第2話

文字数 1,027文字

 書類を頼んだ後輩の女性社員は、楓と言った。
 カエデは、この日、彼氏とデートのつもりだったが、どうなっていたのか、と思った。
ミツルは、と思う。
 カエデは、確かに、有村架純に似ているとミツルは、思った。
 ただ、ミツルは、寂しそうに、今年もいよいよ家に帰ったら、一人で、ビールを飲んで、アダルトサイトでも観ようかと思っていた。
 だが、肝機能が悪くなっているミツルは、もうビールも控えている。
 そして、2023年12月24日。
 今日も、仕事が終わった。
 それで、これから、家に帰ろうと思った。
 新宿駅から、山手線で、そのまま品川まで帰り、京急快特で、横浜まで行こうとしていた。ミツルは、横浜に住んでいる。
 その時、山手線のホームで、品川方面の電車を待っていたら、
「ドンッと」
 誰かとぶつかった。
 その時、ぶつかった女性が、「ごめんなさい」とか言いながら、涙ぐんでいた。
 すると
「あれ、楓ちゃん?」
「はい」
となった。
 たまたま偶然だった。そこには、クリスマスの飾りが、ホームにはあったが、それで、楓とミツルは、そこでストップモーションが、かかった。
 楓は、涙でボロボロになっていた。また、鼻水が垂れていた。
「どうしたの?そんなに泣いて?」
「私」
「はい」
「彼氏に裏切れたのです」
「は?」
「どうして?」
「実は、私、さっきまで、新宿駅のホテルで食事をしていたら、彼氏のラインが、いきなり鳴って」
「うん」
それで、彼氏が、顔色が蒼くなって」
「おう、お酒に酔って吐いたの?」
「違うんです」
「何が?」
「他の女の人が、彼氏のところにいきなり来て、殴ったのです」
「怖いね」
「それで、この人、不潔と思って帰ってきたんです」
 …
 ミツルは、沈黙をした。
 一緒にクリスマスは、食事をしようと思っていたのに、となったのに、と思ったのだが、と。
「ねぇ、楓ちゃん」
「はい」
「今日はさ」
「はい」
「これから、池袋まで行かない?」
「品川からJRで、池袋まで行って、そこでご飯食べない?」
「オレ、美味しいご飯のお店知っているんだ」
 楓は、彼氏とのデートのために、ミツルに仕事をさせたが、こんな目にあったのだが。
 ミツルも、楓も、カッコ悪い思いをしながら、だけど、池袋まで食事をしに行ったそうだ。そこで食べていたネギトロ丼は美味しかったらしい。そして、その池袋の小さなお店には、クリスマスのイルミネーションが、綺麗に飾っていたそうだ。
 彼らは、ちっぽけながらも、楽しいクリスマスを過ごしたそうだ。
<完>
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