プロット

文字数 1,726文字

起)
主人公の木之瀬来人(きのせらいと)は、小学六年生の修学旅行の夜、化け狸に無理矢理その力を受け継がされ、人間なのに動物に変身できる「化け者」になってしまった。
時は流れて中学生になった来人は、クールなイケメンかつ成績優秀で入学一か月にして早くもモテモテ。しかし「化け者の正体は化け者以外に知られてはいけない」という掟があるせいで、誰にも心を開けず、そんな事情も知らない他人にうらやましいと思われるのを嫌っていた。
ある日来人は、告白を受けた帰り道に見知らぬ女子とぶつかりかけ、「私とあなたは相性が悪いことになっている」と変な言葉を言われて逃げられる。
そして次の日、学園長から「零組に編入しないか」という内容の手紙を受け取った。零組は学校の七不思議の一つに数えられる、正体不明の謎学級。来人は真相を確かめるため、零組にお試し編入をすることを決めた。

承)
一年零組の担任の後藤先生に連れられて、来人は裏校舎の教室に入る。ありきたりの自己紹介をするが、零組の生徒たちは「他に言うことがあるだろ」と何かを待っている様子。心当たりがなく困っている時に、昨日ぶつかりかけた変な女子が、来人が狸の化け者であることを言い当てた。
衝撃を受ける来人の前で、クラスメイトたちは動物の姿に変化(へんげ)する。零組は化け者の子どもが集まる化け者学級だったのだ。その夜、来人は化け者の正体を隠すことに必死で、他の化け者の存在に目を向けていなかったことを反省する。
編入二日目に、来人は変な女子こと波江絢(なみえあや)に勝負を挑まれる。彼女は狐の化け者で、狸への対抗心が激しいのだった。クラスを巻きこんだ化け能力対決は、絢が敗北を認めたことで来人の勝利。ただしそれでは終わらず、絢はいつか来人を追いこすため、ライバルとして零組の正式メンバーになるよう命令。来人がまだお試し編入だったことを忘れていた他のクラスメイトからも勧誘され、来人は零組にいることを決意する。

転)
来人は、零組に来られたことについて、自分が化け者だと見抜いた絢のおかげだと彼女に感謝を伝えた。猫の化け者の古川聖也(ふるかわせいや)は、絢が来人に少し優しくなったのをからかうが、来人はそもそも、零組のみんなが入学一か月のわりにとても親しいことを指摘する。
それに対して聖也と絢は、自身の化け者になった経緯に触れながら、ここにいる全員が「掟」に悩み、化け者仲間がほしくて集まっているからだと話す。しかし一人、出席日数が足りず留年した明嵐旭(めいらんあさひ)だけは未だに不登校であった。
旭が教室に姿を見せないまま、テスト期間に突入。補習を嫌がった聖也は猫の忍び足の能力を使って、後藤先生の「絶対に中を見てはいけない部屋」にテストの答えがあると予想し、侵入を試みる。ところがその部屋から一反木綿が出てきて、先生は妖怪を飼っていると言って騒ぎ始めた。

結)
こわがる聖也のために、来人と絢は三人で夜の学校を調査する。
すると一反木綿どころか様々な妖怪の脅かしにあう。しかし冷静な来人はだれかが作ったトラップだと見抜き、さらに一反木綿の切れ端を発見する。よく見るとそれは布ではなく薄い皮のようなものだった。
そして三人はトラップに引っかかったふりをし、逆に仕掛人を捕まえる。妖怪を演出したのは学校に来ていないはずの旭だった。
零組の楽しさを伝えようとする聖也と絢に、旭は冷淡な態度を取り、自分のもう一つの姿を見せる。彼女は巨大な白蛇の化け者で、聖也が一反木綿と勘違いしたのは飛んでいってしまった脱皮後の外皮だった。家では家族に見つかるので、学校でこっそり行っていたのである。
迫力ある姿に聖也と絢は思わず言葉を失ってしまい、旭は同じ化け者だからと無条件で仲間になれるのは幻想だと、零組の在り方を否定。しかし来人は、彼女の態度にかつての自分の面影を見て、狸の化け能力を活かして自分も同じ白蛇の姿に変わる。「俺は狸にも狐にも蛇にも変われる。勝手に一人ぼっちだと思わないでください」と旭に強く言い、納得してもらえるまで蛇の姿でいようとする彼の思いは、旭の心を動かした。
その後、三人が遭遇した妖怪の中には旭が仕掛けてないものがあるとわかり、本物が出たのかと一同恐怖するが、ズルをしようとした聖也への、後藤先生からのお仕置きだった。
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