ドビー
文字数 4,114文字
柔らかな光が窓から差し込んでいて、ドクターは笑顔えボクに用事を言いつける。
「ドビー、この原稿を添削して欲しいの。科学誌に投稿するから誤字や脱字が無いかチェックして頂戴」
ボクは喜んで言われた作業をする。その作業をするボクをドクターは優しく眺めている。お湯を沸かしてコーヒーを入れているのだ。
「ドビーは飲めないから残念ね」
「いいえ、いいんです。ボクは所詮道具ですから」
ボクの決まりきった何時もの言葉にドクターは
「そんな事言っては駄目よ。あなたは私にとっては大事な助手なんだから」
ドクターはそう言ってくれるが、それで現実が変わる訳では無い。
「添削終わりました。プリントアウトしますか?」
「そうね。お願い」
ドクターの指示に従い、原稿をプリントアウトする。
「はいどうぞ」
ダブルクリップで簡単に留めてドクターに差し出すとドクターは嬉しそうに満面の笑みを受かべて原稿を手に取り
「さすがドビーね。ホント便りになるわ」
その言葉にボクの集積回路は暴走気味になる。冷却装置を作動させないと……
ボクは恐らく世界で初めて集積回路に人間の感情のプログラムを搭載する事に成功したアンドロイドだ。
僕を制作にたのはドクターの父上にあたるパパドクターだ。
優れたロボット工学の知識の持ち主で、ノーベル賞も受賞している。そのパパドクターが世界で初めて人間の感情をプログラムする事に成功してボクに搭載したのだ。
だが、正意に発表する前にパパドクターは亡くなってしまった。心臓発作だった。
その後を受けつだのがパパドクターの令嬢で一粒種の今のドクターだ。だから僕は正式に発表されていないんだ。
今は、ドクターの助手として働いている。殆んどの人は僕がアンドロイドだとは気がつかない。だって見かけも話す事も人間と殆んど変わらないからだ。
殆んどと言ったのは、実はボクの感情の人間化率は80%なんだそうだ。パパドクターはボクの感情のプログラムに対して
「いいかドビー、感情が100%解放する時はお前も覚悟しなくてはならないぞ」
と言っていたのを記憶メモリーから読みだして確認する。今のボクには何の事やら分からない。兎に角ボクの感情は完全じゃないと言う事なんだと理解する。Ok!大丈夫だ。
でもボクには秘密があるんだ。秘密を持つ事はイケない事だと言うけど。とてもじゃ無いがこの事は口には出せない。
なぜなら、それはとても恥ずかしい事だからだ。この気持をドクターに知られたらボクは自爆装置を働かそうと思うぐらい恥ずかしい事なんだ。
実は僕はこの秘密の事に中々気が付かなかった。アンドロイドなら当然だと思っていたのさ。でもアンドロイドで感情を持ってるのは自分だけと知った時にそれは決して口に出してはならない事となった。
それはアンドロイドが決して口に出してはイケない事なんだ。だからボクはこの秘密をメモリーに格納したままスクラップになる覚悟なんだ。
それは、ある春の日のことだった。
「ねえ、ドビーお使いに行って来てくれない?」
ドクターは幾つかの封筒を手にしてボクに言った。もちろんドクターの頼みにボクは何時でも嫌と言った事はない。むしろドクターが喜んでくれるならボクも喜んでさせて貰うよ。だってドクターの喜びはボクの喜びだから……
A4の書類が入っていると思われる封筒を幾つか抱えてボクは郵便局に急ぐ。あと15分で郵便局が閉まってしまう。歩く速さを増してボクは前を行く人を追い越して行く。余りにもボクの歩く速さが凄いので何人からボクを振り返る。
ごめんなさいね。急がないと郵便局が閉まってしまうんだよ。ドクターの頼みは絶対だからさ。ドクターの喜ぶ顔が見たいんだよ。
急いだせいで郵便局には間に合った。帰りに花屋さんで花を見ていると、店員さんが
