第1話
文字数 299文字
現実を突きつけられれば突きつけられるほど、現実に敗れた人々のあざとさを思い知る。
僕が子供の頃ツンデレというのが流行り出した。
男の子がしょげているのを見て、女の子がよしよしと撫で撫でし、可愛いと嬉しがる。
僕はツンデレに負けないくらい女の子に優しくされたいと思ってるけど、それは出来ない。
どっかで夢が勝ってしまう。幻想が勝ってしまう。
20代、30代、延々とツンデレ的な弱さをありのまま受け入れることに背を向けてきた。
芸術家には、女の子が心にいるもの。
男の子のファンとしての僕が、ツンデレをどうしても許せない。
可愛いと思えない。
それをどこかで幼稚と見定め、あきらめる冷たい僕が今いる。それがとても寂しい。