続 御屁様
文字数 3,890文字
場所・時間:リビング・ダイニングルーム。日曜の午後。
夫婦、ソファで
ソファの前にテレビがあり、二人は見るともなしに見ている。
息子、同じ部屋にあるテーブルで、スマホゲームに熱中。
午後3時の時報が鳴り、テレビでニュースが始まる。
(アナウンサーの声)
昨日の地震では、広範囲にわたってエレベーターが停止し、乗客が閉じ込められる事態が相次ぎました。ほとんどは数時間のうちに復旧し、けが人も出ませんでした。
ただ、港区○○○の高層複合ビル「イッポンギ・ヘルズ」17階のエレベーター内で、男性が心肺停止の状態で倒れているのを、駆け付けたエレベーター会社の社員が見つけました。
救急搬送されましたが、病院で死亡が確認されました――。
男性の死因は特定されておらず、警察では事故・事件の両面から、慎重に調べているとのことです。
エレベーター会社によりますと、このエレベーターからは、停止した際に緊急通報があり、複数の人が閉じ込められた模様です。
しかし、エレベーター会社の社員が駆け付けた際には、すでにドアは開いており、男性の他に人はいなかったとのことです。
夫、壁の飾り棚に、黄色い小さな瓶 を見つける。
立って、棚の方に歩く。
夫、慌てて小瓶を元の棚に戻す。
いいえ。
大先生は、奈良県の山奥にある総本山、その一番奥にある「奥の院」で、仙人のような清らかな生活を営んでおられる。
御屁様や汗、オシッコは言うに及ばず、
(傍白)ははぁ、薫のやつ。自信がないんだな?
ならば、こうしよう。
匂いを嗅いでみて、芳香がしたら、君に500万円あげる。もっと高い御屁舎利を買えばいい。
逆に、臭いニオイがしたら、これ以上御屁舎利は買わないと誓うんだ。
どうだ?
平太郎、小瓶の蓋を開けて臭いを嗅ぐ。
暗転。
場所・時間:リビングダイニング。夜遅く。
夫と妻、ダイニングテーブルに向かい合って座っている。
二人とも、手にはウイスキー水割りの入ったグラス。
暗転。