「売り物にならなくなったから」って薔薇の花をくれた。お礼を言ってその花を持って帰る。
ドクターにそれを見せる時なぜだかCPUの温度が上昇してしまった。最近原因不明の不調がたまに起こるんだけど、これは、あの秘密と関係があるのかも知れない。
「綺麗ねえ。郵便局の傍の花屋さん? 今度お礼言って花を買ってこよう」
ドクターは喜んで花瓶に薔薇の花を飾った。不意にドクターは花より綺麗だと思ってしまった。おかしい? ドクターの美観と花の美観は同じ価値観で計算出来ないはずなのに比べてしまうなんて……やはりボクはおかしい……
その時だった。研究所のドアがいきなり開いて黒ずくめの男が複数入って来て、ドクターを後ろから抱き抱えてドクターの頭に黒い拳銃を突きつけて
「おい、この娘の命が惜しかったら、先代の研究所の所長が残した「感情に関するロボット光学」の論文とそのプログラムを渡してもらおうか」
そうボクに言う。ボクはどうして良いかわからない
「駄目よドビー。こんな奴にパパの研究を渡しては駄目」
ドクターは男に脅かされながらも気丈に振る舞っている。ボクはドクターが痛い思いをするのは嫌だよ。そんなの見たく無い。でもパパドクターの研究資料を渡して、ガッカリしているドクターを見るのはもっと嫌だ。ボクは選択を迫られていた。
「早くしろ! この娘が傷つけられても良いのか?」
ボクは、どうすれば良いか選択出来ない……どうしよう……
「ドビー、駄目よ。資料を渡しては駄目! 渡したら、きっと完成品の貴方を連れて行ってしまうわ。私はそんなの嫌! 貴方のいない人生なんて絶対嫌!」
ドクターありがとう。こんな動く人形の為にそこまで想ってくれるなんて、ボクは嬉しくてプログラムが暴走しそうです。
その時、ボクの中の感情のプログラムが封鎖されていた残り20%が解放されたのが判ったんだ。ソースコードが読み込まれるとボクは理解した。
「先代の博士の研究結果がボクだ。ボクを連れて行け! 連れて行って解体して研究すれば資料より詳しく判る」
ボクは男にそう言ってドクターを解放するように言う。やっと判ったんだ。ボクはドクターが好きだって事が、ドクターに恋をしてると言う事を……
「駄目よトビー何言ってるの、貴方のいない私なんて、何になるの!」
男はドクターを放して代わりにボクを捕まえた。その瞬間ボクは男に抱きつき窓から男共々飛び出した。
ボクの頭の中で命令が動き出している。100%の感情を実行してしまったボクは人間と同じ思考能力を持った為に自爆装置が作動したのだ。だからボクの感情プログラムは通常は80%となっていたのだ。ボクはそれを理解した。
ドクターさようなら。貴方と一緒に過ごせた時間は本当に幸せでした。貴方の為に働き、貴方の喜ぶ顔が見たくて一生懸命ボクはやりました。それがボクの喜びでした。
好きでした……ボクは貴方が好きでした。アンドロイドのくせに……研究の資料をボクごと失って悲しむ貴方を見たくありません……何時でも明るい貴方を見ていたいです。
だから、だからボクは貴方の為に死にます。貴方の為なら喜んでこの男と死にます。
そしていつの日か、ドクターならきっと何時かパパドクターよりも素晴らしい研究結果を得られると信じています……それがボクの本当の喜びです……さようならドクター最愛のひと……
それは一瞬の想いだった。抱きついた男は必死にボクを離そうとしているが、もう無理だよ。アンドロイドに勝る力なんて人間には出せやしない。一緒にあの世に行こう。もつともボクにあの世があるのかは知らないけどね。
次の瞬間ボクの意識が無くなった。わずかに覚えているのは輝くばかりの閃光……
不意に意識が戻った。目の前にはドクターが微笑んでいる。
「やっと気がついたね。随分かかっちゃった」
