カレーライスじゃかなわない
文字数 1,894文字
「カレー香 れば お腹は鳴るが 使った肉には 腹が立つ」
カレーライスというのは老若男女人気な食べ物だ。
私が作るカレーというのは基本的にジャガイモとニンジンは加えずに、野菜は玉ねぎだけ。それに豚肉をいれたカレーをもう十何年とこだわり続けて作ってきた。
最近、一緒に暮らしている彼女がカレー作りにはまっている。
市販の固形カレールーは使わずに粉末のカレー粉と、さまざまなスパイスやらを用いて作ることに凝っているのだ。
我が家の料理担当は基本的に私なので、こうして晩御飯を作ってくれるというのはとっても嬉しいことだ。
「カレー作ってくれるなら、野菜は玉ねぎだけにしてね」
「もちろん、分かっているわよ。そもそも私はニンジンがあまり好きではないもの」
「もちろん肉は豚肉だよね。冷蔵庫にあるはずだから」
「私はカレーといえばチキンなの。もう用意もしているわよ」
「おいおい、わざわざカレーを作るためだけに鶏肉を買ってきたのか。家にある材料で作れるものなんだから、そんな無駄遣いみたいなのは止めてくれよ」
「安かったんだから別にいいじゃないの。それにあなたが主婦みたいなこと言ったところで、ただの守銭奴にしか感じないわ」
「ひとをケチみたいに呼ぶんじゃないよ。チラシ覗いて安いスーパー巡るのは俺の一つの趣味みたいなものだから馬鹿にされたくもない。節約上手と言ってほしいな。
それと安かったかどうかじゃない、それに安いのでいいならひき肉を買ってキーマカレーでも作ってくれればいいじゃないか。ひき肉ならついでに俺がハンバーグ作るから」
「ひき肉なんてイヤよ。私はキーマカレー好きじゃないの」
やはりカレーとなると話は別。各々のこだわりが火の粉となり、揉め始めてしまう。
なかでも具材、特に肉を何にするのかということが焦点となる。
「牛と言われないだけマシだが、カレーといえば豚肉だろ?」
「それはそれで関西の人に失礼よ。関西じゃカレーといえばビーフカレーだってテレビで言っていたわ」
「そんなのたまったもんじゃない。東京生まれ東京育ちだからというわけじゃないが、カレーといえば何度も言うが豚肉だよ」
「そもそも、本場インドじゃカレーに用いる肉といえばチキンかマトンじゃない。たまにいくインド料理店だってそうでしょ」
「それはそれだよ。なんといってもナンと食べるから美味いのだから」
「まあ、インドでは牛は宗教上神聖な動物だから食すだなんて当然NGですし、豚もあまり食べないそうよ。不浄を良しとしない風習からあまり好まれないんですって。そういえば、あなた最近少し牛から豚に近付いたんじゃない?」
「インドはインド。家でカレーライスとして食べるなら断然ポークカレーだよ。カレーライスのチェーン店だって基本のカレーはポークじゃないか。だいたい俺の恰好は関係ないし、そんなこというならお前だって最近体型が~だの、お腹周りが~だの呟 いているじゃないか。いっそのことヘルシーなインドカレーにならって豆でも使って作ったら?」
「豆なんか使う予定なかったから用意していないし、さっきあなたが言ったことだとそれこそ無駄遣いみたいになっちゃうわ。それにもう私はヘルシーに食べるためにカレーライスじゃなくてカレー豆腐で食べようと思っているのよ。豆 カレーにしてしまったら、豆に豆かけて食べることになっちゃうじゃない」
「普段からカレーに納豆入れて食ったりしているのによく言うよ。なにが今更豆カレー豆腐だ」
「ひとの食べ方にいちいち茶々を入れるようなことしないでもらえる。あなただってチーズだの卵だのかけて食べるじゃない」
「卵をかけて食うのは子どものころ辛 くて食えなかったカレーに親父が卵のせてくれたのが美味かったから、その名残。思い出の味に難癖つけないでくれ」
だんだんと話も逸 れて来てしまい、こうなると機嫌が悪くなってくるのが私の彼女。
せっかくご飯を作ってくれるというのだから、そんなチャンスを逃すわけにもいかず、少し折れようかと思ってきた。
「いっそのこと普段食べないようなカレーを作るっていうのはどう?シーフードもあるわけだし」
「そうね、さっきからあーでもないこーでもない言われて作る気が失せてしまいそうだったの。分かったわ、ポテトサラダも作ろうと思ったけれど、面倒になってしまったからジャガイモをカレーに入れることにするわ。代わりに今日は肉抜きのジャガイモカレーね」
