そのよん

文字数 8,054文字

その四

電車が走り去ったあとも、しばらく久留里駅のホームでぼーっと立っている由紀子だった。

あの人はどこの人かな、、、。なんて考える。東京から来たのかな。まさかこの君津なんていう田舎町に、あんなきれいな人がいるとはいいがたい。いや、それとも東京の人ではないのかも?もしかして首都圏ではなく、東北とか北海道とか、そういうところかな?意外に、東北で農業をしている人の中には、ああいうイケメンがいると聞いたことがあった。それとも、農業ではなく、小説を書くとか、芸術的な分野で活動している人かもしれない。いずれにしても、普通の人ではなく、どっかの政治家の御曹司とかそういう人だろう。となると、農業でもないのか。

幸い、この駅に誰も人が来ないのが救いだった。もし、誰かが来たら、駅員さん何をやっているんですか!なんていわれて、上の人から厳重注意となるのは必須だ。と、いうか、こうやって、夢想ができる暇はないのが都会の駅である。田舎駅だからこそできることである。

というか、次の電車までかなり時間があるので、駅事務所に戻って、のんびりと昼飯を口にした。都会の駅員であれば、こんなにのんびりと昼飯なんか食べる暇なんて、何もないのがお決まりになっているが、昼飯を食べて、テレビを見ることまでできるのも、田舎電車の特権である。

とりあえず、昼ドラを鑑賞し、お茶を飲んで、というのがいつものパターンであるが、テレビに出演している昼ドラの俳優よりも、あの時電車に乗っていた人物はもっとかっこよかった、という感想だけが残る。

しかし、あの人は何をしにこの久留里線に乗ったんだろうか、と考えると、摩訶不思議である。ああいう上級階級の人が、この田舎電車を利用するなんて、めったなことでない限り、まずない。例えば、別荘でも建てるつもりで、その土地探しにでもきたのかな。確かに、この君津市も、繁華街を除けば過疎地域に近い。確か、八幡製鉄がこちらに進出してきて、人口が爆発的に増えたことはあったが、バブル崩壊後は激減し、またつまらない街に戻りつつある。最近では久留里城を目当てに、城好きな観光客を呼び込もうとするキャンペーンが行われたことがあるが、ほんの数か月成功しただけで、またもとに戻ってしまった。周りにレストランなどが何もないのが、その原因と言われている。まあ確かにそうだろう。あるといえば、水である。この地域は湧水が豊富なことで知られているが、それ以外に何があるのか、と聞かれれば何もない。だからねえ、この地域に別荘を建てるなんてしても、意味がないよ、なんて、勝手に思ってしまうのだ。

ほかに目的があるとすればなんなんだろうな。まさか、観光で来るとしても、久留里城は通り過ぎてしまったし、上総亀山の亀山湖を散策するにしても、つまらないというだけではないかな。と、なれば、一回こっちへ来たら、もう帰ろう、それしか言葉はないかな。湖を一周するにしても、久留里城を訪問するとしても、都会の観光地にありそうな楽しさは何もない。買い物ができるわけでもなし、はやりのインスタ映えと言われる、名物的な景色は何もない。あるのは、古ぼけた気動車と草ぼうぼうの線路。このような場所の何がいいのだろう。

と、なると、あの二人がもう一回こっちに来ようということはまずないか。あーあ、まさしく一期一会だ。もし、お付き合いさせてもらえるなら、由紀子もすごいところに勤められたものだ、と、同期でJRに入社した女の子たちに、ある意味自慢できるんだけどなあ。せめて、写真くらい撮らせてほしいなあ、もう一度久留里駅で降りてくれないものだろうか!由紀子は再度、電車の神様に願掛けをした。その代り一年間魚を断ちます、なんて言葉も出たくらいだ。ちなみに彼女は、もともと沿岸部に育ったせいか、魚をよく食べた。