「男は、どしました? それに研究所の様子が……」
ボクは戸惑いながらも周りを見渡すと、そこは勝手の知っている風景では無かった。
「ドビーはねえ。私を守って男と自爆したんだよ。パパがね感情プログラムが100%になった時に人間と同じになってしまうからって、安全装置として自爆装置が動作するようにしていたのよ。私悲しかった。ドビーが居なくなってしまうなんて創造すら出来なかったの」
ドクターはボクを見つめながら更に続ける。
「それでね悲しんでいたらね私の顔に何かが当たったの。見てみたら貴方のチップだった。感情プログラムが入っているメモリーと記憶メモリーも無傷だったの。そこから貴方を再現する努力が始まったんだよ。でも研究所も壊れてしまったから、時間が掛かってしまってね」
ドクターはそう言って自分の腕を外してみせた。
「ほら、わたしもアンドロイドじゃ無いけどサイボークになったの。どうしても貴方を復元させたかった。そうしたら同じになっちゃったね」
驚くボクにドクターは
「私ねえ、ドビー貴方の事が好きだって気がついたの。こんな身体だけど愛してくれる?」
ボクは嬉しくてまたCPUが暴走しどそうだったが、何やら目から水みたいのが流れ始めた。
「これはいったい?」
不思議がるボクにドクターは
「それは、貴方のCPUが暴走しない様に冷却装置を付けたのよ。それはその冷却水が流れたのよ。人間だと涙と言うけどね」
そう言ってドクターはボクに抱きついて来た。
「あれから何年経って……」
「今日でちょうど50年よ。私もう80歳近いんだけどそれでも良い?」
昔と全く同じ外見で若いままのドクターは言う
「勿論です。でも何でボクがドクターの事を……」
「馬鹿ね、ちゃんとすべて解析したんだから。女は好きな人の事はみんな知りたいのよ」
ボクは目から冷却水が流れ続けていた。
ボクは優しくドクターを抱きしめて言った。
「ドクター冷却水の補充をお願いします」
<了>
「ドビー、この原稿を添削して欲しいの。科学誌に投稿するから誤字や脱字が無いかチェックして頂戴」
ボクは喜んで言われた作業をする。その作業をするボクをドクターは優しく眺めている。お湯を沸かしてコーヒーを入れているのだ。
「ドビーは飲めないから残念ね」
「いいえ、いいんです。ボクは所詮道具ですから」
ボクの決まりきった何時もの言葉にドクターは
「そんな事言っては駄目よ。あなたは私にとっては大事な助手なんだから」
ドクターはそう言ってくれるが、それで現実が変わる訳では無い。
「添削終わりました。プリントアウトしますか?」
「そうね。お願い」
ドクターの指示に従い、原稿をプリントアウトする。
「はいどうぞ」
ダブルクリップで簡単に留めてドクターに差し出すとドクターは嬉しそうに満面の笑みを受かべて原稿を手に取り
「さすがドビーね。ホント便りになるわ」
その言葉にボクの集積回路は暴走気味になる。冷却装置を作動させないと……
ボクは恐らく世界で初めて集積回路に人間の感情のプログラムを搭載する事に成功したアンドロイドだ。
僕を制作にたのはドクターの父上にあたるパパドクターだ。
優れたロボット工学の知識の持ち主で、ノーベル賞も受賞している。そのパパドクターが世界で初めて人間の感情をプログラムする事に成功してボクに搭載したのだ。
だが、正意に発表する前にパパドクターは亡くなってしまった。心臓発作だった。
その後を受けつだのがパパドクターの令嬢で一粒種の今のドクターだ。だから僕は正式に発表されていないんだ。
今は、ドクターの助手として働いている。殆んどの人は僕がアンドロイドだとは気がつかない。だって見かけも話す事も人間と殆んど変わらないからだ。
殆んどと言ったのは、実はボクの感情の人間化率は80%なんだそうだ。パパドクターはボクの感情のプログラムに対して
