真白

　白が嫌いだ。どんな色にもすぐに染まる。茜色(あかねいろ)でも瑠璃色(るりいろ)でも緑色でも。

　そういう優柔不断というか自分というものが無い事の象徴(しょうちょう)が白だ。そして一旦何かの色に触れると白には染みが残ってしまう。

　染みは汚い残(のこ)り香(が)だ。それを見つけるたび、きっちり洗濯をしたくなる。私の手で直接ゴシゴシゴシゴシ。そして綺麗な水で洗い流す。それだけじゃ駄目だ。また染みが付かないように他の色から遠ざけなくちゃいけない。

　ああ、白を見ているとイライラする。白がいつか汚い灰色になってしまう気がする。みんな白が持つ美しさや純粋(じゅんすい)さというものを全然理解していない。

　殺そう。三人全員だ。茜(あかね)も瑠璃(るり)も緑(みどり)も。

　全て遠ざけたら子供の頃の綺麗な思い出で、色を全部洗い流してあげるね。待っていて、私の大事な幼馴染『真白(ましろ)』