プロット

文字数 1,203文字

プロット
起)現代より科学技術が発展し続けている近未来の日本。どこをとっても平々凡々、周りと違うのは父親がいないことくらい、普通の小学六年生 神藤 世界(以下セカイ)は最近開発された『地球疑似体験模型(ちきゅうぎじたいけんもけい)』に疑問を持っていた。『地球疑似体験模型』は世界トップクラスの技術を惜しみなく使って開発された、地球に起こったことを再現できる優れた模型である。この模型で人々は地球の出来方や生命の誕生についてを学んでいくのだ。それにセカイは「もしかしたら”この世界”も『地球疑似体験模型』と同じかもしれない」と考えていた。

承)もちろん『地球疑似体験模型』にも人間が誕生する。模型なため大きさにも限りがあり一人一人を見ることはできないが、地球に起こったことと同じように人間は生活している。僕たちが開発できるのならば他の人間にも開発できるだろうし、津波や地震もその影響なのかもしれないと思ったセカイは居ても立っても居られなくなり親友である 笹森 木葉(以下コノハ)と 伊藤 勇仁(以下ユウジ)に相談する。最初は信じてもらえなかったがセカイの話で何とか納得できた二人、だが証明する方法がないためその場限りの話になってしまう。

転)どうしてもモヤモヤしてしまうセカイは馬鹿にされることを承知で母親に話してみる。意外なことに母親は真剣に話を聞いてくれ、最後に衝撃的な言葉を発する。「あなたのお父さんも同じことを言っていたけど行方不明になってしまった」と。驚いたセカイはコノハとユウジを呼びそのことを話す。ユウジは「お父さんは模型の中にいるのではないか」と考え、コノハは「お父さんの会社を調べればなにかわかるかもしれない」と考えた。二人の意見に賛成したセカイはお父さんの勤めていた会社を調べてみる。するとその会社は『地球疑似体験模型』の開発に大いに関わっていた。

結)お父さんの会社の同僚であった 杉田 さんに連絡を取りそのことについて話してみるとセカイたちがその結論に至ったことに驚かれ、開発センターに招待された。杉田さんの案内のもとセカイたち三人はセンターを見学、『地球疑似体験模型』のもととなる大きな模型に辿り着いた。実際にセカイたちは模型の中に入ってみる。そこは現代(21世紀)の日本だった。セカイたちの世界より時間の経過が早く、一日で戻ってこなければならないセカイたちはやっとセカイの父親を発見する。セカイの父親は誰よりも早くセカイが気づいたことに気付き、連鎖を止めようと模型に入ったのだった。だから行方不明になったのだ。それにこの世界にはもう戻って来ないと言う。「どうして戻って来ないの?母さんも悲しんでいるのに」「俺達には責任があるんだ、連鎖を断ち切る責任がね」。
 その後、セカイたちの世界で『地球疑似体験模型』の販売は中止、製造された模型は最期まで保管された。いつか来る時に然るべき対応ができるように。セカイの父親のように。
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