そんなことを考えながら、ぼんやりと駅事務室で過ごしていると、いつの間にか時間は過ぎてしまって、次の電車がやってくる時間になっていた。確か次の電車は、久留里駅で終点になっていたはずだ。上総亀山まで行く電車は、当分ないし、その逆の木更津まで行く電車も当分なくなって、ほとんど久留里止まりになる。そうなると、ちょっと由紀子も忙しくなるが、何しろ、新宿駅に比べたら、何十倍どころか、何百倍も人が少ないので、たいした仕事内容ではなかった。

また疲れた気動車が近づいてくる音がした。でも、今回は違った。疲れていやいや走っているというより、疲れた体でありながら、無理やり鞭打たれて走っているような音だった。まあ、どっちにしろここで終点になるため、あまり急いで出ていく必要もないのだが、、、。

「おい!駅員がいないぞ!だれもいないのかよ!」

あ、あの引き立て役のおじさんの声だ。と、同時に気動車のドアが開く音。実はこの気動車は、両方一斉にドアが開く、というつくりではなくて、片方ずつ、ドアが開く仕組みになっている。それがちょっとした名物になっているのだが、今回は違っていて、

「こら、早く出せ!早く!」

なんていう声が聞こえてきた。すみませんねえ、本当に古ぼけた電車なものですから、申し訳ないです、なんていう運転手の声も聞こえてくる。由紀子が、何があったんだと思いながら、駅事務室を出てみると、聞こえてきたのは、鳥さんの声ではなくて、人間がせき込んでいる声である。と同時に、

「お客さん大丈夫ですか、本当に申し訳ないですか、ここでちょっと休ませてもらって、もう少ししたら、木更津行きに乗せてもらうようにしてくださいね。しばらく久留里で折り返し運転ばかり続いてしまい、もう上総亀山まで戻らないといけませんので、、、。」

運転手が一生懸命弁解しているのも聞こえてきた。確かにこの時間帯は、上総亀山から久留里まで、あるいは、久留里から木更津までの区間運転になっていることが多く、直通する電車は全くないので、どっちにしろ、久留里駅で一度出て、待っていなければならないのだ。

「すみません、しゃべれないわけではないですから。」

と、返答しようとしているものの、咳に邪魔されてしっかり伝わっているとはいいがたい。

急いで由紀子がホームに出てみると、、、。

そこにいたのは紛れもなくあの時見かけた二人。

「よし、ここでちょっと休もうぜ。と言っても、待合室もベンチも何もない駅だから、たぶん改札しないと座れないだろうね。まあどうせ、この駅までの切符しか買ってないし、どうせ次の電車には、ずっと待たなきゃならないだろうから、一度改札して休ませてもらおう。」

と、引き立て役のおじさんが言っている。そのやや乱暴な口調と、着ていた蜘蛛の巣のような柄、つまるところ麻の葉柄の着物から、もしかすると暴力団の関係者かとも思われてしまった。着物というと、女性が着るのなら生け花とか、茶道でも習っているのかなと思えるが、男性となると、なかなか連想できず、そういう人に見えてしまうこともあった。これは、ニュースで出てきた暴力団の組長が、着物を着ていたことに起因するものだが、逆を言うと、現実世界で見た着物の男性というと、そういう人しかないのである。

「そうだね。」

弱弱しくせき込みながら、あの、きれいな人が言った。まだ何か言うことがあるらしいが、全部は言い切れないらしい。運転手が、心配そうに二人を見つめていたが、発車時刻が来てしまったので、申し訳なさそうに気動車を動かして去っていく。それに向けて挨拶もできないほど、きれいな人は辛そうだ。かろうじて立ったままでいるが、歩くのは難しそうである。

そして、駅員の由紀子はどちらにも手を出せないでいる。

「水穂さん歩けるか?せめて、亀山湖を一周できるくらい、余裕のある時刻表がないもんかね。もう一本くらいつけてほしいよね。地元のおばちゃんが、次の電車を逃すと、夜にならないと来ないというから急いできたが、慌てるとこうなるの、僕も気が付かなかった。ごめん。」

