地区を一まとめにして、勝率が2番目に高いチームと3番目に高いチームが1試合のみのワイルドカードゲームを戦っての勝者を加えた1チームずつとの、各リーグ4チームずつが次のステージに駒を進める。
続くディビジョンシリーズは5戦3勝制で、ワイルドカードゲームを勝ち上がってきたチームと地区1位のチームの中での勝率1位チーム、地区1位のチームの中での勝率2位チームと3位チームがそれぞれ戦う。
勝ち上がってきた2チーム同士が、次のリーグチャンピオンシップ7戦4勝制を戦って、勝った方のチームがそれぞれのリーグの代表となる。
そして最後にリーグチャンピオンシップを勝ち上がった2チームで、7戦4勝制のワールドシリーズを戦って、勝った方のチームがワールドチャンピオンとなって、その年のメジャーリーグナンバー1チームに輝けるのだ。
文章にするだけでも、メジャーリーグのポストシーズンが、いかに困難で長きにわたる激しい戦いを強いられるのかがおわかりいただけると思う。
もっとも上記のスタイルも、2012年シーズン以降に採用された形であり、古くは1902年から始まったポストシーズンが、球団数の拡張やストライキによる人気の拡大、ファンの要望など様々な視点から何度も改良と制度の改革が行われて、現行としてベストな形としてたどり着いたものだということを肝に銘じておかなければならない。
つまるところ現在のメジャーリーグでは、15チーム中4チーム(×2)・・・約26.7%がポストシーズンに進出して、両リーグ合わせると30チームのうちの8チームがワールドチャンピオンへの挑戦権を得るのだ。
対して日本のプロ野球は6チーム中3チーム(×2)・・・50%がポストシーズンに進出することになるわけで、CS当確・日本一への確率は倍になり、勝率に関する条件も皆無な現状では、レギュラーシーズンで負け越したチームでも日本一になれるため、ハードルは格段に下がってしまう。
もちろん単純に日本とアメリカの双方の違いを比較するのも難しいが、少なくとも改善の余地が十二分にあることだけは感じていただけるだろう。

 2000年代初頭のCS導入以前と、2004年の導入以降の両方のプロ野球を見てきたファンとして、毎年シーズンの決着後に再燃するCSに関する議論には、大いに関心がある。
導入前の両リーグの優勝チーム同士で戦う日本シリーズのみのポストシーズンを支持する反対派と、CSや現行制度の在り方を支持する賛成派。
どちらの意見・言い分にも頷ける点は多々あるから、片方の理論が一方的に間違いだと断ずることなどできるはずもない。
 反対派の意見としては、リーグ優勝したチームが日本シリーズに出場できないことは、年間140試合以上を戦い抜いて得た栄冠の否定・冒涜にあたり価値を台無しにするという意見で、僕はもっともだと思う。
レギュラーシーズンの長丁場とCSでの短期決戦では、チームとしての戦い方や戦術が大幅に異なる。
それは140試合以上を苦労して戦い抜いた戦果が、たった数試合のCSで覆されていいのかという問いかけであり、極論を言えばCSでの数試合にのみ戦力をベストに整えて一戦必勝で勝ち抜けばいいということになりかねない。
もちろん日本シリーズにおいてはそのような戦い方がベストだろうが、日本シリーズに出場している時点で各リーグのナンバー1・代表という名誉な肩書が備わっているのだから、レギュラーシーズン1位でCS無しにそのまま日本シリーズを戦う形は、最もシンプルな最適解で勝っても負けても納得がいき後腐れがない。
 一方で賛成派の意見から、CSがもたらしてきた功績が多々あることも無視できない。
〇消化試合がほぼなくなったことで、レギュラーシーズンの真剣みが最後まで持続して、事実観客動員数は実数発表となった2005年以降、毎年増加傾向にある。
〇レギュラーシーズンの各リーグ1位チームと2位チームは本拠地でCSを開催することができるため、当該球団はさらなる収益を見込める。
〇レギュラーシーズンは2位や3位に終わったとしても、日本シリーズに出場できる可能性があることで、「下剋上」などのドラマ性やエンターテインメント性が増えて、人気やファン数拡大のきっかけにもなる。
などは、間違いなくCSという制度が導入されたことによる成果であり、実際ファンの盛り上がりや人気・注目を集めていることは紛れもない事実だろう。


