第2話

文字数 818文字

「時代は変わり、わしらには住みにくくなった」
205歳のおじいさんはこう語る。わりとはっきりとした口調で。平均寿命が302歳の世の中ではおじいさんはまだ中堅だ。

医学の進歩により、人間はいっそ 死ねなくなった。衰えるスピードも遅くなったため、いくつになろうが元気に働くことが出来る。AIに仕事を盗まれていったというのに、経験豊富な技術者が後を譲らないために経験のない若者たちは、仕事も経験も与えてもらえない。

「 JOU-ZAI 」には必要な栄養素がたくさん入っているため、決められた通りに飲んでいれば、疲労もほとんどない。睡眠時間も4時間でよくなった。睡眠と食事の時間を絞って何をするのか、それは仕事!ただでさえ、人手が余っているので、会社の役員たちは社員をクビにするための理由を日々探っている。遅刻、欠勤が多いやつはすぐにクビ。

「仕事、仕事と最近の若いものは仕事しかせんのか?つまんない、わしは納得できん」
この世では、休日という概念が完全に無くなった。人は余るほどいるため、シフト制を用いる必要がない。会社は毎日のように稼働する。その中で自分が行きたい曜日や日にちだけ出勤すればいい。いつ休んでもその人の自由だが、幹部が常に目を光らせていることを忘れてはいけない。仕事を与えてもらった若者たちは、クビにならないために毎日出勤する。休んでる場合ではない、仕事をもらえるだけでありがたい。


食料不足の影響もあるが、「JOU-ZAI」の登場により、食事をする必要性がなくなったので、飲食店はあっという間に次々と閉鎖された。医療関係も医学が進歩し過ぎたせいもあり、人は病院に来ない。来たとしても1度の診察でほとんどが完治してしまう。「JOU-ZAI 」関連の仕事は強い。製造、販売これからもうなぎ登りだ。他に画期的なものが発明されない限り。

研究者たちは日々、研究に没頭する。新たな商品開発に成功することが出きれば人生が変わる、億万長者も夢ではない。









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