「気にしなくていいよ。休めばいいだけのことだもの。」

杉三が問いかけると、水穂も答えを出すことには出すが、まだせき込んだまま辛そうであった。

「とにかくさ、改札口はすぐそこにあるから、もうちょっと頑張ってくれ。そうしたらたぶん、いくら何でも座るところくらいはあるだろ。」

というか、それすらあるという保証はない駅だが、杉三はそういった。そして、杉三は車いすを操作しながら、水穂は咳をしながらホームを歩いたが、二人のスピードは亀よりも遅かった。改札を目指すだけでも長時間歩いている気がする。

「ちょっとごめんね。」

途中、水穂が立ち止まり、今まで以上にせき込んだ。本当に辛そうに立て続けにせき込んだ。

「あ!切符を汚すな!汚したら無効になっちゃうじゃないか!」

と言ってももう遅しで、口に当てた手と一緒に、持っていた切符の一部は血液で汚れた。書かれていた、上総亀山から久留里の表示がにじんで消えている。

「あーあ、どうすんのさ。これじゃあ、自動改札機も通れなくなるじゃん!」

どうやら、杉三は、自動改札機が切符を読み取れなくなることを心配しているらしい。ここで初めて、由紀子は二人に声をかけてみようという勇気を出す。

「大丈夫ですよ。この駅には自動改札機は設置されていませんので。」

「へ?じゃあ、切符はどこで?」

杉三が、素っ頓狂にそう聞くと、

「はい、私がここでしますから。」

由紀子はやっと声を立てて言った。

「いいんですか?だって、改札しないと外へは出られないでしょうし、一度出て、木更津までの切符も買いなおさないと。」

かろうじて、細い声で水穂がそういった。顔に合わず、結構渋い声をしているなと、思ってしまう由紀子だった。

「いいえ、構いませんよ。どちらにしろ、上総亀山駅から見えたことはわかりますし、これだけ人が少ないのですから、不正乗車もできないでしょう。」

「そういえば確かにそうだけど、なんで僕らが上総亀山から乗ってきたことがわかるんだ?ほかの駅から乗ってきたのかもしれないじゃないか。」

杉三が、疑わしそうに聞いた。

「いいえ、久留里線を利用される方は、ほとんどの方が、上総亀山駅か、ここの久留里駅からしか乗車されないのです。」

由紀子は笑って、久留里線の現状を言ったが、ほかの路線であれば、間違いなく「寂しい」と言われるのは疑いなかった。

「事実、私が回収する切符のほとんどを見ると、上総亀山からなんです。ほかの駅から乗車された切符はほとんどありません。」

由紀子がそういうと、水穂がまた辛そうな顔をしてせき込んだため、

「もう、久留里線の解説はいいからどっかへ座らせてくれ!」

杉三はまたでかい声で早口に言った。

「あ、すみません。このホームには待合室はないんですけど、切符売り場の前にベンチがありますから、そこへ座っていただけたらと思います。ご案内しますよ。」

由紀子は先導して二人を改札口まで案内した。改札口はすぐなのだが、せき込みながらなので、非常に時間がかかったような気がした。

「じゃあ、こちらで切符を回収しますから、お出しください。」

改札口へたどり着くと、確かに自動改札機は設置されていなかった。ただ、駅員が立って、切符を回収するスペースだけがあった。

由紀子がそこに立つと、杉三が新品同様の切符、水穂が血液だらけになってしまった切符を彼女に渡した。杉三の切符から、確かに上総亀山駅から乗ったことが分かった。それに、周りにお客さんは誰もいないので、不正乗車なんて、したくてもできないことは一目瞭然だった。

