プロット

文字数 1,693文字

【起】
【星空の向こう側】には、魔法学校がある。
小学六年生の如月礼央が住む小さな村には、そんな言い伝えがあった。しかし、礼央は魔法なんて絵空事だと信じていなかった。存在するなら誰もが使っていると思ったからだ。
ある日、礼央の家の前に手のひらサイズの流れ星が降ってくる。それは名門魔法学校「エトワール魔法学園」への入学許可証だった。
礼央は慌てて家族に流れ星と入学許可証を見せたが、誰も流れ星と「名門魔法学校」という字が見えない。代わりに「名門芸術学校」への入学許可証だと見えているようだった。
家族は芸術学校への入学を喜んでくれた。仕方なく礼央は家族のために、名門魔法学校へ入学することにした。
入学当日、学校から迎えの馬車が来た。パンフレットにある住所に向かうのかと思いきや、馬車は空へと登り、透明な空間の壁を抜けて、宙に浮かぶ島へ向かった。
村の言い伝え通り、魔法使いが作った【星空の向こう側】に、魔法学校があったのだ。

【承】
魔法は杖で唱えるものではなく、空間に張り巡らされた「魔法の弦」を魔法の弓で弾くものだという。
「魔法の弦」が見えるように修行とも言える授業を重ねていく礼央。すると、まがまがしい獣の影が見えるようになった。
それは【ノイズゴースト】。人の大きな恨みや怒りから生み出される怪物で、凶暴化すると人を襲うが、「魔法の弦」を弾く魔法でしか倒せない。礼央達が学園に入学したのも【ノイズゴースト】を倒す人間を育成するためだった。
学園内外問わず、度々出現する【ノイズゴースト】。礼央も事件に巻き込まれながら何度か倒していくが、同時にあることに気付く。
魔法で【ノイズゴースト】を倒すと、生み出した人は生み出したきっかけになった感情を忘れてしまっていたのだ。
教師に聞いても「倒すことだけに集中して」と、真相を教えてくれなかった。

【転】
おかしいと感じた礼央は、学園の中を探す。
空間の壁と宙に浮かぶ島を作り、無限の命を持つと噂される学園長の部屋に忍び込み、書斎を漁ったところ、ボロボロの手紙を見つけた。
そこには、遠い過去に【ノイズゴースト】を倒して人々を守っていたにも関わらず「魔法使いは人の感情を奪い取るモンスターだ」と世界中から非難され、見つかり次第拘束されていたという事実が書いてあった。
魔法学園をわざわざ人目につかない場所に移動させ、芸術学校とあざむいていた理由を知った礼央は、何とか自分たちが人々を守っていることを理解させられないかと学園長に話を持ち込む。
学園長は首を縦に振らなかった。「もうあの歴史を繰り返したくない」「【ノイズゴースト】を倒すには魔法しか方法はない」と言い切られる。
しかし礼央は、魔法使いの待遇も、【ノイズゴースト】の倒し方も諦めたくなかった。感情を失わせない良い倒し方がないか、必死に探した。

【結】
二年生の冬休み、礼央は村に帰ってきていた。
学園で話を聞くうちに、【星空の向こう側】に魔法学園がある言い伝えは、礼央の村にしかなかったことを知った。
言い伝えがあったことには何か意味があるはずと、村の中を探し始める。
家の奥にある古びた押し入れから、手紙と手記を見つけた。
そこには、礼央が住む村は迫害を受けた魔法使い達がひっそりと居場所を移して作った村だということ、空間を超えた先で学園を作っている仲間に尊敬を示して言い伝えをつくったこと、これ以上魔法使いが迫害されないためにも【ノイズゴースト】を倒す以外の方法がないか研究されていたことが書かれていた。
礼央は研究成果が書かれた手記を手に、学園に帰還する。
凶暴化した【ノイズゴースト】は遠くから魔法で倒すことを授業で教えられていたが、近くに寄ると魔法使いの魔力と【ノイズゴースト】の魔力が反発しあい、弦の中に「金色の弦」が生まれる。
「金色の弦」を弾いた魔法で倒せば、【ノイズゴースト】の元になった感情は持ち主に戻るという。
礼央は早速研究成果を実施した。怪物の近くに寄るのは恐ろしかったが、友人との連携プレーに助けられ、見事に成果を上げた。
長かった魔法使いの孤独の歴史は、礼央が地上と星の架け橋になることで終結したのだった。
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