第1話

文字数 636文字

 「明日からまた仕事だ。しかし、久々の仕事に興奮しているせいか眠れない。
眠くなるまで道具の確認でもするか。」

・車輪
 「詰まっていた小石は取り除いた。磨いて潤滑油《あぶら》もさした。」
・外装
 「所々に小さなキズが目立つが、特に問題なし。」
・内装
 「シート− 長時間でも座り心地に変化なし。悪路《あくろ》や段差にもクッション性を維持。通気性も申し分なく消臭もした。
 日除け− 生地は昔のだが、遮断率は落ちていない。丈夫だ。」
・その他
 「除菌− これは侮ってはいけない。シート、日除けにハンドル。抜け目なし。
 備品− これは当日に依頼者が準備するので、こちらは心配ない。」

 「ついでだ。仕事の詳細も確認しておこう。」

・期間
 「基本的には3年。場合によって延長も可能。」
・仕事
 「世界に1つだけの上物《じょうもの》の運搬。」
・成功報酬
 「メンテナンス費用など。」

 「この上物。取り扱いが一筋縄ではいかない。」
・上物
 「とても繊細− 玉のように丸く、傷や痕《あと》がつきやすい。なお肌触りは極上。
 とても敏感− 温度を一定に維持する必要がある。」

 「仕事が終わった後の上物の行方は知らない。しかし、今回の依頼主。彼女からは懐かしい感じがした。出会った記憶はないはずだが。ん?あれは依頼主か。こんな夜遅くにどうしたのか。仕事は明日からのはずだが。」

 「明日からこの子のこと、よろしくお願いね。」

 「とても礼儀正しい人だ。心配しなくても仕事はこなす。泣く子も黙るベビーカー だからな。」












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