文字数 223文字

 僕は『異邦人』のムルソーみたいになって、法廷にひったてられた。
 でも僕はムルソーじゃない。
 外の雨に感じたピアノ曲が僕の頭の中につづいている。
 濡れた体が僕に指をふるえさせる。それはどうしようもない。
 僕がなにをしたというのだろう? 傍聴人たちの目は憎しみにゆがみ、彼ら彼女らは激しい怒号を発するが、それだけでは彼ら彼女らは解放されないようだった。
 僕を殺さなければ彼らは自己を解放することは永遠に不可能だろうと思いこんでいるようですらあった。
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