第1話
文字数 381文字
始発を待って、街の地べたに尻をついたとき、空の暗黒が稲妻のストロボに青く明滅した。
雷鳴があとにつづかないライトニングだったから、空の全体を青く明滅させた電光は稲妻ではなかったのだろう。
空はむくむくとゼリー化していて、そこには無限の数の人間が包含されていた。死んだ人たちだろう、なぜならその一人は悪魔に斬首されたぼくの同級生だったから。
「そういうことだったのか……」ぼくは酔いがさわやかに吹き消える感慨をもった。「彼は死んでなお、世界への悪魔の侵入を防いでいるのだ」
この世界は、ぼくが空に見たあの死者たちに守られているのだ……
電車が動きはじめると、ぼくは家にむかうかわりに、田舎の墓地に行った。
Kの墓前に額づいたとき、朝は白々と明けていた。
墓地の草が朝の白い光にゆれていた。
白い光のなかに確かに、悪魔の苦悶の叫びであるガラスの粉末が感じられた……
雷鳴があとにつづかないライトニングだったから、空の全体を青く明滅させた電光は稲妻ではなかったのだろう。
空はむくむくとゼリー化していて、そこには無限の数の人間が包含されていた。死んだ人たちだろう、なぜならその一人は悪魔に斬首されたぼくの同級生だったから。
「そういうことだったのか……」ぼくは酔いがさわやかに吹き消える感慨をもった。「彼は死んでなお、世界への悪魔の侵入を防いでいるのだ」
この世界は、ぼくが空に見たあの死者たちに守られているのだ……
電車が動きはじめると、ぼくは家にむかうかわりに、田舎の墓地に行った。
Kの墓前に額づいたとき、朝は白々と明けていた。
墓地の草が朝の白い光にゆれていた。
白い光のなかに確かに、悪魔の苦悶の叫びであるガラスの粉末が感じられた……
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