「いいかドビー、感情が100%解放する時はお前も覚悟しなくてはならないぞ」
と言っていたのを記憶メモリーから読みだして確認する。今のボクには何の事やら分からない。兎に角ボクの感情は完全じゃないと言う事なんだと理解する。Ok!大丈夫だ。
でもボクには秘密があるんだ。秘密を持つ事はイケない事だと言うけど。とてもじゃ無いがこの事は口には出せない。
なぜなら、それはとても恥ずかしい事だからだ。この気持をドクターに知られたらボクは自爆装置を働かそうと思うぐらい恥ずかしい事なんだ。
実は僕はこの秘密の事に中々気が付かなかった。アンドロイドなら当然だと思っていたのさ。でもアンドロイドで感情を持ってるのは自分だけと知った時にそれは決して口に出してはならない事となった。
それはアンドロイドが決して口に出してはイケない事なんだ。だからボクはこの秘密をメモリーに格納したままスクラップになる覚悟なんだ。
それは、ある春の日のことだった。
「ねえ、ドビーお使いに行って来てくれない?」
ドクターは幾つかの封筒を手にしてボクに言った。もちろんドクターの頼みにボクは何時でも嫌と言った事はない。むしろドクターが喜んでくれるならボクも喜んでさせて貰うよ。だってドクターの喜びはボクの喜びだから……
A4の書類が入っていると思われる封筒を幾つか抱えてボクは郵便局に急ぐ。あと15分で郵便局が閉まってしまう。歩く速さを増してボクは前を行く人を追い越して行く。余りにもボクの歩く速さが凄いので何人からボクを振り返る。
ごめんなさいね。急がないと郵便局が閉まってしまうんだよ。ドクターの頼みは絶対だからさ。ドクターの喜ぶ顔が見たいんだよ。
急いだせいで郵便局には間に合った。帰りに花屋さんで花を見ていると、店員さんが
「売り物にならなくなったから」って薔薇の花をくれた。お礼を言ってその花を持って帰る。
ドクターにそれを見せる時なぜだかCPUの温度が上昇してしまった。最近原因不明の不調がたまに起こるんだけど、これは、あの秘密と関係があるのかも知れない。
「綺麗ねえ。郵便局の傍の花屋さん? 今度お礼言って花を買ってこよう」
ドクターは喜んで花瓶に薔薇の花を飾った。不意にドクターは花より綺麗だと思ってしまった。おかしい? ドクターの美観と花の美観は同じ価値観で計算出来ないはずなのに比べてしまうなんて……やはりボクはおかしい……
その時だった。研究所のドアがいきなり開いて黒ずくめの男が複数入って来て、ドクターを後ろから抱き抱えてドクターの頭に黒い拳銃を突きつけて
「おい、この娘の命が惜しかったら、先代の研究所の所長が残した「感情に関するロボット光学」の論文とそのプログラムを渡してもらおうか」
そうボクに言う。ボクはどうして良いかわからない
「駄目よドビー。こんな奴にパパの研究を渡しては駄目」
ドクターは男に脅かされながらも気丈に振る舞っている。ボクはドクターが痛い思いをするのは嫌だよ。そんなの見たく無い。でもパパドクターの研究資料を渡して、ガッカリしているドクターを見るのはもっと嫌だ。ボクは選択を迫られていた。
「早くしろ! この娘が傷つけられても良いのか?」
ボクは、どうすれば良いか選択出来ない……どうしよう……
「ドビー、駄目よ。資料を渡しては駄目! 渡したら、きっと完成品の貴方を連れて行ってしまうわ。私はそんなの嫌! 貴方のいない人生なんて絶対嫌!」
ドクターありがとう。こんな動く人形の為にそこまで想ってくれるなんて、ボクは嬉しくてプログラムが暴走しそうです。
その時、ボクの中の感情のプログラムが封鎖されていた残り20%が解放されたのが判ったんだ。ソースコードが読み込まれるとボクは理解した。
