第1話

文字数 975文字

起)ドラゴンのような魔物カイルールは、高原に流れ着いた。お腹がすいたので羊を食べると槍を持った人間が襲い掛かってきたが、攻撃を鱗で跳ね返し、人間がひるんでいる隙に炎をはくと、人間は逃げ出した。この時、カイルールは「カイルール」とうなり声をあげたので人間からカイルールと呼ばれるようになった。

承)カイルールは、人間が他の動物を家畜にして育て、増やしていることに気が付いた。人間の集落の近くにいる限り食うに困ることはないけれど、襲い過ぎると人間は家畜を連れてどこかに逃げてしまう。人間の呪い師バルトン師の仲介により、私は家畜を襲うオオカミを追い払い、人間は私に肉を送る契約が結ばれる。人間との共存が始まる。

転)何十年もたった後、干ばつにより生きてゆくための水が無くなってしまう。私も人も家畜も苦しむ。私は飛翔し水辺を探しさまようと大きな水辺を見つけた。人は空を飛ぶ私の後をつけて水辺にやってきた村人たちが水を汲み、人間も家畜も助かった。水辺はカイルールの泉と名付けられ毎年祭りが行われるようになった。人間と共に在りたいと思った。

結)新たな魔物レードバーンが現れ、民を支配しようとカイルールに挑戦する。私は傷を負い森へ逃げた。勝ち誇ったレードバーンは村から集めた酒を飲み勝利を祝う。私は村娘に化けて、酒を飲むレードバーンに近づき、その隙をついて反撃する。カイルールの奇襲で始まった2回戦目は激しい戦いとなった。力はカイルールを上回るレードバーンであったが酔いが回ると視界がぐるぐる回り始め、満足に立ち上がることもできなくなった。「カイルールよ。首を2本にも3本にも増やすことができようとは思はなんだ。このレードバーンの負けだ。」と言って降参し、平和が戻った。人々はカイルールの聖火台を造り、カイルールのはき出す炎を、その化身としてまつるのであった。カイルールは神として祀られている。

人間とのかかわりの中で魔物から神様となったカイルール。始めは、家畜を襲うが、人間との契約により人を護るようになる。干ばつが起きれば飛翔し水を探し、人々を救う。カイルールと人間は共生した。人間と家畜を襲う新たな魔物レードバーンが現れ、作り出された平和は脅かされる。カイルールでは新たな魔物には敵わないが、人間の協力もあり撃退に成功する。カイルールは人々から敬われ神様となった。
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登場人物紹介

カイルールはドラゴンのような姿をした魔物である。人間との共生に成功し、守り神となる。

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