「おいおい、待ってくれよ。やっぱり肉のないカレーなんてごめんだ。何カレーだろうと憎 くはないから、カレーに肉 は取 り入 れてくれ」
「はいはい、作るのは私ですから好きにさせてもらうわ」
カレーライスというのは老若男女人気な食べ物だ。
私が作るカレーというのは基本的にジャガイモとニンジンは加えずに、野菜は玉ねぎだけ。それに豚肉をいれたカレーをもう十何年とこだわり続けて作ってきた。
最近、一緒に暮らしている彼女がカレー作りにはまっている。
市販の固形カレールーは使わずに粉末のカレー粉と、さまざまなスパイスやらを用いて作ることに凝っているのだ。
我が家の料理担当は基本的に私なので、こうして晩御飯を作ってくれるというのはとっても嬉しいことだ。
「カレー作ってくれるなら、野菜は玉ねぎだけにしてね」
「もちろん、分かっているわよ。そもそも私はニンジンがあまり好きではないもの」
「もちろん肉は豚肉だよね。冷蔵庫にあるはずだから」
「私はカレーといえばチキンなの。もう用意もしているわよ」
「おいおい、わざわざカレーを作るためだけに鶏肉を買ってきたのか。家にある材料で作れるものなんだから、そんな無駄遣いみたいなのは止めてくれよ」
「安かったんだから別にいいじゃないの。それにあなたが主婦みたいなこと言ったところで、ただの守銭奴にしか感じないわ」
「ひとをケチみたいに呼ぶんじゃないよ。チラシ覗いて安いスーパー巡るのは俺の一つの趣味みたいなものだから馬鹿にされたくもない。節約上手と言ってほしいな。
それと安かったかどうかじゃない、それに安いのでいいならひき肉を買ってキーマカレーでも作ってくれればいいじゃないか。ひき肉ならついでに俺がハンバーグ作るから」
「ひき肉なんてイヤよ。私はキーマカレー好きじゃないの」
やはりカレーとなると話は別。各々のこだわりが火の粉となり、揉め始めてしまう。
なかでも具材、特に肉を何にするのかということが焦点となる。
「牛と言われないだけマシだが、カレーといえば豚肉だろ?」
「それはそれで関西の人に失礼よ。関西じゃカレーといえばビーフカレーだってテレビで言っていたわ」
「そんなのたまったもんじゃない。東京生まれ東京育ちだからというわけじゃないが、カレーといえば何度も言うが豚肉だよ」
「そもそも、本場インドじゃカレーに用いる肉といえばチキンかマトンじゃない。たまにいくインド料理店だってそうでしょ」
「それはそれだよ。なんといってもナンと食べるから美味いのだから」
「まあ、インドでは牛は宗教上神聖な動物だから食すだなんて当然NGですし、豚もあまり食べないそうよ。不浄を良しとしない風習からあまり好まれないんですって。そういえば、あなた最近少し牛から豚に近付いたんじゃない?」
「インドはインド。家でカレーライスとして食べるなら断然ポークカレーだよ。カレーライスのチェーン店だって基本のカレーはポークじゃないか。だいたい俺の恰好は関係ないし、そんなこというならお前だって最近体型が~だの、お腹周りが~だの
「豆なんか使う予定なかったから用意していないし、さっきあなたが言ったことだとそれこそ無駄遣いみたいになっちゃうわ。それにもう私はヘルシーに食べるためにカレーライスじゃなくてカレー豆腐で食べようと思っているのよ。
「普段からカレーに納豆入れて食ったりしているのによく言うよ。なにが今更豆カレー豆腐だ」
「ひとの食べ方にいちいち茶々を入れるようなことしないでもらえる。あなただってチーズだの卵だのかけて食べるじゃない」
「卵をかけて食うのは子どものころ
だんだんと話も
せっかくご飯を作ってくれるというのだから、そんなチャンスを逃すわけにもいかず、少し折れようかと思ってきた。
「いっそのこと普段食べないようなカレーを作るっていうのはどう?シーフードもあるわけだし」
「そうね、さっきからあーでもないこーでもない言われて作る気が失せてしまいそうだったの。分かったわ、ポテトサラダも作ろうと思ったけれど、面倒になってしまったからジャガイモをカレーに入れることにするわ。代わりに今日は肉抜きのジャガイモカレーね」
「おいおい、待ってくれよ。やっぱり肉のないカレーなんてごめんだ。何カレーだろうと
「はいはい、作るのは私ですから好きにさせてもらうわ」