 以上のようなことを踏まえて、ここからは日本のプロ野球界において、どのようなCSを含めたポストシーズンの形態が望ましいのか、僕なりの私論をいくつか書いてみようと思う。

 
 1 「勝率5割未満のチームは、例え3位に入ったとしてもCSに出場できない」
 メジャーリーグでポストシーズンに出場できるかどうかの明暗を分けるのは、最終的なチームの勝率だ。
勝率とは、そのチームが消化した試合数に対してどれだけ勝ち試合が多いのかを表す確率の数値で、算出方法としては、勝ち数を消化した試合数(引き分けがある場合は、消化試合数から引き分けの数を引いた数値が該当する)で割って算出された数値だ。
当然1勝でも多く勝てば勝つほど、勝率を示す数値は高くなる。
そしてこの勝率が5割(半分)未満ということは、そのチームは負け越していることを意味している。
つまり借金を抱えたチームということだ。
一般的に日本の場合、CS圏内のAクラス・3位に滑り込んだチームの勝率が5割を割っていることはあまりないが、その年度のリーグ内の戦況によっては3位には入ったが借金を抱えて負け越しているということはゼロではない。
実際過去に3位でCSに出場したチームで、勝率5割未満のチームも何度かあった。
 現行制度では3位にさえ入れば、どれだけ負け越していようともCSに出場できるが、果たしてそのようなチームがCSと日本シリーズを突破して、日本一になったとしたらどうだろう?
制度のルールに則って戦って勝ったという大義名分は確かに成り立つが、その年の日本で1番強いチームが借金を抱えたチームという結果を、素直に受け止めて心から祝福できるだろうか?
当該チームの選手や首脳陣はもちろんのこと、そのチームのファンの心理としても、心から喜ぶことは難しいと思えるし、批判的な世論の声が飛び交うことも容易に想像できてしまう。
勝率5割未満のチームが日本一になったという事実は、それはそれで1つのサクセスストーリーとしては称賛されるかもしれないが、何かとケチが付きかねないだろう。
現実には未だかつて、勝率5割未満のCS出場チームが日本一になった事例はないから今一つピンと来ないかもしれないが、この点は明らかな現行のCS制度の不備の1つと言える。
また負け越しても3位にさえ入ればいいという思考が、現場やファンの間で広がってしまえば、リーグやプロ野球界全体のレベルの低下も危惧される由々しき事態だ。
なので、CSに出場できるのは各リーグで3位以上に加えて、勝率5割以上のチームに限るというルールを制定してほしい。
もしも2チームしか条件を満たさなければ、その2チームでいきなり最終ステージを戦って、日本シリーズ出場をかければいい、その方がよっぽど納得できる結果になると思う。