「すみません、次の電車が来るまで、ここで座らせて下さい。本当にご迷惑おかけしてしまって、申し訳ないです。」

やっとそれだけ口にして、水穂は疲れ切った表情で、すぐ近くにあった木製のベンチに座り込んだ、というより崩れ落ちた。由紀子は、次の電車は、まだ一時間以上あると言いたかったが、あんまりしゃべらせると辛いかなと思ったので、それは言わなかった。

「しっかし、本当に田舎駅なんですねえ。ほら、見てみろ。切符の販売機の上に、ハトが巣をかけてらあ。」

杉三が駅の中を見渡しながらでかい声で言った。確かに、切符の販売機が設置されていたが、多分車内改札とかで間に合ってしまうのか、ほとんど使われていないらしい。その上部にたまたまあるくぼみに、山鳩の巣がかかっていて、雛が顔をのぞかせていた。時折、父親か母親かは不明だが、親鳥が餌を運んでくる光景も見られた。

「まあ、地元の方々もかわいいと言って、せっかくなので撤去しないでくれというものですから、そのままにしています。」

由紀子は、杉三の言葉に応答する。

「いいんじゃない。自然と協和するという意味もあり、鳩だから、平和の象徴として、大事にしておきたい鳥さんの一つだよ。それに、こんなにのんびりした駅は初めてだ。まるで、僕らの貸し切り電車だと、水穂さんも言っていた。」

「そうなんですか、お二人ともどちらからお見えになったんです?東京ですか?」

「いや、富士からだ。静岡の。」

へえ、意外に遠方から来たんだ!それでは相当疲れただろうな。しかし、なぜこんなところに?東京へ遊びに来たついでによって見たんだろうか?

「となると、東京までは、新幹線ですか?」

由紀子、この疑問を話すのは失礼だと思ったので、そこだけ聞いた。

「そうだよ。新富士から東京駅までのって、東京からは、えーと、さざなみとかいう電車でね。」

ああ、つまり、君津行きのさざなみに乗って、木更津で降りたのか。つまり、京葉線の直通列車を利用したのね。

「しっかし、その何とかという電車に乗るとき、偉い時間がかかっちゃってさ、軍隊蟻の大群に襲われた、子ザルになったかと思った。おっそろしい光景でさ、さざなみに乗って、脱出し、この久留里線に乗った時は、天の助けだとおもったよ。軍隊蟻って、牛や馬でも平気で食い殺し、ジャガーでさえも逃げていくことがあるそうだが、本当だね。あれじゃあ、確かに怖いと思われても仕方ないね。」

本物の軍隊蟻のことを言っているのか、東京駅の風景のことを言っているのかの判別がつかないが、いずれにしても、都会というのはとにかく人が多い場所であることは確かであった。

「そうですね。確かに、東京駅はすごいですからね。もう、ここの久留里線とは比べ物にならないと言われますから。」

「比べるほうが間違いさ。なんだか、違う国家へ来たような気がするよ。でも、電車っていいよね。一度乗れば、運転手さんに任せて、目的地まで連れてってくれるもんね。目的がなくても、外の風景眺めて楽しませてくれるもんね。こういうところを求めてくるお客さんも多いんじゃないのか?東京からほんの少しで来させてくれるんだからさ、すごい便利なところにあると思うぜ。」

そうかしら、私は、こんな不便な電車の何がよいのだろうと思っていたわ。それなのに便利なんて何をいうのかしら。

「きっとね、東京には、軍隊蟻ばっかりが住んでいるわけじゃないよ。もちろん、軍隊蟻として、生活している人のほうが圧倒的に多いだろうけど、軍隊蟻になり損ねた少数民族も少なからずいるだろ。そういう人たちってさ、僕もそうだからわかるんだけど、軍隊蟻の中で生きていくのは、本当に難しいよ。なんか最近では、軍隊蟻たちもそれに気が対いて、一生懸命対応設備を考えてくれているようだが、本当に欲しいものは手に入らないことが多いよ。まあ、軍隊蟻の頭で考えるだけで、本人の使い勝手を全く聞かないことが原因なんだけど、軍隊という名前が付き、おごった頭が取れない限り、気が付くこともないだろう。だけど、こういう田舎電車だと、融通が利くからさ、どんな奴が乗ってくるって予測できないわけだから、自分を軍隊蟻と思っていると、困った駅員としか見られないよね。」

