青き騎士第1話

文字数 929文字

●■「青き騎士」ー私の中の彼へー■は、人工頭脳装甲機・「零レイ」と装甲機パイロット翔と人類の敵「アイス」との戦い。そして翔と暗殺集団ローズバット「沙織」との愛の物語。

●まわりは荒野だった。それも血みどろの荒野だった。改造された彼・翔の視覚は、風景を人間とは異なる視点からながめた。零の力で見ることができる。翔の乗る、人工頭脳装甲機・零の電子のグリッドが、彼、翔の眼の前に拡がっている。軍務についた最初は、希望にみちあふれていた。未来は栄光で満ちあふれているはずだった。対「アイス」戦が彼の未来希望を打ちくだく。ーーー。
青き騎士ー第1回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



 もう、かなり昔の事だ。私,沙織さおりは、まさか彼,翔しょうが、

私の探し求めていた「青き騎士」だとは、その時は、気がつかなかった。

若気のいたりというものだろう。



もし、あの時……。

いや、もうやめておこう。



 時間は、2度と戻ってこない。



シーン2



「恐い子だよ」

その時、私は何をしていたのだろう、記憶はなかった。



「何しろ、この子の頭の中には、悪魔が住んでいるのさ」

養父母が言った言葉だ。私の耳の奥にいつも残っている言葉だった。



 その時も、私は彼らに尋ねていた。

「アイスフイールド」のそばにある小さなコロニーだった。

コロニーの前を連邦軍の車両が轟音をたててとうりすぎていった。



「ねえ、それどういう意味なの」

「ふん、自分で知っているくせに白々しい子だよ」

「そうだ、どうせ、私達の事も、心の中ではあざわらっているのさ」

 なぜ、どうして、私を、普通の子供のように扱ってくれないの。

 確かに私は父と母をうしなって、法律により、救済され、

この父母におしつけられた子供だった。



が、この時、地球は、生か死のせとぎわだったはずだ。



《アイス》との戦争でたくさんの人々が死んでいた。



ともかくも、この私に対する疑問、救済が、私の長い旅の始まりだった。



 《人民の王》となって私がさとった事は、

私が、あの人にとって《青き騎士》だったという事。

そして、気づいた時には、あの人はとても手がとどかない遠いところにいた。



私が、彼をうらぎり、そして彼は死んだ。



(続く)
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