第1話

文字数 1,177文字

 アニーは、まじょみならいの おんなのこ。
けれど、アニーのできることといったら、ほんのすこしの かるいものを
うかすこと くらい。
もちろん、そらなんて とべません。
きょうは、まじょにたのまれて もりまで きています。
あめがふっていたので、そらいろのカサを さしていました。
「レイおばさん、こんにちは。やくそうを、もらいにきました」
もりのおくの ちいさないえに、レイおばさんは すんでいます。
「おや、アニー。いらっしゃい」
レイおばさんは、もりで やくそうをとって、まじょに わけてくれるのです。
「あめで たいへんだったろう?さあさあ、こうちゃでも のんで、
ゆっくり やすみな」
そういって レイおばさんは、やきたてのアップルパイを だしてくれました。
「わあ、おいしそう」
たべおわると、アニーがいいました。
「ねえ、レイおばさん。このぼうし、すこし やぶけちゃったんだけど、
なおせるかしら?」
アニーは、くろい さんかくぼうしを さしだしました。
「おやおや、どこかに ひっかけたかな?こんなの かんたんさ。
いっしょに、やってみるかい?」
「いいの?」
アニーは、レイおばさんにおそわりながら、いっしょうけんめい ぬいました。
「できた!」
「かんたんだろ?」
アニーは、ぼうしをみながら、ためいきを つきました。
「レイおばさんは、なんでもできて、わたしより まほうつかいみたいね」
「なにをいっているんだい。まほうでも、なんでもないよ。
あんたは、ものを とばすのが じょうずだろ?」
「そんなの、ぜんぜん たいしたことないわ」
アニーは、ぼうしを ふわふわ うかせました。
「それは、すごいことなんだよ?もっと、むねを はりなよ」
レイおばさんが、いっても アニーはしょんぼりしています。
「こまったね。そうだ、いまから まちまで かいものにいくんだけれど…
にもつが おおいから、いっしょに きてもらえないかね?」
「もちろん、いくわ」
アニーは、にぎやかなまちが すきなので、よろこんで ついていきました。

かえりみち、ふたりは りょうてに たくさんの にもつを かかえていました。
「かいすぎちゃったよ。こまったねえ、これじゃあ、カサが させないね」
あめは、まだまだ ふっています。
「そうだ、わたしに まかせて」
アニーは、まほうでカサを とばしました。
ふたりのあたまのうえで、ふわふわとカサは うかんで、あめをしっかりと よけています。 
「アニー、すごいよ。これは さいこうの まほうだよ」
レイおばさんが、おおきなこえで いいました。
「ほんとう?」
「ほんとうさ」
アニーは、にっこり わらって、カサをクルクルまわしました。
「こんど、レイおばさんの まほうの おりょうり、おしえてね」
「おまかせあれ」

ふたりが いえにつくころには、あめは すっかり やんで そらには
きれいな にじが でていました。














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