 2 年度ごとにCS出場ラインを設定する
 FA移籍やメジャー挑戦、時代の変化によって12球団の戦力が毎年のように大きく変動する昨今、レギュラーシーズンにおける戦況も目まぐるしく変わっていく。
昔のように1つの強いチームが毎年のように優勝して黄金時代を長きに渡って形成するなど、リーグ内での力関係が一定化していた時代とは異なり、優勝もあれば最下位もあるという戦力の拮抗化が進んでいる。
2位以下のチームに圧倒的なゲーム差をつけて独走で優勝する年もあれば、最後の1・2試合まで優勝決定がずれ込む超混戦の年もある中で、3位以上でCS出場日本一への権利が得られる一辺倒な現行制度では、レギュラーシーズンの価値を帳消しにしてしまう結末を生んでしまうこともままある。
わずか数ゲーム差の中で1位から3位がひしめき合う中でのCSならば問題ないが、2位チームに2ケタ以上のゲーム差をつけて独走でレギュラーシーズンを制したのに、CSであっさり敗れてしまっては、1位チームがあまりにも浮かばれないし報われない。
 そんな独走チームの救済策だけというわけではないが、CSに出場できる規定値と言うか確定ラインを、毎年各リーグの戦況から変動制で算出して設定するのはどうだろうか?
1位チームの勝率や下位チームに対するゲーム差などから独自にCS出場ラインを設定し、この年の2位は勝率いくら以上3位ならいくら以上必要という風に。
その数値と比較して2位や3位に入ったとしても、設定値に達していなければCS出場権は得られないようにして、場合によっては2チームでのCS開催や、1位チームのみが条件を突破していきなり日本シリーズ出場というリーグや年度もあったっていいと思う。
もちろんこの意見にはCSに対する楽しみは半減してしまう危険性はあるが、各リーグの6チームが少しでも高い勝率を目指してより真剣勝負の度合いが増して、レベルの高い試合や白熱した試合が増えるので、ファンの盛り上がりや野球人気の低下にはそこまで影響しないと思うのだが。
実際メジャーリーグの場合でも、各リーグのポストシーズンへの出場権をかけた地区1位の3チーム以外の最後の1チームは、3つの地区のそれぞれ勝率が2番目に高いチームの中での1位と2位が戦った上で権利を得られるわけで、各チームともこの条件に滑り込むために、最後まで手を抜けない真剣勝負が繰り広げられているのだから、日本でもやってやれないことはないと思う。


 3 CSを無くして4球団での総当たり制の日本シリーズ
 現行のまま問題点のあるCSを続けるならいっそ廃止して、代わりに日本シリーズをスケールアップしてポストシーズンの充実を図ろうという案。
現行のCS制度の問題点の1つとして、レギュラーシーズン閉幕からCS開幕までの日程的な空白がある。
現状ではレギュラーシーズン(2019年シーズンの場合は各リーグ全143試合)が終わってから、数日の間隔を空けて、レギュラーシーズン2位チームと3位チームが戦うファーストステージが最大で3試合行われた後、また数日間空けて勝ち上がったチームとレギュラーシーズン1位(優勝)チームが戦う、最大6試合の最終ステージが行われる。
ただこれだと、レギュラーシーズンで1位(優勝)したチームの間隔が最も空いてしまい、実戦から長く離れることによりどうしても実戦感覚が損なわれがちだ。
先に真剣勝負を繰り広げ勝ち上がってきたチームを、迎え撃つしかないという図式はフェアとは言い難い。
実際にファーストステージを勝ち上がってきたチームには、実戦感覚が戻るだけでなく、勝ったことでチームに勢いがついている。
短期決戦における元々のチーム力にプラスされたこの「勢い」というものは想像以上に大きく、1位チームがシリーズの流れを掴む前に先手を取られ、そのまま押し切られて敗退することも珍しくはない。
それも含めてポストシーズンの醍醐味で、1位チームには1勝分のアドバンテージも与えられているのだから、要は勝てばいいだけだと言われてしまえばそれまでなのだが。
ともかく毎年待つ身である1位チームのCSに向けた調整には、苦労している印象が拭えない。
選手を若手主体のフェニックスリーグなどに派遣したり、1位チーム内で紅白戦を行うなどして実戦感覚の維持を試みているのだが、この方法も決して万全とは言えない。
レギュラーシーズンの閉幕時期やCSの開催日時によっては、フェニックスリーグに選手を派遣しようにも日程的に合わずに断念したり、紅白戦を行おうとしても本拠地が屋外球場のチームであれば雨などの天候によってできない場合もある。
そうなると1位チームは、選手個々の各自の調整に任せるのみで、ほとんどぶっつけ本番でCSを戦わざるを得なくなる。
日本野球機構NPBには、現行制度でCSを続けていくのであれば、1位チームにしっかりと実戦感覚が失われないように、対外試合をあらかじめドーム球場などを押さえておいて行えるよう日程を組んでもらうなどしてもらわないと、改善は難しい。
 こうした実戦感覚の不公平さを無くすためにも、CSを廃止して代わりに日本シリーズの拡大改革を行ってはどうかと思う。
例えば、まず各リーグの1位のチームが日本シリーズの出場権を得て、残った10チームの中からリーグを問わず勝率の高い順に2チームが出場権を得る。
そうして合計4チームで、総当たり戦の形をとってその年の日本一球団を決めるスタイルにする。
対戦カードを変えつつ、日程的には同日に並行して2試合を行って、一回りか二回りするまで数試合戦って最終順位を決め、1位に輝いたチームが日本一になるというもの。
そうすれば、日程的な不公平さは解消され、ポストシーズンの開催・盛り上がりも維持することができ、進出するには勝率がものを言うのでレギュラーシーズンでの戦いにおけるレベルの低下や消化試合もなくせる。
何なら日本シリーズ出場の4チームのうち、各リーグで1位になったチームには1勝分などのアドバンテージを付けてもいい。
ならば、レギュラーシーズン1位の価値もある程度守ることができる。