「先代の博士の研究結果がボクだ。ボクを連れて行け! 連れて行って解体して研究すれば資料より詳しく判る」
ボクは男にそう言ってドクターを解放するように言う。やっと判ったんだ。ボクはドクターが好きだって事が、ドクターに恋をしてると言う事を……
「駄目よトビー何言ってるの、貴方のいない私なんて、何になるの!」
男はドクターを放して代わりにボクを捕まえた。その瞬間ボクは男に抱きつき窓から男共々飛び出した。
ボクの頭の中で命令が動き出している。100%の感情を実行してしまったボクは人間と同じ思考能力を持った為に自爆装置が作動したのだ。だからボクの感情プログラムは通常は80%となっていたのだ。ボクはそれを理解した。
ドクターさようなら。貴方と一緒に過ごせた時間は本当に幸せでした。貴方の為に働き、貴方の喜ぶ顔が見たくて一生懸命ボクはやりました。それがボクの喜びでした。
好きでした……ボクは貴方が好きでした。アンドロイドのくせに……研究の資料をボクごと失って悲しむ貴方を見たくありません……何時でも明るい貴方を見ていたいです。
だから、だからボクは貴方の為に死にます。貴方の為なら喜んでこの男と死にます。
そしていつの日か、ドクターならきっと何時かパパドクターよりも素晴らしい研究結果を得られると信じています……それがボクの本当の喜びです……さようならドクター最愛のひと……
それは一瞬の想いだった。抱きついた男は必死にボクを離そうとしているが、もう無理だよ。アンドロイドに勝る力なんて人間には出せやしない。一緒にあの世に行こう。もつともボクにあの世があるのかは知らないけどね。
次の瞬間ボクの意識が無くなった。わずかに覚えているのは輝くばかりの閃光……
不意に意識が戻った。目の前にはドクターが微笑んでいる。
「やっと気がついたね。随分かかっちゃった」
「男は、どしました? それに研究所の様子が……」
ボクは戸惑いながらも周りを見渡すと、そこは勝手の知っている風景では無かった。
「ドビーはねえ。私を守って男と自爆したんだよ。パパがね感情プログラムが100%になった時に人間と同じになってしまうからって、安全装置として自爆装置が動作するようにしていたのよ。私悲しかった。ドビーが居なくなってしまうなんて創造すら出来なかったの」
ドクターはボクを見つめながら更に続ける。
「それでね悲しんでいたらね私の顔に何かが当たったの。見てみたら貴方のチップだった。感情プログラムが入っているメモリーと記憶メモリーも無傷だったの。そこから貴方を再現する努力が始まったんだよ。でも研究所も壊れてしまったから、時間が掛かってしまってね」
ドクターはそう言って自分の腕を外してみせた。
「ほら、わたしもアンドロイドじゃ無いけどサイボークになったの。どうしても貴方を復元させたかった。そうしたら同じになっちゃったね」
驚くボクにドクターは
「私ねえ、ドビー貴方の事が好きだって気がついたの。こんな身体だけど愛してくれる?」
ボクは嬉しくてまたCPUが暴走しどそうだったが、何やら目から水みたいのが流れ始めた。
「これはいったい?」
不思議がるボクにドクターは
「それは、貴方のCPUが暴走しない様に冷却装置を付けたのよ。それはその冷却水が流れたのよ。人間だと涙と言うけどね」
そう言ってドクターはボクに抱きついて来た。
「あれから何年経って……」
「今日でちょうど50年よ。私もう80歳近いんだけどそれでも良い?」
昔と全く同じ外見で若いままのドクターは言う
「勿論です。でも何でボクがドクターの事を……」
「馬鹿ね、ちゃんとすべて解析したんだから。女は好きな人の事はみんな知りたいのよ」
ボクは目から冷却水が流れ続けていた。
ボクは優しくドクターを抱きしめて言った。
「ドクター冷却水の補充をお願いします」
<了>