「そうねえ、、、どういうことかしら?」

「当り前だい。たった一人の駅員だもん。一人でいろんな客を相手にするわけだから、自然に対応方法も身についてくるだろ。完全な分業制の軍隊蟻では、特定の相手しか対応できない駅員も多いよ。最近では変な称号なんか付けちゃって、僕らがちょっと電車に乗せてくれというと、担当のやつを呼んでくるからと言ってさ、その称号のあるやつを連れてくる。本人は楽ができるからいいと思うかもしれないが、利用する側である僕らにしてみれば、早く乗せてくれないかと思って、いい迷惑なだけだねえ。」

確かにそうかもしれない。例えば、駅員の中にも階級があり、障害のある人の世話をするのは、サービス介助士の資格を持っている駅員が有利となるので、大手の鉄道であれば、そういう駅員を探してくることは可能だが、この久留里線ではそういう人を探すことはまずできない。なので、駅員である自分が、そういうこともしなければならない。

「だからねえ、僕らとしては、軍隊蟻のコロニーになってしまうよりも、何でもぱっぱとやってくれたほうが、都合がいいのよ。複数の人間を巻き込むよりも、一人の人が責任をもってくれたほうが、こっちも楽だし。それに、複数の人間にまとわりつかれると、かえって、物みたいに扱われて、嫌な気持ちにもなるよねえ。だから、そういうことを感じさせない、田舎電車というものは、やっぱり僕は大好きだよ。都会の電車も便利だが、田舎電車には、そこにはないあったかさというものがあるよ。だから、ここで働いているのを、劣等兵とは思うなよ。」

「そうね、、、。」

そういう見方をしてもらったのは生まれて初めてで、どう返答したらいいかわからなくなり、由紀子はしばらく考えてしまうのであった。

と、その時。壁に背中をくっつけて、休んでいた水穂が、急に激しくせき込んだ。あっという間に、口に当てた手が赤く染まってしまう。

「しっかりしてくれよ、しっかり!ほんとに君という人は!」

杉三が、その背を叩いて吐き出しやすくしてやったりして、幸い数十回でストップしてくれたのだが、こういうシーンに慣れていない若い女性にとっては、結構刺激の強い映像であった。

「杉ちゃんさ、悪いけど、これで水一杯買ってきてくれないかな。たぶん駅を出ればどこかに自動販売機があると思うんだが、、、。」

水穂は、持っていた風呂敷包みから財布を取り出して、杉三に500円玉を渡した。

「これで、どこの自動販売機でも必ず買えるから。」

「おう、わかったよ。ちょっと待ってな。」

ところが、この久留里駅構内では自動販売機は一台も設置されていなかった。そんなこと、杉三は知る由もないので、急いで自動販売機を探し始める。

でも、由紀子は自動販売機に変わるすごいものがあると知っていた。

「すみません、ちょっとここで待っていてくれますか?すぐ持ってきますから。」

「お茶でもだしてくれるんか?」

「お茶ではないんですが、すぐ持ってこれます。」

杉三が何のことだかポカンとしている間に、由紀子はすぐに駅事務室を出た。実は、この久留里の町は、日本でも有数の湧き水の町で、ちょっとしたところからすぐに水が得られることは数多く、いたるところにひしゃくが置かれた井戸が設置されている。地元の人たちが当たり前の様に飲んでいるし、最近では観光客も、これを飲んで写真を撮ったりすることもある。

「はいどうぞ。」

不意に水穂の目の前に、真鍮製のひしゃくが差し出された。

「あ、ありがとうございます。」

水穂は丁寧に礼を言って、それを受け取り、取り出した粉剤と一緒に水を飲みほした。
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