 4 1位チームのアドバンテージの増加
 もしも現行のままのスタイルを維持するのならば、もう少しリーグ1位チームはレギュラーシーズンの戦果を認める意味で、優遇されてもいいと思う。
現状1勝分のアドバンテージを、下位チームとのゲーム差や勝率差を加味した上で、2勝分与えるなど変動させて。
あるいはCS各ステージの試合数を減らしてみるなどもありかと思う。
ファーストステージは1試合のみで、文字通りの一発勝負にして、最終ステージは最大4試合で3勝先勝制にして、1位チームには1勝分のアドバンテージを与えるとか。
 とかく現行のスタイルでは、1位チームへの、レギュラーシーズンの長丁場を勝ち抜いてきたことへの価値が、希薄に思えてならない。
確かにCSが導入されてからの十数年間で、レギュラーシーズン1位チームが日本シリーズに進出した確率は、統計的に見て圧倒的に高いというデータはあるのだが。
短期決戦を苦手にしているチームが1位の場合には、日本シリーズを前にしてのハードルにはいささか高いようにも思える。
だったらいっそ時代と逆行する形にはなるが、CSを廃止して以前の各リーグの優勝チーム同士のみで戦う日本シリーズだけのポストシーズンに戻した方がよっぽどいいとさえ思えるが、CS制度の一定の成功を考慮に入れると、それは避けたくもなる。


 以上のように、僕なりにいくつかのCS改革案を提唱してはみた。
いずれの案もいわば極論の域で、収益やスケジュールや球場の確保などの政治的な問題も絡んでくるので、その通りに変わってくれればいいなという希望的観測はあるが、実現に向けては問題も山積して時間も要することだろう。
極論ついでに、数年遅れで日本でも導入されるアメリカ・メジャーリーグの形態をまんまなぞればいいと言いたくもなるが、国土の広さや人口の数の違い、球団数を拡張しての野球界の発展も不景気な経済状態の我が国では現実的ではないので、それはさておく。
 この文章で僕が言いたかったことを要約すると、「レギュラーシーズン1位(優勝)チームの価値をもっと尊重してほしい」ということと、「CSを開催するのなら順位よりも勝率を重視して、本当に強いチーム同士での戦いが見たい、その中で真の日本一を決めてほしい」ということだ。
これからも、僕が日本のプロ野球を愛し、応援し続けていくことは変わらない。
さりとて、今のままのプロ野球界がベストだとも思わない。
色んな意味で日本のプロ野球がメジャーを超えて世界一の場所になるために、より良き進化と発展を遂げていくことを願ってやまない。

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