第1話    邂逅    ①

文字数 1,183文字

とある魔法界で電報が駆け巡った。
『グリム博士、失踪…』

グリム博士と言えば、数々の魔法道具を発明し、魔法動物に精通していた。若き天才博士である。
その彼は、1週間以上音信不通で行方知らずであると言うらしい。




それは、いつもの平穏な人間界の日常であった。


マーヤは不登校であり、いつも森の中で本を読んでいた。
彼女は子供の頃から孤独であり、それ故誰にも心を開かなかった。
マーヤは、不思議な国からきた旅人のようだった。自分の感性や考えは誰からも受け入れては貰えず、しかも、誰にも認めては貰えなかった。自分はまるで異邦人のようだった。マーヤの特技は空想だった。彼女は、不思議の国のアリスのような感覚でいて、『ああ…私は冒険者なんだ…ワクワクする…』等と無理やりポジティブに変換し、自分の心の中の曇り空を払拭ししながら生活していた。
それ故、マーヤは周りとの間に不思議なバリケードで物事を変換し、何処に行っても『不思議ちゃん』とて生きる事になったのだ。
自分にとって、『寂しい』『理解者が欲しい』は贅沢でしかなかった。そう思えば思う程、期待は膨らんでいき…そして裏切られ、益々自分で自分の首を苦しめる事になるのだ。
マーヤは本を読みながらブツブツ独り言を言った。この本はあらゆる呪文に関する文が書き記されていた。亡くなった母からの形見であると、義理父から言われ『決して読まないように。』と念を刺されていた。しかし、好奇心が抑えられなく、義両親に内緒で毎日森の中で読んでいるのだった。
マーヤの日常は、亡くなった人を召喚しコミニケーションをとることだ。その亡くなった人は様々な年代の人であり、彼らの共通項は昔の勇者や魔法使いなど…非現実的な存在の者ばかりだった。
この日も、本を片手にブツブツ呪文を唱え召喚したと思った、その時だったー。いつものように金色の光が辺りを覆い尽くし…

ーと、その時、ドスっと自分の頭上に梟か落ちてきた。
梟は傷だらけであり、ゼェゼェ荒い呼吸をして瀕死の状態であった。

ー何で、死にかけの鳥が…?ー

マーヤは、召喚した者が亡くなった人ではなく瀕死の鳥である事に、強く疑問を抱いた。
召喚の呪文は10歳の頃から5年位してきたが、今までそんな事は1度たりともなかったからだ。
マーヤは梟を手に取ると、水を与えタオルに包み家の中へ戻り手当をする事にした。家には誰も居なく、そこでマーヤは手当の本を探しに義理父の書斎まで向かう事にした。
義理父の書斎はアンティーク調であり、一昔前の古時計やオルゴールや蓄音機等が、お洒落に飾られていた。その上、義理父は読書家でもあるから、あらゆるジャンルの本はびっしりと本棚に陳列されていたのだ。
マーヤは、梟を抱きながら生き物に関する図鑑を探した。
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