手紙

文字数 403文字

最近私の身の回りで悲惨が行われたのです。なんというかあまりにも鬼畜というか、まあひどい有様でとにかくグロテスクな惨さがありましてね。
 一人の男が夜道で襲われて帰らぬ人となりました。死体は関節部のほとんどが鋭利な刃物で切断されていて、顔は真っ二つに割れており、地面に剥がれ落ちた眼球や臓器などはつぶされて、流れ出た血肉には蚊がたかっておりました。その事件が起きた時刻はちょうど夜中で、もともと人通りの少ない道に顔をのぞかせる人たちもいるわけがなかったので、犯人は私が朝早く起きて死体を発見するまでに逃げてしまったことでしょう。その死体は道路わきの電柱に捨てられたようにそこにありました。ああ、私が夜中に男の悲鳴を聞いて起きていれば……そう思ってしまうのは考えすぎでしょうか。
 そんな事件があったものですから、もう食事がのどを通らないのです。ですので折り入ってお願いがあります。どうか安楽死を選ばせてください
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み